車椅子ユーザーだけでなく従業員が働きやすくなるためのスペース

2017.11.27 (月)

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車椅子ライフデザイナーのまおうです。大手のショッピングモールなどは、お客さまが利用する場所においてはバリアフリー化になっていることがほとんどです。最近の店舗は、バリアフリー法に適応できるように設計されているはずです。しかし働く立場を考えてみると、バリアフリー化にはなっていないことが多くあります。障害者雇用を考える上ではぜひとも考えていただきたいテーマでもあります。

売場重視になってしまうことで後方施設は狭い現状

私が以前勤めていた店舗においても、売場重視により従業員が働いている後方施設は狭く作られておりました。それでも他の店舗に比べると広いと言われており、この10年以内に作られた店舗の方が、後方施設のスペースの狭さを感じることが多かったです。言い方を変えると、売場は万全なスペースがあるにも関わらず、後方施設はスペースをできるだけ造らないということです。

 

なぜそのような事になっているのかと言えば、一番の大きな理由は「在庫過多にならないためです」。どうしても後方施設(バックルーム)が広いと在庫過多になりがちです。余裕のあるスペースがあれば、それだけ在庫を置くことが可能になります。むしろスペースがなければ発注量・販売量について真剣に取り組むだろうという躾のような意味合いもあるからです。

 

ところが残念ながら、思った以上にはうまくいかないのが在庫量の調整です。もちろん売場の管理を任されている主任クラスの在庫量に対する意識や計算力などによって大幅に変わってくるものがありますが、不況になればなるほど本部からの商品投入量が増えていきます。思ってもみなかった商品が入荷してくることで在庫過多になることをよく見かけます。

働きやすい環境は仕事の効率だけでなく労災にもなりにくい

そうなると後方施設の通路が、確保されなかったりすることがほとんどです。場所によっては、車椅子1台分の横幅60㎝を確保できないところもあります。そうなると完全に行き止まりの状態です。通路幅が狭いということは車椅子ユーザーはもちろんのこと、一般の従業員にとっても仕事効率の低下を招くことにもつながってしまいます。

 

売場は広いのに後方施設は狭いことが、一見理にかなっているように造られた施設も、上記のような現実的な問題に遭遇すると実際は使いづらい場所になってしまいます。そうなると躾があれば大丈夫だと思っていることが、現実離れした考えになってしまうと思います。そのためにある程度、在庫量を確保できるだけのスペースを造るしかないと思います。

 

話をもとに戻すと、企業側にとっては単なる在庫問題と捉えがちですが、実際には障害者をはじめ一般の従業員が働きやすい環境にもつながっていきます。また労働災害の面においても影響してくるはずです。物事を総合的に把握できるようにすることが今後は重要であるポイントであると考えます。

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