車椅子利用の駐車場スペースは通常の2.5mにプラス1m

2018.07.23 (月)

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あなたのお店の『バリア解消』請負人 バリアフリースタイル代表の白倉栄一です。車椅子利用のお客さまが使われる身障者用駐車スペースを造りたいと思っているお店のオーナー様がいらっしゃると思いますが、どれくらいのスペースが必要なのかご存知でしょうか?今回のコラムでは、適正な身障者用駐車スペースをご説明します。

身障者用駐車スペースの基準は3.5m

一般的な健常者の方がとめる駐車スペースは2.5mとなっていますが、身障者用駐車スペースはこれより1mが増えた3.5mになっております。1mというのは斜線ゾーン(ゼブラ)になっているところで、クルマから車椅子への乗り移りの際に必要なスペースです。

 

クルマの運転席もしくは助手席のドアを完全に開いても、1mの余分なスペースがあれば隣にとまっているクルマにドアがぶつかることはありません。ご存知でない方は、「ドアを完全に開く必要があるのか?」と気になるかもしれませんが、クルマの座席から車椅子に乗り移る際は、完全に開かないと乗り移りすることができないことを知っておいてください。

基準を満たさないのはNG

今まで述べたスペースが適切なのですが、よく見かけるのが一般の駐車スペースの2.5mしかない身障者用駐車スペースです。(図)そのスペースの地面には車椅子のマークがついていても、先ほど述べたように、乗り降りできるスペース(1m)が造られていないために利用することができないでしょう。

 

もし隣に誰もとめていないからといって利用したならば、その後隣のスペースに誰かがとめた場合、そのスペースにとめたクルマの持ち主が駐車場に用事を済ませて帰ってこない限り、自分はその場からクルマを出発させることができません。さらにこの図のように、2.5mしかないのに赤いコーンが置いてあると、車椅子利用の運転手1人では赤いコーンを動かすことができません。

 

結局、身障者用駐車スペースを造っても、運用面が全くできていないのでは、車椅子利用のお客さまを心地よくお迎えすることはできないでしょう。そのためにも何のためにスペースが3.5mになっているかを知っていただくことが前提となります。

大きすぎるとマナーの悪いクルマがとめてしまう

では逆に3.5mに限らずもっと大きい身障者用駐車スペースはどうかと言いますと、これが意外と問題を生じます。理由としましては、従来から問題になっているマナーの悪さが目立っており、健常者がたまたま空いていたからとめてしまおうという行為が発生します。ショッピングモールなどは該当スペースを多く確保していることから、国際シンボルマークの車椅子マークを取り付けていないクルマの利用が多くなっております。

 

例えば2.5mの駐車スペースに2.5mの斜線ゾーン(ゼブラ)を用意したとします。ところが2.5mがあれば一般のクルマでもとめられるスペースであるため、車椅子利用のお客さまがとまっている隣にピッタリと横付けでとめてしまう人がおります。完全にマナーの悪いケースですが、店舗の駐車場が混雑していた場合などは、何とかしてとめたいという気持ちからとめている光景がよくあります。

 

こういった人については、撲滅していきたいと思っていてもなかなか難しいのが実情です。イオンの人事総務課長時代にも、マナーの悪いお客さまに指摘をしても、逆ギレするような人が多く、説明しても全く聞いてくれない人ばかりでした。さすがにアメリカのような法整備がない限り、こういった人に対する撲滅は難しいのかもしれません。でももちろん上記のような車椅子で利用するのに必要なスペースであるかが分からない人もいるので、何とか知ってもらうことで変わっていく社会を願っています。

 

話は逸れましたが、あまりにも大きい駐車スペースだからいいというわけではありません。適正な3.5mがベストだと思います。でももしとめられない人がいた場合は、一般用駐車スペースを2台分用意することなどもお店の工夫でできるものです。人気のあるお店になれば、車椅子利用のお客さまが1名とは限らないでしょう。そのときはどうするのかお店のメンバーと一緒に対策を考えておくことをおすすめします。

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