店舗・施設のバリアフリー化が進むことによる大きなメリット

2019.05.27 (月)

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あなたのお店の『バリア解消』請負人 白倉栄一です。日本は超高齢化社会に向かっております。高齢者は日本の人口の4分の1から3分の1になろうとしております。今後は後期高齢者が増えてくる背景の中で、車椅子生活を余儀なくされる方々も増えてくることは間違いありません。

 

そして障害により車椅子生活をしている方も入れると、かなりの人数の方々が車椅子を利用しています。駅などの公共の施設においては、急速にバリアフリー化が進んだこともあり、車椅子利用者の外出が、従来よりも可能になってきている反面、その一方で外出したくてもなかなか外に出られない方々も多くなっている実態もあります。

 

私の場合は1996年の交通事故によって車椅子生活になりましたが、リハビリセンターに入院しているときは、バリアフリーになっているものの、退院して世の中に帰ってくると、健常者のときのような過ごしやすい生活とはほど遠いものでした。

 

街中にはたくさんのバリアがあります。多目的トイレがなかったり、身障者用駐車スペースがなかったり、段差があったりいろいろなバリアに出くわします。さらに人々の車椅子利用者に向けての視線も結構辛いものを感じます。

 

実際に直接言われているわけではないのに、「この人、若くして車椅子生活になってかわいそうだね」と見られているようになぜか受け止めてしまうんです。だからバリアだらけの社会に飛び出すことは、ものすごく不安を感じてしまいます。気持ちが滅入ってしまうのかもしれません。

 

できることならば元の身体に戻りたいという気持ちばかりが先行してしまって、変えることができない過去に関して、悔やみだすのがほとんどではないでしょうか。そこで現在の生活や未来の生活に向けて一歩が踏み出せないことは、誰にでもあることです。

 

その反面で、人は年齢を重ねても、障害を負っても、今までのように「食べたい」「楽しみたい」という欲求は消えていません。たまには元気な時に行ったあのレストランのあの食事を食べたいと思うことは当たり前のことです。

 

でもバリアフリーの世の中ではないことで、「もう二度とあのレストランであの食事を食べることができない」と我慢することでしょう。そこから1つ1つが諦める人生につながっていきます。もしあのレストランがバリアフリーだったら、状況は大きく変わっているかもしれないのです。

 

そういった意味で言えば、世の中におけるバリアフリー化へのニーズは高まっています。そこでもしあなたの企業、お店がバリアフリー化にしたらものすごく喜ばれるのではないでしょうか。

 

多くの高齢者・障害者が外出しやすい環境になり、「できない」と思われていたことが「できる」と思えるようになると未来は大きく変わります。しかもそれは社会貢献だけではなく、これだけのニーズのある世の中だからこそ、誰もが取り組んでいないバリアフリー化にすることが、集客による売上増加も見込めるでしょう。

 

売上も上がって、さらに人に優しい企業として多くの方々から注目を受けるようになったら、企業価値は必ず上がることは間違いありません。

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて

2020年まであと1年。東京がオリンピック・パラリンピックの開催が目前に迫ってきています。今までのオリンピック・パラリンピック以上に、文部科学省が力を入れて、世の中が障害者と健常者の共生社会への取り組みが始まっています。

 

今後は海外からも気軽に車椅子利用者が日本へ訪れることも可能性があるでしょう。でも現時点においては、限られた場所だけがバリアフリースポットとなっております。そこで新たなバリアフリースポットが増えていくことで、世の中の利便性が高まってくることは間違いないと思います。

 

その際に、世の中のバリアフリー化の推進が必要になっていくはずです。時代の動きがものすごく早い中で、今はまだバリアフリー化が整っていない社会だからこそ、企業にとっては、この時期にバリアフリー化に取り組んでいくことが新たな価値を生み出し、ビジネスチャンスにつながります。

高齢化社会の到来に向けて

高齢者が3500万人以上いる高齢化社会において、車椅子を利用しなければ生活できない方々も少しずつ増えてきております。

 

