映画館における車椅子利用のバリアフリー課題について
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車椅子ライフデザイナーのまおうです。今回のテーマは映画館における課題です。
20年前は映画館のような娯楽施設は行ける場所ではなかった
20年以上前、私は健常者でした。映画を観たいと思えば気軽に映画館に行くような生活をしていました。学生時代は封切の前に映画を観たいこととお金をなるべく節約するために、アルバイト求人誌の後ろについている試写会の応募ハガキを出しては当選して、映画の試写会に何度も行ったことを覚えております。
この頃の映画館は、流行っていたとはいえ映画館の数は今に比べると、かなり少なかったと思います。その後、自分が車椅子生活になった際、行くことのできる映画館はまだまだ少なかった状態でした。なぜなら館内は階段になっているため、とにかくバリアの多いのが映画館でした。
映画館の数はめまぐるしいほど多くなった
では現状の映画館はどうなったかというと、この20年の間に映画館の数はものすごく増えました。増えすぎて経営が厳しいという声が上がっている位ですが、今までは全く閉ざされた世界だったので、車椅子利用者にとっては嬉しいものです。
しかし実際に観ることができても、残念ながらそれだけなんです。車椅子利用者でも行ける場所を作っただけで、観る人のことを考えた作りには残念ながらなっていないのが現状なんです。
なぜか映画館での車椅子鑑賞スペースは最前列
車椅子利用者が利用できるスペースは、ほとんどが最前列なんです。最前列でない場合は、封切時の大きいシアターの場合や一部の映画館では中間のところに設置されている場合もあります。コンサートなら最前列ならとても嬉しいんですけどね。
映画館は、皆さんご存知なように後ろの方から埋まっていくような状態の中で、最前列に車椅子利用者だけが座っているのは、ものすごくおかしな現象です。ものすごく空いている席の中で、ほとんどの方が後ろにいながら、中間はだれも座っていない状態でなぜか数名だけが最前列にいるんです。
最前列で映画を観るのは、映像が真上にあるので目が疲れるだけでなく、首が本当に疲れるんです。せっかく楽しみにしていた映画も2時間鑑賞した後に、疲れ切ってしまうのもしばしばです。
今後は「できる」だけでなく「楽しめる」といった工夫もあればありがたい
もちろん混雑していて最前列しかチケットが取れないのは、やむを得ないと思いますが、そうでなければ、やはり考えなければならない課題だと思っております。
これは映画館だけの課題ではありません。球場・競馬場などのエンターテイメント施設すべてに共通する課題です。観る人の立場に合わせて楽しめる施設にしていくことが本来のバリアフリーの取り組みではないかと思っております。
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