こころのバリアフリー

日本の障害者人口は約700万人です。その中でも身体に障害のある方は、約400万人います。高齢者の数も急激に増えてきており、65歳以上の高齢者は約3500万人になってきております。病気・けが・高齢によって杖・義手・義足・車椅子を使用しながら生活している人が世の中には多くいます。

 

そういった背景の中で、2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。それに伴い、諸外国から多くの外国人が日本に訪れるようになるでしょう。そのためには、国際的に差別・偏見などがなくなり、障害の有無などに関わらず、共生社会を目指していく必要があります。

1.今後は「こころのバリアフリー」を実践できる社会へ

「共生社会」とは、これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障害者等が、積極的に参加・貢献していくことができる社会です。誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会です。

 

高齢化社会の到来とともに車椅子を利用する人も増えて、今では車椅子に乗っている方が200万人を超えると言われております。つまり全人口における50人に1人が車椅子を利用する人になっているような状況にあります。さらに2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。少しずつですが、世の中の設備面はバリアフリー化になってきました。でもバリアフリーにおける課題は山積しております。特に日本における大きな課題を抱えているのが「こころのバリアフリー」です。

 

こころのバリアフリーというと、障害のある人に対する社会の偏見または差別があったり、障害のある人に対する社会の理解が不足しているという問題があります。
障害者と健常者が社会の中で共生していくためには、お互いの歩み寄りが必要であると考えます。まずは健常者が障害のある人に対する対応方法などのソフト面の部分です。

 

・今まで声をかけたことがないから分からない

・手助けをして嫌がられたらどうしよう

・駅で困っているのを見かけても、戸惑ってしまって声がかけられない

・学校教育で教えてくれなかった 他

 

このために、お互いに関わり方を知りません。いざ、関わらなくてはならないときに、どう接すればよいかわからず、戸惑ってしまうことがよくあるでしょう。

2.今まで知らなかったからこそ今知ることで変わる

もともと学校教育において、障害者と接する機会が全くなかった一般の方にとっては、街中で障害者と出会っても声をかけることができない人が多いと言われております。これは英語を話すことのできない日本人が外国人を見て、「話しかけられたらどうしよう」と思って、その場から立ち去りたいと思ってしまうことに似ているものです。

 

例えば、頚髄損傷の車椅子利用者が自分の持ち物を下に落としても、自力で取ることができない場合があります。困っている様子を見ても、どうやって声をかければよいか分からないために、見て見ぬふりをしてしまうことが多いようです。そばにいる人のお困りごとに対応できないのは、人としてとても悲しいことです。

 

※頚髄損傷とは交通事故・スポーツ事故・高所からの転落等での頸椎の脱臼・骨折や頸髄自体の病気(腫瘍等)等により、頚髄を損傷して手足を動かしたり、痛みや温度等を感じたりすることができなくなってしまう後遺障害です。

 

そのような人としての課題を解消していく必要があるでしょう。そのためには下記のようなことを望むはずです。

 

・時代に合わせて何か「きっかけ」をつかみたい
・街中で困っている人を見かけたら声をかけてあげたい
・障害者に対して気軽に声をかけてみたい
・一緒に働いている障害者の同僚の気持ちが分かりたい 他

3.相手の立場に立って考えることでいろいろなシーンで役に立つ

相手の立場に立って考えることが、いろいろなシーン(日常生活・職場・お店の対応など)において役に立つことができるようになります。今までイメージしていた障害者に対する既成概念を取り除くことで、世の中においてバリアフリー化の導入が新たな価値を生み出すことにつながります。バリアフリーへの発想を変えるきっかけになれば、いろいろなシーンに役立てることができるでしょう。

 

逆な見方も考えてみてください。障害のある方は、誰かのサポートが必要な状況にも関わらず、自分の障害の状態をうまく周囲に説明できずに困ってしまったという経験があるでしょう。自分が困っているにも関わらず、頼んだら迷惑するのではないか?聞いてもらえないのではないか?と思って、あえて控えてしまうようなこともあるはずです。

 

でも障害者と健常者はお互いに知らないことばかりです。だからこそ「この人は○○な人にちがいない」という思い込んでしまいがちです。それがお互いのバリアになってしまいます。こういった戸惑いや思い込みを失くしていき、こころのバリアフリーの気持ちによって障害の有無に関わらず、暮らしやすい社会に変えていかなければなりません。

 

