職場環境の中で意外と気がつかない障害者の本音

2017.02.21 (火)

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車椅子ライフデザイナーのまおうです。今回は私が交通事故に遭ってから、リハビリを経て、職場(総合スーパー)に復帰したときの出来事です。ちなみに復帰した店舗は、以前勤めていた店舗ではないので新人同様の立場でした。

社会復帰した店舗の身障者用トイレは使えないトイレ

20年前に車椅子ユーザーとなって赴任した店舗において、珍しく設置されていた従業員用の身障者用トイレですが、残念なことに全く使えないトイレでした。

固定されていた手すりがものすごく長くて、便座までの距離がものすごく遠く、乗り移りができないものでした。実際に私以外にも車椅子勤務の方もいましたが、ものを申せる環境ではなかったのかもしれません。

私は従業員用のトイレがあったにもかかわらず、便座には乗り移れないので、空のペットボトルを利用していました。私も赴任したばかりで、上司に対してものを申せる環境ではありませんでした。

上司からのコミュニケーションで状況が変わった

それから数週間が経ち、かなり上の上司である総務課長から「困っていることはないか?何でも言っていいから・・・」と言ってくれたんです。私は素直に従業員の身障者用トイレが全く使えないことを伝えました。

課長は「そういうことはすぐ言ってくれよ。遠慮しないほしい。」と言っていただき、100万円もかかるトイレ改装を私のためにすぐやってくれました。

私もそれから15年が経ち、そのお店でその方と同じ総務課長の役職に立ちました。私は経費の責任者でもあったので、いくら大手であっても100万円という費用をポンと出して対応することは、ものすごく大変なことだと分かりました。

その上司は、トイレの改修工事後も「困っていることがあれば何でも言ってほしい」と言ってくださいました。また私が車椅子で移動するたびに「すみません」と言って通路を空けてもらう姿に対して、「すみませんと言わなくていい。あなたがここを通るのは当たり前なのだから」と言ってくれたことに今でも感謝しています。

障害者の立場にたって考えることが職場の環境を変える

障害者を雇うということは、何に困っているかを本人からきちんと聞く必要があります。実際に何も聞かないでいると、障害者本人がとても使いづらいと思っているケースがあっても我慢していることが多くあります。そのためには、相手の立場にたった職場環境の構築が必要となります。

なぜなら、障害者が勤務するということは、トイレだけでなく、駐車場・通路・机の高さ・エレベーター・引き出しなどのハード面やその方が持っている病気や体調などを理解してほしいのです。

働きやすさを解消しないと、効率の悪い仕事場になったり、ストレスの感じる仕事場になる場合も出てきます。逆を言えば、一つ一つの問題を解消すれば、一般の健常者にとっても働きやすい職場となり、効率のアップが可能になります。チームも盛り上がることで、従業員満足につながります。

働きやすい職場であることが活躍できる一歩につながる

私自身は昇格した後に、とにかく効率のいい職場環境を自分自身で作りました。引き出し一つとってもすぐとれる場所に変えました。なるべく移動しないでできるようにすることで大幅に時間のムダを削減しました。

残念なことにまだまだ多くの職場は、働いている障害者と対話をしていないケースが多いと言われております。気軽に障害者の方の声を聴いてあげることで本音を知り、職場環境におけるコミュニケーションをとることで、障害者の方にも活躍できるステージが創れると思っています。そして所属しているチームもきっと盛り上がっていくと思っております。

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