車椅子走行では段差がなければ大丈夫と思っていませんか?

2018.02.09 (金)

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車椅子ライフデザイナーのまおうです。いろいろな商業施設に行くとまず気になるのが「段差の有無」です。段差があるだけで敬遠してしまうのがほとんどです。入口に2段以上の段差があると、どうしても車椅子でクリアするのは困難になります。では逆に段差がなければ大丈夫なのかと言いますと、意外とそうではない場合があります。これから商業施設などを作る予定の方々にはぜひとも知っておいてほしい内容です。

車椅子の前輪はショッピングカートのようなもの


車椅子には前輪と後輪があり、後輪は自転車のように大きい車輪がついていますが、前輪は後輪に比べてかなり小さな車輪になっております。後輪の特徴は、空気をいれるようなチューブ式のタイヤになっていることが大半です。一部では絶対にパンクしないノーパンクタイヤを装着している人もいますが、全体的には少ないと思います。逆に前輪の特徴は、空気を入れるようなものではなく、ショッピングセンターの買い物カートのようなノーパンクタイヤになっております。

 

タイヤの小さい前輪は、目が粗い舗装道路や石畳などは地面が凹凸になっていると、路面がガタガタすることで身体への振動が強くなります。そのためたとえ段差がなくてもあまりにもガタガタするところは、好まれない路面といえるでしょう。これはベビーカーにおける走行などにおいても、乗っているお子さんや押している親御さんには身体への振動は強く感じるにちがいありません。

 

さらに身体への振動だけでなく安全性における課題も出てきます。なぜならば小さな車輪は石畳のような大きな凹凸がある場合、凹凸の溝にひっかかる場合もよくあることです。小さな車輪が溝にひっかかると完全に車輪がロックされてしまい、車椅子利用者の身体が前方に投げ出されてしまいます。スピードがあればあるほどその勢いは増すでしょう。

車椅子利用者が増える中では少しでも凹凸を失くす路面が喜ばれる


 

テレビでクルマメーカーのシートベルト着用有無の実験映像を見たことはありませんか?シートベルトを着用していないと、車への衝突時に身体が前方に投げ出されてしまいフロントガラスに身体が激突するようなことが発生します。これと同じように、前輪がロックされると無防備である身体は前方に投げ出されてしまうのです。だからといって車椅子にシートベルトはありません。

 

しかも一般の方と違って下半身は麻痺している人が多いために、投げ出されてしまったら受け身をとることができません。膝から落下してけがをするケースが大半です。地面への衝撃が強い場合は、骨折にも至ってしまう場合があります。だからこそ地面の凹凸を作らない設計が望ましくなります。

 

もちろん経営者側の立場からは、商業施設のおしゃれさを演出したい気持ちは分かりますが、私も長年ショッピングセンターの施設の管理責任者をやってきた立場からすると、ちょっとしたアクシデントによってお客さまからの慰謝料請求、治療費請求などの対応してきた経緯から、事故は少なくなってほしいと思う気持ちが大きいものです。これからの超高齢化社会に伴うことで事故防止の方が優先すべき内容ではないかと思います。

 

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