ハード面における設備の充実も大事なテーマですが、それよりもっと大事なのはソフト面、つまり心のバリアフリーについてです。「心のバリアフリーとは?」と思ってしまうのが、一般の人たちの認識ではないでしょうか?ご家族・友人・同僚など身近な環境に障害者がいれば、相手の立場を分かって行動することができると思いますが、そうでなかったら知らないのは無理もありません。だからこそ既成概念を失くして、新しい知識を取り入れていく必要がありますが、今までのメディアでの扱いに偏りがあったせいかなかなか難しい部分があります。

4.障害者における勝手なイメージが出来上がっている

メディアにおいては、「障害があるからかわいそう」「障害があるから大変」と伝える番組があり、そういった環境ならば「助けてあげよう」という主旨になりがちで、上から目線になってしまうこともあります。それにより、障害者と同じ目線にはなりにくくなってしまう傾向があります。

 

障害の社会理論を研究している大学講師によると「特別な人に特別な優しさを提供しようという意識からは、心のバリアフリーは実現されない」とおっしゃっておりました。特に日本人は、健常者から見た障害者像を作ってしまいがちです。だから障害者に対するバイアス(偏見・偏り)が生じてしまうのではないかと思います。

 

ある障害者の方がおっしゃっていましたが、私がたばこを吸っていると、周りの人から「なぜ障害者なのにたばこを吸うのか」「障害者がたばこを吸うのは税金泥棒だ」というようなことを言われるそうです。これは明らかに障害者に対する偏見でしかありません。障がい者であっても健常者であっても変わらないはずなのに、「障害者だから〇〇」という勝手なイメージができてしまいます。

 

オーストラリアの障害者人権活動家ステラ・ヤングさん(1982~2014)は、骨形成不全症であり、人生の大半を車椅子で過ごした方です。そのステラさんが健常者の感動を呼ぶために障害者を取り上げる風潮を「感動ポルノ」として発言したことが話題になりました。

 

※感動ポルノとは、障害者が障害を持っていることで「感動をもらった、励まされた」と言われる場面を表している。そこでは、障害を負った経緯やその負担、障害者本人の思いではなく、ポジティブな性格や努力する(=障害があってもそれに耐えて・負けずに頑張る)姿がメディアで取り上げられることを言う。

 

15歳の時に学校に通っているだけで達成賞にノミネートしたいと言われたことがありました。ステラさんは特に何かをしたわけではないのにも関わらず、賞を渡す側は「障害があってもよく頑張った」という気持ちだったそうです。また数年後、講演に呼ばれたときには、感動するようなスピーチを依頼されたそうです。つまり障害者は、感動的な話をする人という存在だったのです。そういった偏った見方をもってしまう社会になっております。

 

5.少数の人が困っていることに気がつくことでコミュニケーションがうまくいく


人によっては「障害者=お利口さん」のような構図に当てはめてしまう人がいますが、もちろん障害者といえども一般の人なので、決してお利口さんではありません。これまでのメディアと学校教育の在り方における問題点だと思っております。

 

だからこそきちんとした形を知ることによって、既成概念を取り除くことが大きなポイントになっていきます。バリアを見つけてそれを解決していくためのコミュニケーションが必要となります。

 

世の中における生活面のバリアは大きく分けると4つあります。障害を持っている人にとっては、生活しているとあちこちでバリアを感じることがあります。これは一般の人からすると気がつきにくいことです。これは大多数の人の論理によって生じています。

 

身近で言えば、世の中はすべて右利きの人が使いやすいように作られています。でも世の中には約10%の人が左利きです。右利きの人にとっては左利きの気持ちを理解ことができないでしょう。でも実際には、左利きの人は何かしら日常生活の中で不便を感じています。では一体どのようなものがあるでしょうか?

 

例えば、駅の自動改札口を入る際に電子マネーは右にかざします。エレベーターのボタンも右にあります。知らず知らずのうちに右利きの人のために、世の中のものは作られています。ご存知でしたでしょうか?そういったバリアをいろいろな人が知ることによって、当事者の気持ちを理解することからバリアの解消への取り組みが始まります。

 

状況によっては、今までの不便を解消することが大きな価値につながることもあります。左利きのはさみがものすごく売れたように、少数派の人のお困りごとを解消することで、新たなビジネス展開につながることもあることでしょう。社会が少数派の気持ちを理解することができるようになると共生社会につながります。

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