車椅子ユーザーの職場のスキルアップについて

障害者雇用状況については、法定雇用率2.0%以上の雇用となっているため、50人以上いる事業所には1人は障害者が働いているという形になっていますが、現在の雇用率達成企業は約半数となっております。

 

障害者を雇うことに慣れていない、ノウハウがないなど企業においてはいろいろな理由があるはずです。実際に雇用していてもどんな内容の仕事をやってもらうか分からないとかいろいろな課題があると思います。

 

でもせっかく雇っている以上には、活躍していただける人材を創っていきたいと思っているはずです。会社にとって貢献していただける人材となるような教育プログラムを作っているのかどうかが大きなポイントとなります。

 

また当然働いている障害者側にとっても、頑張ろうというモチベーションが必要になってきます。そこで企業側と従業員側がお互いにコミュニケーションをとりながら、一般の従業員と同じように年数を重ねていくことに比例して、成長していくことが望ましいと思います。

「障害者=○○」「車椅子利用者=○○」というイメージを取り除けるか

人はどんな人でもイメージで決めつけてしまう可能性があります。その人を知って入ればそんなことはないのですが、会ったことがなければ余計にバイアスがかかります。最近では女性の管理職登用を高める動きが出ていますが、一昔では、「女性だから管理職にさせられない」といったような偏った見方がありました。

 

私の元上司の女性も同じようなことを言われたことがあるようです。現在では活躍されている女性の方が多くなりましたが、古い体質の企業であったり、古参の社員が多い企業では現在でもバイアスがかかっていると聞きます。

 

このバイアスは業績を上げようと考えている企業にとっては、能力があるからこそ会社を支えてほしいと思うものです。一部の古い考えを持っている方がいることでバリアとなっているのです。そこで職場のバリアフリーが必要となってくるわけです。

女性の例と同じように「障害者だから管理職にさせられない」といったようなことを私は受けたことがあります。これは「障害者=○○」といったバイアスがかかってしまうのです。障害者だからこれしかできないという考えを持たれてしまいます。

 

だからこそ私はそのバリアを打ち破りたく、実績を上げることに心がけました。そのおかげで38歳の時に課長職へ就くことができました。課長職に就いた後も実績を上げることに徹底的に目指しました。

 

働いていた事業所の業績がもともと厳しい状況下であっても、そこそこの実績を上げました。でも人によっては「障害者=○○」というバイアスは抜けていませんでした。身近にいる方々は私のことを分かっていただけても、本部で働いているような方は、勝手にバイアスがかかり、私とのコミュニケーションをとらないまま障害者だからダメだろうと思ってしまうんです。

 

こういったことが今の社会の中ではまだ残っています。でも障害者であっても活躍できるステージはたくさんあります。どうしても「○○ができないから」というマイナス方向に人を見る傾向があります。

 

これは業務をしていて全く役に立ちません。最悪な事にはチームワークも悪化させていくことにもつながります。人のできる部分に目をつけるような考えをもっていくことが会社の貢献につながるということをぜひとも考えていただきたいと思っております。

ハンディキャップがあっても「できる」業務の中では戦える

 

今回ご紹介するのは私が21年間勤めた企業においての経験です。あくまでも障害のレベルの違いがあるので、参考にならない場合もありますが、モチベーションアップにお役に立てればと思います。

 

車椅子の私は、胸椎5番の損傷をしており、胸から下が麻痺をしているので、腹筋・背筋機能はほとんどありません。但し、手や腕に関しては自由に動かすことができる状態です。総合スーパーの後方部門(売場ではない部門)に所属していました。

 

いろいろな仕事がある中で、一般の健常者の方と違って肉体的に「できない」「できる」業務に分かれます。仕事の中では、バリアの多い職種かもしれません。まずは「できない」業務です。レジ応援・荷物を運ぶ・商品の品出しなどはできない業務になります。

 

ここで「できない」というのは、ゆっくりやれば何とかできるようなものも実践的でないとして「できない」の部類に入れています。例えば、お店では混雑するとレジ担当者以外の人もレジの応援に駆け付けます。

 

ところがレジ応援となると、狭いレジカウンター内に入ること・レジの高さ・てきぱきと動くことができないなどは、たとえ応援に入っても、応援どころか足手まといになるのは間違いありません。そこで、全ての売場応援がダメだと決めつけてはならないところがポイントです。

 

「協力しない人」「拒否する人」という態度は出さないことです。できないのだから仕方がないという態度は、チームワークを妨げてしまいます。コツとしては「できない」ことは実感していても、あえて表情には出さないことです。

 

頑張りますよと演じることも必要だと思います。そのため私はレジ教育などには積極的に参加しました。できなくてもやる気だけはアピールしていました。そうなるとレジの応援はできませんが、他の応援なら大丈夫だということが分かってきます。

 

販売促進のための抽選会の応援はどうかというと、これは「できる」の部類に入ります。多少テキパキ動かないとドンドン並んでしまうので難しいですが、お客さまがいらっしゃったときの明るい笑顔とお客さまにワクワクさせる盛り上げがあれば、車椅子ユーザーの私でも「できる」業務になるんです。

 

しかもこういった場においては、思いっきり盛り上げます。初めの頃は、車椅子の姿でお客さまの前に立つのは恥ずかしさもありましたが、そこは度胸と慣れです。小売業に勤めている誇りがあれば大丈夫だと思います。

 