街中では車椅子に乗りながら鉄道に乗ったり、車に乗ったりして外出している方をよく見かけるようになりました。以前にはあまり見かけなかった光景です。

 

しかし、車椅子を利用しているほとんどの方々がアクティブに外出をしているかというとそうではありません。大半の車椅子利用者は、「1人では外出できない」「段差がある」「多目的トイレがない」といったバリアによって、元気な時は行きたい場所へ気軽に行けたことが出来なくなったと思っています。

 

確かに私も都内などに行くとトイレを探すだけで苦労することもよくあります。もう少し気軽にトイレを探すことができたらと思う毎日です。病気になったから、けがをしたからといって自分がしたいと思うことを我慢しなければならない人生はとても悲しいものです。

 

そこでバリアフリー化が進むことで、レストランやショップなどにおいても、気軽に行ける店舗として「選ばれるお店」になるでしょう。なぜならほとんどの店舗がバリアフリー対応をされていない世の中だからです。そして人にも優しいお店という評判にもなれば、社会的な貢献だけでなく、売上アップにも大きくつながることでしょう。

こころのバリアフリー教育の必要性

小中学校の道徳教育において、インクルーシブ教育として、こころのバリアフリー教育を取り入れる方向で動いております。

 

しかし子供以外は、車椅子を利用している人や障害者と話したことがない状況と答える人がまだまだたくさんいらっしゃいます。ご家族や友人に車椅子を利用している人がいないとそのような状況はごくごく当たり前なのかもしれません。

 

そのために世の中で車椅子に乗っている人を見ても全く気にならなかったり、どう接したらいいのだろう?と悩むことが多いはずです。どうしても知らないがゆえに、勝手なイメージを作り上げてしまい、バイアス(偏り・偏見)をもってしまうのです。

 

今後は、こころのバリアフリー教育が義務化されると子供たちは、「障害とは何か?」「どうすれば声をかけられるだろうか?」など障害者と健常者の共生社会に向けて学んでいくことが考えられます。

 

そうなると成人した方々がまるっきり分からないのでは意味がありません。子供は知っているけれど、大人が知らないというようなことを無くしてくためにも、大人のためのこころのバリアフリーを学ぶことも課題になっていくでしょう。

 

そして車椅子を利用している人の気持ちを知ることでコミュニケーションを取り、日常生活や職場などで気軽に話したりすることができるようになれると、障害者との垣根がなくなっていくのではないでしょうか。

車椅子利用者の現状、そして未来に向けて

車椅子を利用しているのは、高齢者だけでなく、交通事故や病気が原因で脊髄に障害を負ってしまった方なども対象となります。障害者は約700万人。そのうち身体の障害を持っている方は約400万人。さらに肢体不自由(手・足が不自由な人)の方は54%と言われております。

 

人数に換算すると約200万人近くが肢体不自由者となります。その中には車椅子を利用している人もいれば、義足を利用している人もいます。高齢者を含めて考えれば、街中でも車椅子を利用されている方は多く見かけるようになったはずです。

 

車椅子を利用している人の主なバリアは「段差の有無」「駐車場の有無」「多目的トイレの有無」だと思います。人の出入りが激しいスポット(駅・空港・ショッピングモールなど)においては整備がものすごく進んでいる反面、路面店のレストラン・ショップなどではまだバリアフリー化の進まない現状があります。

 

進まない現状は、車椅子を利用することを想定できなかったり、バリアフリー化にするためにはコストがかかるといった課題があるからです。逆にそういった現状から、車椅子を利用している人はどうしてもバリアフリー化が進んでいるスポットを探しております。

 

ホームページを見たり、Googleのストリートビューの画像などを確認しながら、「この入口は段差がないようだから車椅子で行けるだろう」と判断して店舗を選んでいます。そのため、明らかにバリアがある店舗には物理的に立ち寄ることができません。

 

