バリアフリー調査を続けてきて

バリアフリーの調査を始めて10年以上が経ちました。なぜこの調査をし始めたのか?それは約15年前にさかのぼりますが、ある有名一流ホテルに泊まった時がきっかけなんです。このホテルに泊まったのは、まだ体力がなく直接伊豆に行くことが出来なかったので、茨城と伊豆の中間地点である横浜に宿泊することに決めました。

 

当時はバリアフリールームが少なく、このホテルにバリアフリールームがあることが分かって予約をしました。実際にバリアフリールームに入ってみると驚きました。車椅子でトイレにも風呂場にも入れないんです。段差がありましたし、車椅子の幅より狭い引き戸になっておりました。もうこれではお手上げです。

 

歩ける人でなければ入れませんし、手すりもあるわけでもないので、単なる一般の部屋が広くなっただけのものでした。ホテルの受付にそのことを伝えて部屋を変えてほしいと話をしましたが、ホテルの担当者からは「我慢してください」という言葉が返ってきました。

 

バリアフリールームが多くない時代でしたので、他のホテルを探すだけの余裕はありませんでした。仕方がないので、トイレはペットボトルを購入して対応しましたことを憶えています。でもバリアフリールームでないのに「バリアフリールーム」とPRしていることには大変困りました。

 

こういったことを解消していくためにも、車椅子ユーザー自身がきちんとした情報を発信しなければならないと思って、バリアフリーの調査を始めました。いつのまにかその調査も10年以上続けております。

トイレにおけるバリアフリーの課題

最近ではネットのいろいろなサイトでバリアフリー可という表示がされています。ところが残念ながらその表示とは違うことがよくあります。多目的トイレにおけるケースでご紹介します。具体的なことを言うと、多目的トイレ(身障者用トイレ)が設置されていますという情報の下に行ってみますが、実際に行ってみると期待とは違ったものになっているトイレが目立ちます。

 

その代表的なものが以下の通りです。1つ目は、多目的トイレとしてネットに掲載されていて、実際に現地に行ってみても車椅子・ベビーカーなど誰でも利用できることを表示されています。でも実際にトイレのドアを開けると車椅子で入れないケースです。

 

扉が閉まらないんです。これでは利用することができません。明らかに設計上のミスです。ただ残念ながらこのトイレをさらに造り直すのは難しいでしょう。スペースが取れない中で造ったトイレなので今後は表示を外すしかないかもしれません。

 

2つ目は多目的トイレなのに単なる広いだけのトイレです。手すりなどは一切ないケースです。但し、障害レベルの低い方やベビーカーを利用する人なら使用できるかもしれません。でも手すりがないのは優しいトイレとはいえないでしょう。

 

最近多いのは、片側には手すりがついているのに、もう片側には手すりがないケースです。できれば両方つけてほしいですね。高齢者の方などの立位ができる人においても手すりがあれば、体勢がぐらついたときでも安心だと思います。

 

この場合だと手すりを取り付ける形になりますが、壁に手すりを付けるとすればコストがかかるかもしれません。壁にとりつけずトイレの便座を囲むように手すりをつけることもできます。この場合は、コストを少なくして取り付けることが可能になると思います。

 

3つ目は、多目的トイレは万全なのにそこに行くまでの間がバリアなケースです。砂利道になっていたり、石畳になっていたりすることで車椅子での走行が難しいんです。砂利道がなぜダメなのかというと、前輪のキャスターが走行を妨げてしまいます。

 

状況によっては車椅子が前にも後ろにも動かなくなってしまいます。但し、歴史的な建造物であると改装することが不可能な場合があります。そのために神社・寺院などでは改装しないで工夫をしているところもあります。

 

そのような制約がなければ、アスファルトの舗装にして極力段差をなくすことが望まれます。他にもいろいろなケースがあります。それについては追ってお伝えしていきます。重要なポイントは、車椅子やベビーカーなどで利用できるか検証することだと思います。実際に乗ってみたらどうなるのか?を考えれば、意外と分かることだと思います。

 

それでも実際に造ってしまってから、直すのはコスト面を考えると厳しいと思います。できる限り、設計段階から車椅子利用者やベビーカー利用者の声を聞いたうえで造っていくことが望まれます。万人に使いやすい形にはならないかもしれませんが、明らかに設計ミスと思われるようなものは避けなければならないと思います。

車椅子におけるバリアの1つが段差の課題

1㎝程度の段差であれば、前輪キャスターを持ち上げなくてもクリアできます。但し、1㎝以上の段差になると前輪キャスターを持ちあげる(ウイリーのような状態)ことが必要になります。前輪のキャスターを持ち上げることについては、頸椎損傷の方だと難しい場合が出てきます。

 

つまり車椅子利用者にとって確実な段差は1㎝以下となるわけです。私のような脊髄損傷(胸椎5番損傷レベル)だと7㎝前後なら前輪キャスターを持ち上げてクリアすることができます。10㎝くらいになると助走があれば大丈夫ですが、そうでないと無理をして上ろうとはしないですね。

