バリアフリーが“選ばれる理由”──今こそお店のチャンス!

バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。

 

近年、ショッピングモールなどで車椅子を利用されている方を見かける機会が増えてきました。

 

しかし、それ以外の場所ではあまり見かけないと思いませんか?

 

実は、車椅子を使う方々は、「車椅子で入れる場所」にしか行けないのです。

 

この事実を知ると、「じゃあ自分のお店が車椅子でも入れるようになったら…?」と想像してみてください。

 

新しいお客さま層が増え、売上アップにつながり、さらには社会貢献にもなる。

 

でも、「具体的にどうしたらいいのかわからない」と感じた方も多いはず。だからこそ、今がチャンスなのです。多くの店舗がまだ対応しきれていない今こそ、行動すべきタイミングだと考えます。

 

1. お客さまの気持ちは「バリアフリーなら行けるのに…」

 

以前は気軽に通っていたお店でも、車椅子を使うようになると、段差や狭さが大きな障壁になります。そのため「もう行けない」と諦めざるを得ない方が多くいるのです。

 

障害や高齢によって身体が不自由になっても、美味しいものを食べたい気持ちは変わりません。

 

私が知る方の話です──。昔、家族で通っていた地元の中華料理店に、両親を連れてもう一度行きたいと願っていた女性がいました。しかしそのお店は階段で2階に上がらないと入れず、残念ながら両親を連れて行くことは叶いませんでした。

 

その思い出が心に残り続けているというのです。

 

お店側がこうした「諦めた気持ち」に気づいていないことが多いのが現状です。

 

もちろん、バリアフリー化には費用やスペースなどの制約があるかもしれません。でも、その先には新しいお客さまとの出会いが待っています。

 

2. バリアフリーのスポットはまだまだ不足

 

私自身、20年以上車椅子生活をしています。バリアフリーは確実に進んできましたが、それは一部の公共施設や大型モールに限られています。

 

それ以外の施設では、「トイレは使えるのか」「段差はないか」など、外出前に調べなければならないことが山のようにあります。

 

Google Earthで駐車場のレイアウトを確認したり、多目的トイレの画像をネットで探したり──。そんな風にして、ようやく外出の計画が立てられるのです。

 

宿泊施設でもバリアフリールームの情報が明示されていない、あるいは予約できない、というケースも多く、旅行の断念につながることもあります。

 

3. 工夫次第で、コストを抑えてできること

 

「バリアフリー=大掛かりな工事が必要」というイメージを持たれるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。

 

例えば手すりの設置方法を工夫する、台を使って段差をなくすなど、低コストでもできる対応はたくさんあります。

 

宿泊施設なら、浴槽の高さを合わせるだけで入浴のしやすさが格段に向上します。

 

すべての障害に対応することは難しくても、「できることから始める」姿勢が、多くのお客さまの安心と信頼につながるのです。

 

4. お店にとって今こそ顧客獲得のチャンス!

 

ほんの少しの改装で、車椅子利用者だけでなく、ベビーカー利用のご家族にも喜ばれるお店になります。

 

「あのお店にまた行けるようになった!」──この声が、お客さまの笑顔とリピーターの増加につながるのです。

 

駐車場が狭くても、1台分のスペースを広げるだけで、乗り降りしやすくなります。大きな投資がなくても、工夫と配慮でお店の価値は高まります。

 

今こそ、バリアフリー化で「選ばれるお店」へ。

 

この機会にぜひ、あなたのお店でも「誰もが利用しやすい環境づくり」に一歩を踏み出してみませんか?

 

5. バリアフリーは“特別な対応”ではなく“新しい当たり前”へ

 

「バリアフリー」と聞くと、「特別な設備」や「障害者のための特別対応」といったイメージを持つ方がまだ多いかもしれません。

 

しかし実際は、車椅子ユーザー、高齢者、ベビーカーを使う家族、そして一時的に足が不自由な方など、誰もが対象になるものです。

 

つまり、「バリアをなくす」という考え方は、決して“マイノリティ向け”ではなく、“未来の自分や家族”のための取り組みでもあるのです。

 

社会全体の高齢化が進み、障害者の方も積極的に外出するようになった今、バリアフリーは「当たり前」として整備されるべき時代に入っています。

 

“おもてなし”の先にあるバリアフリー。これからは、それが本当の意味でのサービスになるはずです。

 

6. 利用者の声に耳を傾けることが、最大のヒントになる

 

実は、バリアフリーの整備において一番のヒントは「現場の声」にあります。

 

・どんなことで困ったのか?
・どんなサービスが嬉しかったか?
・どんな対応があったら、また来たいと思うか?

 

こうした“当事者の声”を集め、耳を傾けることが、結果として最も効果的な改善策につながります。

 

私自身、20年以上車椅子での生活をしてきた経験を通して、「聞いてくれた」「理解してくれた」ということだけでも、そのお店の印象は大きく変わると実感しています。

 

もし、どこから始めればいいかわからない場合は、まずは「利用者の声」を集めてみることからスタートしてみてください。

 

7. そして、未来のスタンダードを一緒につくりませんか?

 

バリアフリーは、もはや一部の公共施設や大企業だけの取り組みではありません。

 

今こそ、地域のお店やサービス業、小規模な事業所でも積極的に取り組むことで、新しい時代の“選ばれる基準”になっていくでしょう。

 

誰もが気軽に訪れ、安心して利用できる環境を持つお店こそが、これからの社会において選ばれていきます。

 

小さな一歩が、大きな変化につながる。

 

その先に、「あの店なら行ける」「また行きたい」と思ってもらえる場所づくりが広がっていくことを、心から願っています。

 


★このホームページでは、バリアフリーの考え方や実践ノウハウを今後も発信していきます。よろしければYouTubeチャンネル「バリアフリースタイルTV」もあわせてご覧ください。

 

バリアフリーの「わからない」を「できる」に変えるきっかけになれば幸いです。

 

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