実際には段差が1段であれば、人によっては前輪を上げてクリアできる人もいますが、2段以上があったらお店の候補から外してしまう傾向にあります。さすがに人のサポートなしでは行くことができないからです。

 

どんなに美味しい料理を提供していても、車椅子で入ることができない店舗は、車椅子を利用している方からは、利用する対象店舗から外れてしまいます。もちろん国内で車椅子を利用している人が少ないのであれば、店舗にとっても影響がないと思いますが、日本国中の中の数%は車椅子を利用しているのであると、店舗の客数に影響してくるようになります。

 

さらに一緒に同行している家族の人数まで含めるとさらに影響が拡大していくことにもつながります。つまりは「選ばれないお店」として評判になってしまう可能性すらあります。時代はバリアフリー化に向けて進んでいます。

 

そこで他企業では行っていないバリアフリー化が進めば、車椅子利用者から選ばれるお店となってくるに違いありません。しかも2020年東京オリンピック・パラリンピック開催なども予定しているために、さらに顧客獲得につながる可能性もあります。

 

行けないお店が多い中で、行けるということが車椅子利用者にとっての口コミが多くなり評判のお店となる可能性もあります。もしトイレなどを改修される場合は、ショッピングモールのような大きいトイレではなく、ちょっとだけ広いトイレに改装して、車椅子利用者だけでなくベビーカーをお使いのお客さまにも対応できるレベルで大きく変わってきます。

 

そうすれば飲食店では席数の削減も最小限にできるはずです。また駐車場においては、身障者用駐車スペースを造ることができなくても、一般の駐車場のスペースを2台分使用可能にするだけで、車椅子への乗り降りが可能になります。お金をかけなくても十分バリアフリー化につながります。ぜひともこれを機にバリアフリー化が進むことを期待しております。

ハードとソフトの両面が課題となる

それでも一番大事なのはホスピタリティです。ホスピタリティとは「思いやり」「心のおもてなし」という意味です。サービス業には欠かせないものです。こういったところに今こそ、お客さま満足のためのサービスレベルを向上させていくために接客応対研修が必要になります。

 

どうしても建物のハード面には限界があります。なぜならば障がい者にはいろいろなレベルがあるからです。それは人によって大きく異なります。そうなるとどんなに豪華なバリアフリーな建物を用意しても難しい場合があります。

 

また建物や設備のハード面を重視しても状況によっては人の助けを借りなければならないことがよくあります。そういったときには「人の助け」が必要なります。それがホスピタリティです。そのためには日ごろから誰もが相手の気持ちになって行動することができるかがポイントとなります。

 

そこには従業員の教育なども必要となるでしょう。「何かお手伝いすることはございませんか?」とさりげなく質問することができることが重要です。人によっては何とかして助けたいと思って、車椅子利用者が手助けを希望していないのに、無理やり手伝おうとして嫌われてしまう場合もあります。

 

それによってトラウマとなり、手助けすると断られたら傷つくからといって2度と手助けできなくなる人もよく見かけます。良かれと思って対処しようとしたのに、報われなかったことは誰にでもあるはずです。

 

そういった部分は、従業員教育を通してどのように対応すればよかったかを考えていくことで、より良い接客方法を見つけることができるでしょう。建物のバリアフリーとこころのバリアフリーが充実することで、他の施設を寄せ付けないほどの凄いものが出来上がるのではないでしょうか?

 

ぜひともそのような教育であれば、ぜひともお役に立てたいものです。最終的に言えることは、困っている人を手助けする気持ちだと思っております。残念ながら、障害者でなくても困っている人を駅で見ても素通りしてしまう方が多く感じます。

 

先日の会合の中では、困っている人を手助けすることは自分の幸せにつながるという考えが出ました。それは「人から感謝される」ということです。感謝されればどんな人でも嬉しいはずです。自分が幸せになるために手助けするというような発想の転換をしていけば、もっとお互いが共生できる社会になっていくでしょう。それが誰もが暮らしやすい社会へと変えていくにちがいありません。

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