障害者雇用を考える上で法定雇用率における課題
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車椅子ライフデザイナーのまおうです。「障害者のいる職場というのを想像できますか?」うちの会社には誰もいないですよという方がいるかもしれません。今回は、障害者雇用そのものの課題について考えてみたいと思います。
障害者雇用における民間企業の法定雇用率は2.0%
障害者雇用における民間企業の法定雇用率は2.0%です。本来であれば、50人在籍している企業であれば、1人は障害者を雇用しなければなりません。2.0%に達していない企業は、国に対してペナルティーを払っている状態です。
月々1人当たりのペナルティーが5万円と言われている中で、1年に換算すると60万円もペナルティーになります。社内としてはペナルティーの金額が安いはずがありません。しかも全く採用しないような企業については、さらにブラック企業的な扱いとなり、世間への公表の対象となってしまいます。
さすがに公表されるような企業になれば、事業を続けていく上で人に優しくない企業であることを世間にイメージさせてしまうでしょう。こうなってしまったら通常の事業をしていく上でも厳しくなるはずです。
人に優しくない企業との取引そのものも避けたくなる
私も人事総務課長をやっていた経験からすると、人に優しくないような企業との関係性は残念ながら避けたいものです。なぜならば、以前こういった一件がありました。
ある企業において従業員の不当な雇用をしていることが、労働組合を通してクローズアップされて、その取引先に私の所属していた店舗がなぜかリストアップされていました。確かに気が付かないような些細な取引実態はあとで気づきました。当時は私がその店舗の人事総務課長をしていました。
まず本部には街宣車が駐車し、「不当な雇用をしている企業と取引しているおまえらも悪」だとののしられたことがあります。さすがに道路を占拠して大音響を響かせて訴えられるのは最悪です。
しかも当時の部長からは「君の店舗にももしかしたら抗議の街宣車が来るかもしれないから、覚悟しておいた方がいい」言われたことがあります。私にとっては、その企業の雇用実態など知る由もないわけですが、取引していることで自分たちの企業にもダメージが及ぶ場合があることを知りました。よかったことに自分の店舗に街宣車が来ることはありませんでした。
考え方を変えれば見直した方が会社にとってプラスなはず
そういったことになりかねないのが現在の実態です。障害者雇用がゼロという企業は、障害者への対応ができないと予め突っぱねていることが多いものです。でも考え方を変えれば、ペナルティーを払ってさらに世間の評判に影響するのであれば、見直した方が会社にとって十分得になるはずです。
あとは採用する上で、どう整備していくのかです。建物や設備面のバリアフリーも大事ですが、従業員におけるこころのバリアフリーも大事な要素です。でも決して悲観的になる必要はありません。
障害者を雇用することでチーム内の組織力がアップ
むしろ障害者の人が社内に在籍することは、チームそのものの在り方も変えていくことにつながると思っています。障害者であれ健常者であれ困っている人を助ける社内風土をきちんと整備することで、チーム内のギスギスした環境が撤廃されて、働きやすい職場環境へ変わっていくと思っております。
そうなればコストをかけて整備したことも、いずれ取り返せるだけでなく、更なる貢献度が高まり、結果として雇うことで得になる構図が生まれてきます。いつでも前向きに考えることこそが、企業の組織力を上げることにつながると思っております。
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