車椅子ユーザーが車で外出する際に利用する身障者用駐車スペースの広さが3.5Mなのはなぜか?

2017.10.13 (金)

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車椅子ライフデザイナーのまおうです。車椅子ユーザーが利用する駐車スペースについては、以前もコラムで取り上げてきましたが、車椅子ユーザーの駐車場事情をぜひとも知っていただきたく、再度取り上げてみたいと思っております。なぜ身障者駐車スペースが必要なのか?また該当駐車スペースがない場合はどうしたらいいのか?

身障者用駐車スペースが大きい理由は車椅子の乗り降りのためにある

まず身障者用駐車スペースが必要な大きな理由は、通常の2.5Mの駐車スペースでは車椅子の乗り降りができないという点です。知らない人からすると「なぜ通常のスペースではダメなの?」と質問を受けますが、車椅子の乗り降りをするときには運転席・助手席のドアを全開にします。そして運転席もしくは助手席などから車椅子へ乗り移ります。そうなると通常の2.5Mでは隣の車にぶつかってしまいます。

 

「隣の車がいなければ大丈夫じゃない?」と思いがちですが、自分が車椅子に乗って店舗や施設を利用して帰ってきたときに、隣に車がいたらドアを全開に開くことができず車椅子から車への乗りこみができません。そうなると隣の車の所有者が戻ってこない限り、その駐車場から車を出すこともできなくなります。

 

そのために身障者駐車スペースは通常の2.5Mの駐車スペースにプラスして、1Mの斜線部分が用意されており、車椅子の乗り降りが可能になります。だからこそ斜線部分に自転車やバイクをとめたりしないでいただきたいのです。車椅子ユーザーのバリアをあえて作ることになってしまいます。

 

都内などでも身障者用駐車スペースのある駐車場は限られています。身障者用駐車スペースがない場合は、通常の駐車場でも隣に車をとめることのないスペースがあれば乗り降りは十分可能になります。但し、コインパーキングのような床からの跳ね上げ式の駐車場は利用できません。跳ね上げ式の機械が運転席の脇にあるために車椅子を降ろすことができません。

一般の人がとめないための措置は車椅子ユーザーのバリアにもなってしまう

またよくあるのが一般の人がとめないように赤いコーンやトラバーを置いておくケースです。これも車椅子ユーザーには大きなバリアになってしまいます。一般の人がとめないばかりか肝心な車椅子ユーザーがとめられなくなってしまいます。私の場合は、駐車場管理事務所の連絡先をネットで探して電話をかけるようにしております。

 

さすがに駐車場に入庫する際、赤いコーンの有無は分かりません。もし気になるのであれば、入庫時に連絡ボタンを押して管理者と話してみることをおすすめます。ただ今までの経験上、その旨を説明するのにかなり時間がかかります。なかなか分かってくれないのが実情です。

 

ここまで説明をしてきましたが、最近は高齢化社会が進んで身障者用駐車スペースが空いていないことが多くなりました。スペース争奪戦となっています。時代背景から考えると、身障者用駐車スペースを増やさなければならない時期にきているのかもしれません。また近いところにとめたいという理由の高齢者の方への配慮も大事ですが、そのスペースでなければとめることのできない車椅子ユーザーへの配慮の方が優先的とする社会が必要です。

全てはお互い様の社会であり、優先すべき対象を間違ってはいけない

それは点字ブロックと同じ考え方です。車椅子ユーザーにとっては、点字ブロックがあるとガタガタしますが通ることができます。視覚障害の方にとっては点字ブロックがあることで進路をきちんととることができます。そうなれば優先しなければならないのは、視覚障害の方となります。誰を優先的にするかが大きなポイントとなります。

 

そのためスペースの争奪戦が発生している中で、車椅子ユーザーからは店舗や施設の入口付近でなくてもいいから、身障者用駐車スペースを設置してほしいという声も多いのが実情です。確実にとめることができるのであれば、入口付近は我慢しますと言っています。そうでなければ店舗や施設を利用することすらできなくなってしまうと考えるからです。

課題にどれだけいろんな人が気づくことができるかが大きなポイント

今後はこういった課題にどれだけいろんな人が気がつくことができるかが重要なポイントだと思います。もし身障者用駐車スペースが空いていなければ「2台分使ってください」と言えるような社会になってほしいものです。そうなれば物事は解決します。最後はこころのバリアフリーによって対応できることが大事だと願っております。

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