バリアフリーを考える上で多目的トイレの運用を見直す

2018.05.22 (火)

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バリアフリースタイル代表の白倉です。商業施設などで多目的トイレを管理している場合、ご存知かどうか大事なポイントがあります。多目的トイレですが、利用者にとって気になる点が2点ほどあります。ぜひとも知っておきたい内容です。もし知らないで設定している場合は、利用者が困っている可能性もあるでしょう。

使っている途中で真っ暗になってしまうトイレ

最近は、節電対策になっていると思いますが、使用している最中に急に電灯が消えるトイレが多くなっています。このセンサーによって、入室後3~5分で消えてしまうことがほとんどです。車椅子利用者が入室してから、手を洗って、排尿・排便用具を用意し、便座に乗り移ってから1・2分ぐらい経過すると突然消えてしまいます。突然消えてしまうので、利用者にとっては結構厄介なものです。

 

消灯した場合については、身体のわずかながらの動きでは反応しません。手を上にあげて横に振る、遠くの人にバイバイするときのような動きをすると点灯します。しかしまた1・2分経過すると急に消灯します。車椅子利用者にとっては、10分近くトイレを使用することで、ストレスを感じることもよくあります。

 

仕組みについては、ある一定時間において身体の動きがなかった場合、センサーが働いて多目的トイレの照明が消えてしまう仕組みです。もちろん企業にとって電灯のつけっぱなしを防止する意味で設置していることはよく分かりますが、トラブルにつながる可能性があっては全く意味を成しません。ここで問題となるのが、明らかに消えるまでの間が早いことです。

 

このトラブルについては、排尿・排便している最中ですので影響が出てきます。しかも多目的トイレ内は個室として他のトイレとは分離されていますので、光が全く入ってこないため、うっすら見えるわけではありません。完全な真っ暗な状態です。やはり3~5分後に消灯するのではなく、10分位の時間に変更すると利用者が使いやすくなるでしょう。利用者の安全・安心を考えるならば、ぜひとも検討していただきたい事項です。

30分使用していると自動でドアが開いてしまうトイレ

またよくあるのが、多目的トイレ利用後30分経過すると自動で扉が開きますという防犯対策があります。確かにトイレのいたずらは私が人事総務課長をしていたときも大きな課題でした。トイレットペーパーを大量に便器に投入する者や、店内の商品を万引きし自分の着用していた衣類をトイレの便器へ放り込むような輩もいたことは事実です。

 

そういったことを踏まえると防犯対策を考えたくなる企業の気持ちも分かりますが、単純に30分以内に出てこれない場合もあります。排便・排尿においてのアクシデントがあった場合(例えば失禁など)は、時間がかかる場合もありますし、服を着替えなければならないこともあるでしょう。そういったときにドアが勝手に空いたら大変なことになります。

 

しかも30分間のタイムリミットをカウントダウンしながら、対応しなければならないのは大変苦痛になります。そうであれば巡回などを通して、あまりにも長時間になった場合はトントンとドアを叩くほうがまだましかもしれません。もしトラブルが多く発生しているのであれば、巡回頻度を多くすることも検討する必要があるように思えます。

トラブルにならないためにも当事者からのヒアリングが大事

ここまで2点について述べてきましたが、今のような実態があることをご存知で設定されているのかどうかが大きなポイントです。大方知らないことではないかと思います。こういったことを知るためにも車椅子利用者などからヒアリングすることも必要です。また車椅子目線の専門家などを通して、不具合がないかどうかを確認することをおすすめします。

 

知らないことで安全・安心のためにやっていることが、大きなトラブルを招かないようにしたいものです。そして車椅子利用のお客さまにとっては、多目的トイレの存在はバリアフリーを考える上で大事なものです。少しでも使い心地のいいトイレにしていくことが、お客さまのサービスレベルを維持・向上させていくことにつながるでしょう。

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