間違った駐車スペースの知識では車椅子のバリアフリーにならない

2018.05.18 (金)

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バリアフリースタイル代表の白倉です。先日、ある大型商業施設を利用したところ、身障者用駐車スペースが数台あったものの、そのスペースが通常の駐車スペースと同様の大きさでした。ご存知ない方にとっては、なぜ一般の駐車スペースと同じ大きさで問題ないのでは?と思うかもしれません。しかしそれでは肝心な車椅子利用者が駐車することができません。一体なぜなのでしょうか?

身障者用駐車スペースの基準をご存知ですか?

身障者用駐車スペース(別名:障害者用駐車スペースとも言う)の基準は、通常の2.5Mの幅にプラスして、ゼブラゾーンになっている1Mを合わせた計3.5Mの幅になっています。このゼブラゾーンは車椅子の乗り降りの際に使うスペースです。ちょうど基準となるのは、クルマのドアを全開に開いた広さよりちょっと広いくらいの幅になります。そのため先ほどのように、通常の2.5Mが身障者用駐車スペースであると利用することができないのです。

 

もし施設を利用したときから施設を後にするまでに、隣の駐車スペースにに誰も止めない場合は大丈夫でしょう。しかし誰も止めない保証は一切ありませんから、利用者にとっては不安を感じるでしょう。なぜならよくあるのが、施設から戻ってきたときに、隣の駐車スペースにクルマがとまっていたら、自分のクルマに乗り込むだけのスペースがないために帰ることができません。

 

そのため今回のように企業がせっかく身障者用駐車スペースを造っても、一般用の駐車スペースになってしまうと肝心な利用者が使うことのできないものになってしまいます。きちんとした駐車スペースを造るのであれば、3.5Mのスペースを確保することが必要になります。それでも数台分確保するのが難しい場合は、乗り降りするスペースをうまく利用する方法もあります。

効率のいい駐車スペースの造り方もある

企業にとっては駐車台数を少なくなるのは来店客数にも影響するので、できるだけ多く確保したい気持ちがあるでしょう。私も総合スーパー勤務時代には、トータルで1100台の駐車台数がありながら、敷地の増床などがあっても駐車台数を減らさずに、なんとか1100台をどうやって確保するかを考えたことがありました。

 

例えば4台分の身障者用駐車スペースを用意するならば、3.5M×4台分となり14Mのスペースを確保しなければなりません。でもどうしても14Mを確保できない場合は、12Mでも身障者用駐車スペースを造ることも可能です。

 

それはクルマの2台分を前進駐車してもらえば可能になります。そうすることでゼブラゾーンは4つ→2つにすることもできるでしょう。前進駐車と言いましたが、助手席に車椅子利用者が乗っている場合もあるので、状況によっては前進駐車にならない場合もあります。

一般の駐車スペース2台分を用意できればとても優しい対応

またどうしても身障者用駐車スペースが埋まってしまった場合は、お客さま満足の観点から「一般の駐車スペース2台分を使ってください」と案内できれば、利用者にとってはとても喜ばれるにちがいありません。いざというときの対応などができるようになることで車椅子利用のお客さまが多くいらっしゃっても対応できるのではないでしょうか?

 

今後は超高齢化社会に伴い、多くの車椅子利用者が増えるでしょう。今こそ車椅子利用のお客さまに対するバリアフリーの最低限の知識と接客スキルを身に着けておくことが、企業にとって時代に合わせた対応になります。

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