車椅子でバリアフリーを考えるには勾配の角度も忘れない

2018.05.14 (月)

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バリアフリースタイル代表の白倉です。いろいろな施設において、車椅子走行における最大のバリアは「段差」です。車椅子利用者にとっては、段差がなければ行けるところが増えていきますが、だからといって段差をなくしてスロープになっていれば大丈夫ではありません。そこで気になるのが、急勾配のスロープが多くなっている点であり、これが逆にバリアとなってしまっています。ではスロープについてはどう考える必要があるのでしょうか?

段差がないからバリアフリーだと安心はできない

スロープといっても角度が必要です。バリアフリー法における基準は1あがるのに12の距離を必要とする点です。そんな割合?とびっくりするかもしれませんが、例えば都心の麻布・六本木などにある〇〇坂といった場所では、さすがに車椅子利用者が単独で上るのは難しいでしょう。電動車椅子利用者ならばぐいぐい上るものの、それでも車椅子にかなり負荷がかかっていると思います。

 

私は手動車椅子に取り付ける脱着可能な電動アシスト機能の機器「スマートドライブ」をもっていますが、あまりにも角度のきつい勾配では唸るような音がしています。もちろん車椅子に乗っている私自身の体重が重いことも影響していますが、車椅子利用者にとっての坂道は段差がなければ大丈夫という発想は、ちょっと安易かもしれません。

 

そのためこの1対12の割合を縮めてしまうと、腕っぷしが強かったり、身体の障害レベルの低い車椅子利用者ならば上りきることができるかもしれませんが、一般の車椅子利用者では、自力で上がるのはかなり難しくなるでしょう。状況によっては、サポートしたからといって楽に述べる勾配でないこともありますので注意が必要です。

大事なのは設備云々よりお客さまに対する想い

そうとはいっても施設において、緩やかな勾配のスロープを造れるのであればいいのですが、設置場所やコストにおける課題が出てくるでしょう。何とかして車椅子利用者が使いやすいスロープづくりをしたいものの、そうはいかない場合はどうしたらいいのかが大きなポイントになると思います。

 

常時設置することができないのはデメリットですが、車椅子利用者とのコミュニケーションがとれることに注視すると、お店の入口にインターホンなどを設けることで来店されたら対応するとかホームページにもし入店の際に、「サポートが必要であればお気軽にご連絡ください」と明記していることで利用されやすくなるでしょう。

 

そしてあとは店舗側でどう対応するかではないでしょうか?急勾配のスロープであれば店舗従業員によって後ろからサポートして入店していただく点や簡易の取り外し可能なスロープを設置して緩やかな勾配をつくるといった点です。どちらにしても従業員の方のサポートが必要になりますが、このサポートができることで車椅子利用者とのコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。親近感が湧くのがものすごくいいと思います。

 

大事なのは、お客さまに喜んでいただくためにどうしたらいいかを考える想いです。行けるお店が少ない状況下においては、車椅子利用者でもお店でお食事を楽しんでいただきたいという想いがあれば、きっと利用者に伝わるにちがいありません。まずは設備のことを考える前に、どうしたら対応できるのか考えてみてはいかがでしょうか?

 

 

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