車椅子利用者だけでない多目的トイレ争奪戦とは

2018.01.07 (日)

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車椅子ライフデザイナーのまおうです。最近気になることは、多目的トイレを利用する人が多くなっていることもあり、現状のトイレにおける課題を考えてみたいと思っております。多目的トイレ争奪戦が繰り広げられているような状態です。なぜそのようなことが起こっているのでしょうか?

「多目的」という名前によって一般の方も気軽に使うことで混雑が起きている

まず最近は車椅子ユーザーの外出が、目立ってきたことが挙げられます。20年以上車椅子生活をやってきて感じるのは、バリアフリーでない場所は多いものの、公共交通機関・商業施設などのバリアフリー法で制定されてきた場所のバリアフリー化によって、外出しやすくなったと思います。

 

障害のレベルによっては、まだまだ行き届かない箇所はあるものの、一般的な車椅子ユーザーにとっては利用しやすい環境になりつつあります。次にベビーカー利用者などが挙げられます。お子さんと一緒に入るためには広いトイレが必要であり、多目的トイレを利用することが多くなっております。

 

ところが、健常者のように見えて内部障害のある方(オストメイト対応トイレを利用する方)などもいらっしゃるので見かけでは分からないものの、一般の方が使用しているケースが多くなっております。多目的トイレは「多目的」という名前から、利用制限はないものの、そのトイレでなければ利用できない方の優先トイレになっていく必要があります。

日本におけるトイレ・駐車場のマナー問題は悪化しているように感じる

残念ながら日本においては、身障者用駐車スペースや多目的トイレにおけるマナー問題が大きくなっていると思われます。そういった状況により、多目的トイレ争奪戦が繰り広げられています。実際にトイレ待ちが多い状況になっており、利用者数とトイレ数が徐々に合わなくなっているような傾向にあります。そうなってくると次のようなトラブルが発生しつつあります。

 

外からドアをドンドンと叩かれたりすることもよくありますし、外から出てきたら待っていた人から睨まれたり、「遅いんだよ!」と怒鳴られた経験もあります。読者の方は、そんな経験をお持ちではないでしょうか?今やトイレに入っていても、リラックスすることができなくなってきております。このような状況は解消していく必要があるでしょう。

 

もちろん新設で多目的トイレを施工することができれば喜ばしいものの、企業における費用負担は簡単なものではないと思っております。新設・改修工事で多目的トイレを施工するには、水回りやスペースにおける費用は莫大なものになる可能性があります。

 

企業においても数百万円するとなると予算化させることも私の経験上難しいものです。社内における決裁も通りにくくなるのが現状ではないでしょうか?それであれば、既存トイレを幅広トイレに改修工事する方がお値打ちになるはずです。

混雑緩和のためにも既存トイレの幅広改修工事が必要では?

私が以前勤めていたイオンのように、一般のトイレの中に「幅広トイレ」を設置するのも対応策になります。多目的トイレよりは機能が少ないですが、広ければ使えるという人であれば、多目的トイレをわざわざ利用しなくてもいいケースも出てくるでしょう。そうなると多目的トイレの混雑緩和になると思っております。

 

但しトイレについては、まだまだ大きな課題があります。障害のレベルにおいては、通常の多目的トイレでは難しい人もいます。大人のオムツ交換などのためにユニバーサルベッドの設置があれば、もっと外出しやすい環境になるでしょう。

 

また視覚障害者が多目的トイレを利用したときの広すぎる環境を考えれば、多目的トイレではなく、一般のトイレにおいても、ボタンのユニバーサルデザイン化によって使いやすくなることも考えられます。もっといろいろな当事者の声を集約し、コスト面においても少しでも低減できるような形にすれば、企業にとっても作りやすくなると思われます。

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