福祉機器の進歩により障害者でも車を運転できる世の中になっている
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車椅子ライフデザイナーのまおうです。身体に麻痺がある人が車を運転することは、一般の健常者には到底考えられないでしょう。アクセル・ブレーキは足で踏み込むため、下半身が麻痺している人では踏み込めないはず。
でもどうやって運転しているのか気になるところ。そこで今回は、身体に麻痺がある人でも車を運転することが可能であることをご紹介いたします。
足が不自由でも手を使って運転することは可能である
まず車の運転をするには、もちろん運転免許が必要です。これは一般の健常者と同じように取得します。但し、障害者になる前に取得した免許については、更新時に許可が下りない部分もあります。
例えば私の場合、マニュアル車を運転できる普通免許を学生時に取得しましたが、その後交通事故に遭い下半身に麻痺が残りました。その際、運転免許の更新時に「オートマチック車の運転に限る」という明記に変わりました。つまり、マニュアル車の免許を返納したことになります。
でも足が不自由なのにオートマ運転ができるの?と思いがちですが、手動運転装置を使えば車の運転が可能になります。手動運転装置は、足にあるアクセルとブレーキを装置と組み合わせて、一本のスティックにしてあります。またハンドルには旋回できるノブがつけられております。
手動運転装置に慣れるために、少しずつ身体に覚えこませる
スティックを引けばアクセル・押せばブレーキになっているので、右手はハンドル・左手はスティックといった状態で運転をします。私の場合は、国立身体障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)に入院していたので、その病院のリハビリプログラムに運転教習が含まれていました。
この運転教習は教習所のように路上教習などが行われます。さすがに初めのうちは頭で考えるので、引くと押すを間違えてしまうこともしばしばありました。最終的には身体が覚えるので間違えることはなくなります。
但し、運転免許を取得していない人は残念ながらこのリハビリセンターで運転教習を受けることはできません。その際は、手動運転装置付きの教習車をお持ちの一般の教習所に通わなければならない手間があります。
しかし、車を運転できる身体であるならば、実社会における行動範囲を広げることができるので運転免許は必需品です。
手動運転装置を開発・販売を手掛ける企業があってこそ運転が可能になる
この手動運転装置は日本において数社が開発・販売を手掛けております。主に有名なのは下記の2社です。
・株式会社ミクニライフ&オート(旧社名 ニッシン自動車工業)
残念ながら大手自動車メーカーでは製造されていないのが現実です。上記2社がなんとか足の不自由な人でも運転できる装置を作りたいという創業者の思いから実現したものです。彼らがいなければ車椅子ユーザーは気軽に車を運転することはできなかったのです。
最近ではさらに素晴らしいアイテムも誕生しております。着脱可能で持ち運べる手動運転装置があります。主に有名なのは下記の2社です。
この2社の手がけた手動運転装置を所有すれば、旅行の際にレンタカーに取り付けることも可能になります。そうすれば今まで行けなかった場所にも旅行をすることが可能になります。車椅子ユーザーの行動範囲が広がるわけです。
また私のような足の不自由な人の運転だけでなく、片手が失っている方や義足を着用している人の運転補助装置も開発・販売されております。
あの有名な乙武洋匡さんも車を運転している様子が、以前テレビで放送されておりました。車や運転装置は日本製ではなかったと思いましたが、障害を負っても運転できる世の中になっております。
より良い福祉機器を開発している人がいるからこそ楽に暮らせる社会になる
最後になりますが、まだ世の中のバリアはものすごい多い状態ですが、手動運転装置を作られた方がいるように日々より良い福祉機器を開発している人たちがいます。その方々がいる限り、私たち車椅子ユーザーは少しでも楽に暮らせるのだととても実感しております。
毎年開催される大きな福祉機器展(一般入場可能)が2つあります。1つは毎年9月頃、東京ビッグサイトで開催される「国際福祉機器展」。もう1つは毎年4月頃、インテックス大阪で開催される「バリアフリー展」。
もし最新の福祉機器に興味があれば、ぜひとも展覧会で一度福祉機器を直接見たり、触ったりするともっと身近になると思います。
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