車椅子やベビーカーにおける利用しやすいスロープとは?

2017.11.26 (日)

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車椅子ライフデザイナーのまおうです。車椅子を漕ぐときには、車椅子の漕ぎだしにはものすごく力を生じますし、スピードが上がらないという特性があります。逆にある程度スピードに乗れば、漕ぎやすくなる特性があります。これは自転車と同じような感覚です。それを想定して施設のスロープを作ると利用者が楽になることをご存知でしょうか?

見た目ではなかなか分からないスロープの角度

まずバリアフリーの勾配基準は、縦1に対して横12の距離が必要になります。先日もあるバリアフリーセミナーにて参加者から「こんなに距離は必要ないんじゃないの?」という声がありました。見た目ではそう思えるかもしれませんが、実際にはそれだけの距離がないと急勾配になってしまいます。

 

もちろん、車椅子ユーザーにおいてはパラリンピックの選手などはアスリートですので、ちょっとした急勾配でも上っていくでしょう。私も20年前にリハビリをしていた時に、アスリート級の人が急勾配を軽々と駆け上がっていく姿を見て、私もいつかはこうなりたいと思ったものです。でもアスリートとしてのトレーニングをしていなければそうなりません。

 

しかも車椅子ユーザーには障害のレベルがありますから、車椅子に乗っているだけで一括りにはできず、受傷部位によって麻痺の部分が変わります。私は胸椎の損傷なので腹筋・背筋が効きません。でも腰椎の損傷の方だと腹筋・背筋が効きます。それだけ全体のパワーはものすごく変わってきます。

単純ではないスロープの意味

重要なポイントは、一般の車椅子ユーザーが上りやすくする角度が大事になります。また車椅子を押す介助者やベビーカーを利用している方にも配慮が必要です。いくら段差がなくても車椅子やベビーカーを押す方ににとっては負荷がかかります。急勾配になるほど押すのが辛いのは当たり前です。そういった点も考慮しなければなりません。

 

さらに冒頭でお話したように、漕ぎだしに注目をしてほしい点です。勾配の前にグレーチング(道路の排水路にかける蓋)があるケースや小さな段差などもよく目立ちます。こういったバリアがあると車椅子を漕いでいるのに一旦ストップをしなければなりません。前輪のキャスターを持ち上げなければならなくなり、そこから勾配が始まるのはひじょうに辛いものです。

 

また勾配の前に壁があるケースです。上る時の助走もありませんし、下る時には正面が壁になると激突する可能性もあります。かなり危険な設計といえるでしょう。特にこういった勾配が多いのは、残念ながら公的機関でよく見かけます。

当事者の声を聞くことがミスの少ない設計になる

大きなポイントは、段差がないから大丈夫という見方だけではうまくいかないという点です。勾配の角度だけでなく、助走できるスペースの確保も必要になるでしょう。造ってから直すことはコストがかかるため、できるだけ造る前に車椅子を利用している当事者の声をきちんと確認することで解消されるでしょう。

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