できる場こそいかにパフォーマンスを発揮して「できる」を思いっきりアピールしました。次に「できる」業務についてです。健常者との差がつかない部類のものです。これについては、できるだけパフォーマンスを発揮します。

 

ポイントは「この人ありき」になれることを目指します。もちろん、初めの頃は「できる」業務も一般の方と同じレベルのスタートかもしれませんが、自分の努力において変えられるのも魅力です。

 

私の業務の中では、電話応対やパソコン入力でした。電話応対は、お客さまへの対応について徹底的に丁寧さを心がけました。どうすればお客さまに対してホスピタリティの出せるかを書籍で読んだりして学びました。

 

パソコン入力は、人よりも早いタイピングを意識して取り掛かりました。ブラインドタッチで入力することは何とかできましたが、それだけでは差がつかないので、自宅でタイピング練習ソフトを徹底的に訓練しました。

 

おかげでワープロ検定1級クラスのスピードを身に着けることができました。私にとっては認められるための第一歩が、今まで述べてきたような内容です。そうして「できる」内容のパフォーマンスを健常者の方より出していくことで次のステージに行くことができました。

 

「できない」業務があると人はマイナスと見てしまいますが、「できる」業務については、人よりもパフォーマンスをさらに上げれば、この人だから任せられるというようにまわりが変わっていくことです。つまり「負をプラスに変える」のも認められる一つになると思っております。

自分にとって最高のパフォーマンスを上げたい気持ちが会社の貢献につながる

パソコン入力なんてそんなの当たり前という声があると思いますが、パソコン入力のスピードが速くなることが、どれだけの効率化が図れるかという点においては、ものすごく意味があると思っております。

 

私の場合は、以前にもコラムで掲載しましたが、リハビリセンターに入院していた時代にあえて仕事復帰を想定して、ワープロ機で入力の練習をしていたことにより、10分間700字の入力ができるようになりました。

 

おかげさまで仕事復帰したときにものすごく役になったのを憶えています。タイピングゲームなどを使うとよりスピードアップが図れます。実際に会社に復帰した後も、自宅にてタイピングソフトを使用して訓練をしていました。

 

その効果によって10分間で1000字以上の入力ができるようになりました。飽きる性格なので、タイピングソフトはゲーム感覚の楽しめるものを使ったのがよかったと思っております。あとはほとんどの人が実践していないテンキーのトレーニングも必要です。

 

テンキーにもキーボードと同じようにどの指がどのキーを入力するというルールがあります。どうしても今までのクセが出てしまいますが、自宅で何度も正しい入力方法をすることで矯正することができ、かなりスピードアップになります。

 

スピードアップすることにより、業務が速く片付きます。課長職をやっていた時には、1日に40件の電子メールが送られてきました。さすがに仕事量が多すぎだと思っていましたが、そんなときにも素早いタイピング入力による返信をすることで大幅なストレスが軽減となります。

 

周囲の同僚にはすぐに返信しないことで、どんどん仕事の期限に追い込まれます。そうなると「まだ終わっていないのか」という怒号が飛び交うこともしばしばです。私としてはいかに早く返信することで相手に対しても好印象になると思っておりました。

 

そういったことの繰り返しが相手との信頼を生みますし、仕事のできる人というイメージを植え付けるのにはもってこいです。私が周りからそう見られていたかどうかは分かりませんが、自分としてはこういった部分でハンディキャップを負っていてもパフォーマンスが発揮できると意識的に考えて行動していました。

 

せこい人のように思えますが、こういったところでも健常者との差を埋めていくには必要なことだと思っています。なぜならハンディキャップがある立場だから考える作戦です。サラリーマンをしていれば、賃金・条件・待遇をUPさせることは仕事の充実につながるからです。

障害は様々でも残存機能の中で活躍できるステージがある

障害者の退職理由の大半が、賃金・条件・職場環境・仕事内容になっております。賃金をアップさせていくためには、パフォーマンスを発揮させていき、企業に貢献することを考えていくことが必要です。

 

もちろんパソコン入力のスピードだけが賃金アップにつながるとは思いませんが、そういった部分の効率化を図ることで、他の業務においても効率化を考えた働き方ができると思っております。それが仕事のパフォーマンスに繋がるはずであり、人から認められることになると思います。

 

もちろん私よりも障害レベルの高い人がいますので、私の例がそのまま使えるわけではありません。でも人間は残存機能を活かすことで、一般の人にはないパワーが発揮されると思っております。

 

私の知っている視覚障害の方は、歌の世界で活躍しております。耳と声の機能は他の人にはない素晴らしさを持っております。もちろんご本人の努力があって今があるはずです。以前には腕相撲の日本チャンピオンは車椅子ユーザーでした。

 

普段から腕を鍛えている車椅子ユーザーだからこそ、一般の健常者以上の力が発揮されたんだと思います。だからどんなにつらくてもあきらめないことです。あきらめた瞬間に実行には移さなくなってしまうからです。

 

決して健常者と競うために仕事をするわけではありませんが、会社に所属していることで貢献していきたいと思う気持ちは忘れてはならないと思います。自分を採用してくれている企業に対して、自分の持てる力で最大のパフォーマンスを発揮する気持ちが、不満の多い賃金・条件・職場環境・仕事内容を変えていけると思います。

 

そうなることできっと企業内での見方も変わっていけると思っております。ぜひとも職場でのスキルアップを磨いていき、認められる社会になっていくことを願っております。

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