車椅子でも利用できるバリアフリー化が大きな価値を生みだす理由

ちょっとイメージしてみてほしいのですが、最近ショッピングモールへ行くと、以前と比べて、車椅子利用の人を多く見かけませんか?結構、見ますよね。でもそれ以外の場所で車椅子利用の人ってあまり見かけないですよね。それってなぜだと思いますか?実は、車椅子利用の人は、車椅子で入れるところしか行かないんです。

 

当たり前ですよね。でも高齢化も進み、車椅子利用の人は増え続けていても、それに対応できているお店って、それほど多くはないのです。だとしたら、もしあなたのお店が車椅子でも入れたらどうなると思いますか?車椅子を利用されているお客さまが、たくさん集まって、売上が上がり、さらに社会貢献にもつながるんです。それって嬉しくないですか?でも何から手をつければいいのって今思いましたよね?だからこそ、誰もあまり対応していない今だからバリアフリー化にチャンスがあるんです!

 

1.お客さまの気持ちはバリアフリーになれば行けるのに・・・

以前は、気軽に入れることのできたお店が、車椅子を利用することで目の前に大きな段差があったり、店内が狭かったりすると「もうここで食べることはできない」とがっかりすることもよくあります。

 

そこにはバリアがあるからです。健常者にとっては想像しにくい話かもしれません。私も健常者の時はそうでした。いつも気軽に入っていたお店が、立ちはだかるバリアによって入れなくなるのです。

 

年齢をとっても、障害があっても美味しいものを食べたいという欲求はあります。ところが車椅子を利用しなければならないと、この欲求を我慢に変えなければならないことが多くなります。

 

私の知っている方は、こんなことをおっしゃっていました。子供の頃に家族でよく行った中華料理屋があります。その中華料理屋は、地元でも大人気のお店です。高校受験に合格した時には、両親はお祝いをするためにその中華料理屋に連れて行ってくれました。それだけ思い入れのあるお店でした。

 

その後、時が経ち結婚をされて地元の九州から関東へ嫁ぐことになりました。たまには地元へ帰るのですが、両親は、昔のように体力がありません。常時車椅子を使う状況ではないのですが、階段を昇るようなことはできない身体になっていました。

 

今度は、両親を連れてあの懐かしい中華料理屋へ行きたいと思っていても、その中華料理屋にはエレベーターがなく、2階まで階段で行かなければなりません。そのため残念ながら行く事はできませんでした。

 

父はその後他界してしまい、中華料理屋へ行く事は出来ませんでした。母もどんどん老いていく状態の中で、一度でいいから、あの懐かしい味で母を喜ばせてあげたいとおっしゃっていました。

 

そういったことをお店の方は、知っているのでしょうか?多分、地元でも大人気のお店ですからこの方と同様な事を思っている人が大勢いるはずです。こういったことが、お店の方が知らないだけで、世の中ではたくさんあるということを知っていただきたいのです。

 

バリアフリーにすることは、簡単なことではないでしょう。エレベーターの設置または昇降機の設置、多目的トイレなどは大きな設置費用になるかもしれません。企業としては難しいと思うかもしれません。

 

しかし、発想を変えれば、上記のような方が増えることで、多くのお客さまが来店する可能性を秘めています。客数アップをすることで売上が上がることにつながります。そしてお客さまから愛されるお店になっていくはずです。

 

 

2.バリアフリーのスポットはまだまだ十分ではない

私は車椅子生活を20年以上続けておりますが、世の中のバリアフリー化は急速に進んでおります。特にそれを感じるのは、公共交通機関(駅・空港など)・病院(クリニックを含む)・ショッピングモールです。

 

これらの場所では、多目的トイレの設置・エレベーターの設置(一部は昇降機の場合も有)・段差の解消・身障者用駐車スペースの設置などとても便利な世の中になってきました。

 

ところがそれ以外の場所におけるバリアフリー化は、残念ながら十分とはいえません。そのため車椅子利用者にとっては、利用可否を事前に確認しなければならない状況が続いております。

 

私が住んでいるのは茨城県です。東京に出かけることが週に数回あります。何度も行っている場所であれば、身障者用駐車スペースがどこにあって、多目的トイレがどこにあるなどの情報があるので安心です。

 

しかし、初めて行く場所の場合は不安が大きいです。目的地周辺に専用の駐車スペースや多目的トイレの有無は正直分かりません。むしろ、目的地に電話で確認したり、ネットを使って事前に調べないと分からないケースがほとんどです。だからこそバリアフリーの整備が進むことを車椅子利用者は願っています。

 

健常者の方からすると不思議なことに思えるかもしれませんが、Google Earthを使って駐車場のレイアウトを確認することもあります。それ以外にもYahooやGoogleの画像を検索して多目的トイレがあるのかどうかも確認します。

