車椅子利用者の「住む・暮らす」のバリアフリーは大きな課題

2018.01.25 (木)

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車椅子ライフデザイナーのまおうです。私が車椅子生活になったのは、1996年9月の出来事です。あれから21年が過ぎようとしておりますが、バリアフリーの面で大きく便利になったものもある反面、そう感じられないものもあります。その一つが賃貸マンション・アパートではないでしょうか?

病気・ケガで車椅子生活になったときに起こる「住まいの問題」

1996年9月~1年1ヶ月の入院生活を過ごし、1997年9月末に退院した際に、大変だったのが「退院後の住まい問題」でした。退院の1ヶ月くらい前に病院側から「そろそろ退院になります」と告げられました。普通の人なら退院するのはとてもうれしいことですが、車椅子ユーザーとなると素直に喜べない事情が出てきます。

 

事故前は普通の身体でしたので、歩くことができました。しかし事故後は車椅子生活です。持ち家であればリフォームをしなければ戻れませんし、持ち家がなければ新しくバリアフリーの物件を借りなければなりません。どちらにしてもハードルは高い状況です。リフォームするにしてもお金と時間がかかりますし、賃貸の物件を探すにしてもバリアフリーの物件は簡単に見つかるものではありません。

 

私が入院中に両親がアパートをあちこち探したものの、バリアフリーのアパートは結局見つからず、一般のアパートに住むことになったのです。当時、仕事に復帰したときの店のボスからは「柏(千葉県柏市は隣の市)にいけばバリアフリーの住宅はたくさんあるよ」と軽々しい発言をされてカチンときた思い出がありますが、実際に車椅子で入居できる場所は皆無に近かったものです。

 

現在は持ち家に住んでいますが、退院直後は賃貸のアパートに2年ほど住みました。なんとか父のDIYよって、アパート内部には釘を一切打たないでトイレの改装や木製の車椅子を造ったりしてどうにか生活することができました。しかし1人で暮らせるような環境ではなく、母の介助を必要としました。入口には毎回簡易のスロープを設置しなければならなかったですし、トイレに行く度に木製の車椅子に乗り換えて、母に押してもらわないといけない構造でした。

車椅子ユーザーとなった21年間であまり変わっていない現実

 

そこで21年後の状況はどれほど変わっているのか?気になってあちこち検索してみました。確かに超高齢化社会に伴って「バリアフリー」というワードは少しずつ浸透してきたように思えます。購入型のマンションであれば、いくつか利用できるところも増えてきたように思えますが、賃貸型は未だに少ない状況に変わりありません。

 

不動産検索サイトには「バリアフリー」で検索できる項目がありますが、ヒット件数が少ないですし、車椅子ユーザーの立場からすると「なぜこれがバリアフリー?」と思えるものがほとんどです。単に手すりがついていればバリアフリーとか、場合によっては車椅子のスペースで入れれば段差があろうが、トイレに入れなくてもバリアフリーと表示されております。

 

そこにはバリアフリーという基準がないことや利用者目線による施工がされていないのも課題です。さらにサイトの運営者及び不動産会社においても、何をもってバリアフリーなのかが分かっていないのも大きな課題です。そのため21年経過してもバリアフリーの物件を見つけるのは、以前と変わらず困難な状況となっております。

 

人は生活しているといつどこで何が起こるか分かりません。急に病気・ケガで入院し後遺症が残るケースも誰にでもあるものです。そういった状況のときに、いかに対応できる正しい情報が必要になります。「暮らし」という大きなキーワードにおいてバリアフリーが遅れている分野については、早急に改善されていくことを願っております。

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