 

このように世の中ではいろいろな面でバリアがあるわけです。ここでお伝えしたいのは、この世の中においてバリアフリーというキーワードを経営者の皆さまにも最低限知っておいた方がいいということだと思います。知らなかったから・・・というのでは後になって大変だと思います。

 

改修費用となれば相当の額がかかるはずです。だからといって全くの対応をしなければ、サービス業において悪評が流れていく可能性もあります。悪評を撤回するために、例えば入口に車椅子のお客さまがいたら運びますよと記載しても、車椅子利用者にとってはわざわざ頼むという行為は面倒くさいと思われるでしょう。

 

お客さまを選ぶ時代ではなく、お客さまから選ばれることが今後の成功につながると思います。どうしても人はパッとみて判断することがほとんどです。そのためにも誤解されやすいのは危機につながる可能性があるので注意したいものですね。

駐車場におけるバリアの課題

身障者用駐車スペースの大きさについて先日はご紹介しましたが、今回はそのスペースについてご紹介します。スペースの大きさは、横幅2.5Mと乗り降りするための1Mを合わせた3.5Mであるとお伝えしましたが、この身障者用駐車スペースにおいてはどうあるべきかはマナーの課題と合わせていろいろなご意見があると思います。

 

昨年の11月から1ヶ月かけて車に乗って日本1周を実施しました。ホテルについては事前にどの地域にバリアフリールームがあるのかどうかをリストアップしましたが、身障者用駐車スペースについては行き当たりばったりの対応でした。もちろん訪れたスポットにすべて身障者用駐車スペースがあったわけではありません。

 

でも都心と違って駐車場自体に余裕があったことなどからなんとかクリアすることができました。よくあるのが身障者用駐車スペースにカラーコーンを置いているケースです。一般の利用者がとめないようにすることはいいのかもしれませんが、肝心な障害者が使おうとした時にも使えないことになってしまいます。

 

これも日本1周の時に何度もありました。その際は目的地の会社に電話をして「お手数ですがカラーコーンを動かしていただけませんでしょうか?」と頼みました。そうすると係員の方が動かしていただきました。マナーの悪い日本だからこその措置だと思いますが、カラーコーンを置くことで不快感を示す障害者も多いと思います。

 

駐車場のマナー解消のために、ショッピングモールではリモコン式の身障者用駐車スペースを設置しております。身体障害者手帳を利用している人だけが登録できて、リモコンを借りることができます。こういった取り組みは素晴らしいですが、コストがかかりすぎる問題があります。

 

また障害者側からすると一般の方がとめていたら、自分がそのお店に来てもとめることができないという状況なんです。しかもとめた人が店内にいたら駐車場を譲っていただくことすら出来ないんです。マナーを守らない人には残念ながらそんな道理は全く通用しないのが実情です。

 

但し、気になるのは「見えない障害」をお持ちの方の場合についてです。義足をつけている方や腎臓の障害をお持ちの方の場合などは、パッと見てこの人は障害者なのか分からないケースです。こういったときに「あの人は障害者じゃないのになぜとめているの?」と思われるのはひじょうにかわいそうです。

 

今後は、そういった部分も理解していかなければならないと思っております。

車椅子ユーザーにおける情報が意外と伝わっていない現実

まわりの車椅子ユーザーの友人とよく話すことが多いのですが、「えっ、そうなんですか?」「そんなことが可能なんですか?」ということをよく聞きます。残念ながら、いかに車椅子ユーザーにとっての有益な情報が伝わっていないかということが気になります。

 

これは受ける側だけでなく、発信側にも課題があると思います。通常は「なぜ教えてくれないの?」と思ってしまいますが、車椅子ユーザーにとって、情報というものは、自分から見つけにいかなければならないと思うようになりました。待っていても何も分からないと思いました。

 

生活の情報・車椅子や周辺機器の情報・健康における情報などいろいろな情報がネットなどで発信されております。例えば、私が使っている健康機器ですが、脊髄損傷者でも立位になってトレーニングするものがあります。

 

車椅子ユーザーにとっては、股関節・膀胱・下半身の筋肉など意外にケアをしないで過ごすことが多いと思います。どうしても上半身だけを鍛えるということになってしまいがちです。でも下半身のトレーニングは生きていく上では、ものすごく重要な部分です。

 

立位になれないことでいくつかの病気につながる可能性があります。そこで下半身に負荷をかけたり、身体の姿勢矯正をすることで、病気予防に効果があるとと言われております。ネット社会なのでいろいろな方をお手本として知っていくのもいいですし、国際福祉機器展やバリアフリー展などに行って新しい機器を知ることもできます。

 

まずはそういったことをはじめとして情報を手に入れるということの重要性は大いにあります。今後はips細胞の移植技術をはじめとして、治療における部分も情報発信されてくるでしょう。最新の情報に遅れないことが、将来の生活に関わってくることに違いありません。

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