 

それ以外にも駐車場サイトや民間で作成している多目的トイレマップなども駆使することもあります。そうやってやっと安心できる外出が可能になります。結構、驚きかもしれません。そのために長期の旅行などになると、下記のような事が起こる場合もあります。

 

例えば、旅行を計画したにも関わらず、飛行機・レンタカーは手配していたものの、宿泊施設のバリアフリー化が整っていなかったことで、旅行を中止せざるを得ない場合もあります。つまり泊まれなければ、旅行自体が成立できません。

 

また日帰りの旅行をしながら目的地に多目的トイレが見つからないことで、コースルートを変えざるをえない場合もあります。そういったことが続くと外出するのも面倒になっていき、諦めてしまうケースにもつながります。

 

3. ちょっとした工夫でハード面が解消できる場合もある

気軽に家族で食事をするファミリーレストランなどにおいても、お店の中に入る部分においてはバリアフリーになっているものの、多目的トイレの設置はほとんどありません。

 

飲食チェーン店でも、なかなかトイレまでは設置できていない状況です。私の場合は、大体3時間に1回の割合でトイレに行きます。もしこのようにトイレのない施設を利用する場合は、事前に別の場所でトイレを済ませてから行きますが、長居ができないことがほとんどです。

 

一般の飲食店となると、身障者用トイレ(多目的トイレ)まで設置されているところはほとんどありません。しかも場所によっては、駐車場もないところがほとんどです。

 

しかし、これからの時代は私のような身体障害者だけでなく、高齢化社会に伴い、3500万人の高齢者が徐々に車椅子利用となっていく可能性も出てきます。全人口の4分の1や3分の1が高齢者となる時代になります。

 

高齢者も元気なうちは、美味しいものを食べに外出していたはずで、身体が不自由になったことで、もうあの店には行けないというような「できない」ことが多くなるのです。
またホテルなどの宿泊施設においても、バリアフリールームのある施設は未だに少ないのが現状です。さらにバリアフリールームがあってもホームページでは公開していないことやネットにおける予約ができない部分があります。

 

そして未だにバリアフリールームを設置しているものの、段差があったり、トイレや風呂の設計が不十分なため、利用するには危険を感じるような状況があります。

 

多くの人が使う業態こそが意外とバリアフリーの導入が遅れているといえます。導入にはコストがかかりますが、できるだけ工夫をすることによって、低コストで対応する方法もあります。

 

例えば多目的トイレのような場合、手すりを壁に固定するのがほとんどですが、壁に固定しないで取り付けるような方法もあります。そういったような方法にするだけで工賃が大幅に下がることも可能です。

 

またホテルの場合などにおいては、特殊な機械がなくても台(スノコのようなもの)を湯船と同じ高さに設置しておくだけで車椅子利用者は、風呂を気軽に入ることができるようになります。

 

そういったコストをかけないで、少しでも多くの方々が利用できるような施設にすることが可能です。もちろん、全ての障害レベルの人に対応することができないかもしれませんが、今まで以上に多くの方が利用することができるようになるはずです。

 

4. お店にとっては今こそお客さま獲得のチャンス!

お店の入口が広くなったり、トイレが若干広くなったりするだけで利用できるのも事実です。お店はお客さまに多くきてもらいたいと思っています。このような閉鎖的な現実だからこそ、少しの工夫をすることで、他のお店とは違う差別化が十分図れるはずだと思います。

 

もしお金をかけにくいとしても、わずかながらの改装やこころのバリアフリーで対応すれば、あのお店にはもう行けないと思っていた方が、車椅子生活になる前に行っていたお店で食事ができるように変わるでしょう。そうなったら嬉しいことです。

 

それがお客さま商売のリピーターにつながる理由であり、高齢者・障害者でもまた行きたくなるお店に変わっていくでしょう。気軽に行ける場所の少ない車椅子利用者にとっては、行けるお店が増えることを期待しております。

 

残念ながら路面店の小売店や飲食店には、多目的トイレもなければ、広い駐車場もないのが実態です。ショッピングモールのような大きいトイレではなく、ちょっとだけ広いトイレに改装して、車椅子利用者だけでなくベビーカーをお使いのお客さまにも対応できるレベルで大きく変わってきます。

 

そうすれば飲食店などでは席数の削減も最小限にできるはずです。また駐車場においては、身障者用駐車スペースを造ることができなくても、一般の駐車場のスペースを2台分使用可能にするだけで、車椅子への乗り降りが可能になります。

 

お金をかけなくても十分バリアフリー化につながります。そしてあなたのお店が「選ばれる」お店になるはずです。ぜひともこれを機にバリアフリー化が進むことを期待しております。

 

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