障害者になった車椅子ユーザーにとって社会復帰までの厳しい現状について
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車椅子ライフデザイナーのまおうです。今回は現在におけるリハビリ事情についてです。国によるリハビリ期間の縮小などがあり、整わない状況で社会復帰をしなければならない事態が起こっております。私がリハビリをしていたころと比較した上でお伝えします。
リハビリ期間の縮小は身体づくりと障害の受け容れにおいて厳しい現状
私がリハビリを行ったのは、埼玉県所沢市にある国立身体障害者リハビリテーションセンター病院です。医療関係者や障害者の中では、通称「国リハ」と呼ばれています。日本のリハビリテーションにおける中心的な役割として運営しています。
国リハでは1997年3月から本格的なリハビリテーションをスタートすることになりました。当時は脊髄損傷者のリハビリ期間は6ヶ月位でした。残念ながら最近では国の健康保険における問題からリハビリ期間は以前よりも短くなっていると言われています。
私は正直6ヶ月間でもあまり長いとは思いませんでした。なぜなら車椅子生活になって、身体を作り上げるのにはかなりの時間がかかるということです。私は3度目の病院になりましたが、その前の病院においてもリハビリを受けていました。
でもそのリハビリは、寝たきり状態から車椅子に乗って多少動くことのできるレベルにするためのものです。しかもこの時期のリハビリでは、体力が全くない状態ですので、ベッドから車椅子に乗り移るための基本的な動作などはできないんです。
日常生活に慣れるためのリハビリはかなり時間がかかる
国リハに来てからのリハビリは、ベッドから車椅子への乗り移りの方法をはじめとして、風呂に入る方法、着衣の着替え方法、排尿・排便方法などを学びました。さらに車椅子のまま長時間過ごすことに慣れていくなどやることはいろいろと満載でした。
あとは体力を強化していかないと日常生活はできないので、PT室においての基礎体力のトレーニング・体育館でのスポーツによるトレーニングや車における手動運転について教習などをやって、ちょうど6ヶ月間病院で訓練をうけた後に退院をしました。
身体についてはなんとか6ヶ月間でぎりぎり仕上がったという感じがしました。さらにメンタルの部分です。私は時間がかかりませんでしたが、通常では自分の障害を受け容れることに時間がかかります。
もともと健常者として過ごしてきたわけですから、一生車椅子生活になるという宣告は余命宣告に近いものがあります。医師から宣告を受けてもなかなか受け止めることができません。人によっては生きていても仕方がないと思い、自殺に踏み切るような人も聞いております。
障害者の社会復帰において国の制度が向上してほしい
そういった中ではリハビリ期間が短くなるのは復帰への準備が出来ません。リハビリセンターで過ごしている間は、病院の施設は全てバリアフリーになっていますし、障害を負っている仲間がいますので意外と安心できます。
でも退院すれば世の中はバリアだらけで、障害を負っている仲間もそばにはいません。そうなると外出するのが難しくなり、引きこもることもよくあるケースです。どうしても身体もメンタルも出来上がっていないのに、病院を退院せざるを得ない現在の制度は厳しいと思います。
国の健康保険制度が厳しい世の中では、従来のようなリハビリ期間の復活は簡単ではないと思いますが、ぜひとも車椅子の方々でも実生活で過ごせる環境になることを願っています。
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