バリアフリーを考える上で間違いやすい「段差」の考え方あるある

2019.09.03 (火)

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あなたの会社の『バリア解消』請負人 白倉栄一です。

 

これからバリアフリー化の店舗・商業施設などを考えている皆さまに、ぜひとも知っておいてほしいスタートの知識は、次に挙げる4大バリアです。

 

車椅子利用者にとって外出する際の4大バリアは、

 

「多目的(身障者用)トイレがない」

 

「身障者用駐車スペースがない」

 

「段差がある」

 

「通路幅が狭い」

 

もちろん、これ以外のバリアもありますが、大きなハードルとなるのはこの4点になるでしょう。

 

その中で今回は「段差」という点についてお伝えします。

たった1段の段差が大きなバリアになることも…

たった1段の段差ならクリアできるんじゃない?と思っている方が多いと思いますが、意外とそうではありません。

 

通常走行ならば1cm程度までが安全な段差と言えます。

 

ちなみに国土交通省の基準は2cmまでとなっていますが、実際に車椅子で走ってみると2cmでもちょっと高いような気がします。

 

前輪のキャスターを持ち上げないと、段差をクリアできないでしょう。

 

もしクリアできないと、身体が前へ投げ出されてしまい、転倒につながります。

 

人によっては、前輪のキャスターを持ち上げてウイリーのように段差をクリアできる人はいます。

 

それでも7cm以上の段差は厳しいかもしれません。

 

もちろん、パラリンピックの選手なら15cmクラスの段差もクリアできるか分かりませんが、一般の車椅子利用者はアスリートではありません。

 

総合的に考えると、障害のレベルによっては難しい点、そして訓練を受けたひとでないとできない点などがあるため、できれば段差そのものを失くすか、1cm程度の段差までが望ましいでしょう。

 

次に2段以上ある場合です。

 

この場合は、人の手を借りないとほとんど難しいものです。

 

高度な車椅子の技術を持っている人(車椅子インストラクター保持者)であれば、1人もしくは2人の補助で上ることができます。

 

その場合は、後ろ向きになり、車椅子利用者も同時に力を入れる形で階段のへりを使って上っていきます。

 

しかし、通常の場合は、健常者4人以上で車椅子利用者を車椅子ごと持ち上げることになります。

 

そのため1段と2段以上では、状況的に大きく変わってきてしまいます。

 

つまり2段以上は、明らかなバリアになってしまうでしょう。

勾配基準をきちんと踏まえて施工する

こういったことを踏まえると、車椅子利用者がお店などを選ぶときに、上記の段差があった場合、どんなに美味しいお店であっても、間違いなく候補から漏れてしまいます。

 

そのため段差の有無がものすごくお店の集客などにも影響するポイントになってしまいます。

 

もし改修工事などができるのであればいいのですが、そうでなければ簡易的なスロープで対応できるかどうかです。

 

但し、そこには注意点があります。

 

ポイントは、勾配基準に合っているかどうかです。基準では1/12となっております。

 

1メートル上がるのに12メートルの横の長さが基準になります。

 

これ以上勾配がきつくなると、車椅子利用者にとって自力で上ることができません。

 

その場合は、スロープがあっても誰かのサポートが必要になるでしょう。

万全な施工をしていくためには…

重要なのは、設置する前に当事者からのヒアリングや専門家の意見を聞くことです。

 

残念ながら、現時点で利用者が使いにくい施設が目立っているのも確かです。

 

せっかく多額のお金をかけて作ったにも関わらず、利用されにくいのであればもったいないものです。

 

ぜひとも利用者側の視点を取り入れながら、段差のバリアを解消して、集客に結び付けるような施設になることを願っています。

 

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