職場における車椅子利用者の通路のバリアフリーとは?

2017.06.12 (月)

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車椅子ライフデザイナーのまおうです。企業に勤めていた21年間を通して、車椅子利用者が仕事をしやすくなる職場環境について考えてみたいと思います。今回は職場における通路のバリアフリーについてです。

車椅子の通路幅を見据えた設定こそが業務効率をアップさせる

車椅子の横幅は最低でも60㎝近くになります。そのため通路幅は60㎝より少ないと直進走行だけではなく、通り抜けすらできなくなります。曲がる場合ではもっと大きな幅を確保しなければなりません。もしこの通路幅が狭すぎると以下のような問題点が発生します。

1つ目は通り抜けられないケースです。机やキャビネットのような固定されているものがあった場合は通路になりません。人の手を通して動かすのも困難でしょう。まさに行き止まりです。そうなると別のルートを探さなければなりません。もしくは業務を他の人に託さなければなりません。

通路が確保できないだけで、業務を他の人に託すのは、効率面で大きなロスが発生します。もし車椅子利用者が通路の先にある業務に支障がないのであれば、通路の問題を解決することで、他の人に託さなくてもいいわけです。

託された人も別の仕事をしている中で、その仕事をとめてしまいます。そうすることによって業務効率は一気に落ちます。一つのバリアによって、業務効率をあえて落とすような行為は企業にとってマイナスだと考えるべきです。

狭い環境の中で人が密集して仕事をすることはマイナス

2つ目は人が座っている後ろを通る際、動いていただかないと通れないケースです。これはよくあるケースです。私が勤めていた事業所ではほとんど解消しましたが、他の事業所に行くとまさにこのケースが多く発生しております。

この場合は、根本的な問題が考えられます。明らかに机と椅子の数が多かったり、事務所に在籍している人数が多いケースが考えられます。人数が多すぎると居心地が悪くなります。そうすると障害者だけでなく誰もが仕事をしやすい環境ではなくなります。

具体的に言うならば、満員電車の中で仕事をすることと、空いている電車の中で仕事をすることの効率性はどちらがいいかということと同じです。答えは明らかに後者です。もしそうなっていなければ、今すぐにも業務改善が必要です。

状況によっては車椅子利用者が悪者扱いにされるケースもある

話を元に戻しますと、動いていただかないと通れないために毎回「すみません、うしろ通りますので・・・」と声をかけなければなりません。これも先ほどと同じように動かなければならない人は、その仕事をとめてしまいます。これも同様に業務効率は一気に落ちます。

さらに1日に何度もこのようなことが起きると、カチンとキレるチームメンバーもいるはずです。そうなるとチームビルディング上でもマイナスになります。あの人がいるから仕事ができないというような従業員も現れることもよくあります。こうなると車椅子利用者が、悪者扱いになるケースさえあります。

働きやすい職場環境こそが業績を上げる一歩につながる

残念なのは、このようなことが起きていても全く気がつかない職場環境です。私はそんな問題にかかわっている場合じゃないと思っている人こそ、チームの規律を乱している人になっていることがよくあります。

私が車椅子生活になって着任した時に出会った上司は、このような課題を真剣に取り組んでくださいました。その方は私に対して「すみません・・・と言わなくてもいい。障害者と健常者とが一緒に仕事をしている中ではそれが当たり前なんだから」と言ってくれました。とてもありがたい言葉でした。

だからこそ私は自分が課長になった時には、障害者だけでなく誰もが仕事のしやすい環境を創ることを目指しました。働きやすい環境こそが業績を上げていく一歩にすぎないからです。まずは職場にいる車椅子利用者の方に通路を通ってもらうことから始めるのが一番わかりやすいと思います。

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