車椅子で利用できるトイレのリフォームはいくらなら妥当か?
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車椅子ライフデザイナーのまおうです。今回のコラムは、私自身が身障者用トイレはどのようなものが妥当なのか?を考えたコラムです。
意外と従業員用の身障者用トイレがない現実
以前にもトイレの件についてはコラムに書きましたが、私が障害者となって赴任した店舗には、身障者専用の従業員トイレがあったのです。これは本当に珍しいことです。健常者の皆さんにとっては、そんなの当たり前だと思っていることと思いますが、意外と私が勤めていた大手総合スーパーでも設置されていないんです。
ではどうしているかと言いますと、売場にあるお客さま用トイレを利用するのです。人によっては、「身障者専用の従業員トイレなんかいらないんだよ!」っておっしゃる方も多くおります。なぜならば、そこには多額のお金がかかるからです。
さきほど私が赴任したお店には珍しく存在したと言いましたが、残念ながら、設計上の問題があり使用できるトイレではなかったのです。でも当時の課長が困っている私の話を聞いて、100万円をかけて改修工事をしてくださいました。そのやり方は、便座は取り替えずに水回りだけを交換しました。
車椅子ユーザーの働きやすい職場づくりにトイレは欠かせない
そのトイレは、私ともう一人の車椅子ユーザーだけが使用するトイレでしたので、トイレは必要最低限の大きさで使いやすくなればいいと判断したものでした。つまり、ショッピングモールにあるような巨大な多目的トイレにする必要は全くありませんでした。
その後、私は別の店舗に赴任しました。その店舗には身障者専用の従業員トイレはありませんでした。やむを得ないと思いながら、お客さま用トイレを利用していたのですが、混雑している土日などは多目的トイレも利用されていて空いていません。時にはショッピングモールの一番端っこ(片道300M)を往復しなければならない状態でした。
身障者用トイレに改修するだけに500万円が必要?
こうなるとトイレに行くだけで往復15~20分がかかってしまいます。効率的な仕事の進め方をしたい私にとっては、かなりの痛手です。仕事に影響の出るような状態では困ると思い、社内の許可を得て、ショッピングモールの施工業者を呼び、いくらなら従業員トイレを作れるのか見積もってもらいました。
金額は500万円。驚きでした。私はなぜ500万円がかかるのか?業者に追求しました。そうしたら設計した図面を出してきて、ここがこれだけかかると説明しだしました。でも納得がいきませんでした。利用するのは2人の車椅子利用者だけであり、そんな豪華な設備はいらない!と伝えましたが、聞いてはもらえませんでした。
工事費用が高すぎると工事そのものが中止になってしまう
なぜならそれが業者にとっての身障者用トイレ(多目的トイレ)の在り方だったからです。ショッピングモールのトイレの仕様こそが身障者用トイレだという言い分でした。結局、高額すぎて改修工事は見送りになりました。
私が思うのには、世の中の状況は「高価だから身障者用トイレの施工が進まない!」と思いました。確かに中途半端な大きさだったりすれば、使い勝手が悪くなる人もいるかもしれません。ならば水回りの部分は、デッドゾーンの三角コーナーを使うとか、用途に応じたトイレがあってもいいのではないでしょうか?
確かに快適な広々としたようなトイレも大事ですが、圧倒的に少ない身障者用トイレを増やしていくには、コストの面も考えたトイレの在り方も必要だと思っております。ショッピングモールにある巨大なトイレばかりでは進まないと思っております。
身障者用トイレを増やすには工事費用の面も見直す必要がある
むしろ、ショッピングモールで最近工夫されてきている一般用トイレに併設した幅広トイレなどは、新しいトイレの在り方だと思っております。なぜなら多目的トイレの稼働が多いと待つ時間が増えてきます。その際、幅広トイレがあるだけで対応できるようになります。
今後は、一般の飲食店などにも一般の人も車椅子ユーザーも利用できる幅広トイレができてくれば、もっと身近に利用でき、それと同時に車椅子ユーザーやこれから増えていく高齢者の利用は高まるはずでしょう。そして、他のお店にはない差別化が図れるようになります。
ポイントは、一般の飲食店でも工事費用が出せるくらいの工夫、例えば既存の便器をそのまま利用したりするなどをして、負担がかからない程度にしていくことでバリアフリー化になり、遅れている飲食店業界においても車椅子ユーザーが気軽に利用できるようになると考えます。
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