車椅子利用者の目線は試乗してはじめて分かるバリアフリー

2018.04.27 (金)

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バリアフリースタイル代表の白倉です。一般の人が背の高い人の目線が分からないように、車椅子に乗っている人の目線が分からないこともよくあると思います。私も24歳までは一般の健常者であったときは同様な立場でした。そこで提案ですが、店舗・ホテル・レストランなど施設を運営しているのであれば、貸出用の車椅子があったら一度試乗してみるのはいかがでしょうか?

車椅子の試乗を通していろいろとアイディアが出てくる


以前、ある大手銀行において、行員の方々に車椅子へ乗っていただくセミナーのアシスタントとして仕事をしたことがあります。実際に車椅子に乗った経験のある方はほとんどいない中で、銀行のエレベーター・受付カウンターとその周辺など車椅子に試乗していただきました。

 

実際に試乗していただくと、振込用紙などを記入する台の高さ・受付前にある通路幅のスペース・受付カウンターへの目線などいろいろな点でこうした方がいいと改善意見がいろいろと出てきました。やはり乗ってみてはじめてわかることが多いのでしょう。そのときの行員の方々の表情は、何か新しいものを発見したときのような清々しさを感じました。

 

セミナー終了後には目から鱗のような顔つきで感謝を述べられて、関わった私にとってもとてもいい経験をした思い出でした。そしていろいろと出た改善内容については、すぐ対処されたという報告を主催者から伺いました。このような機会こそが日常の業務の中では気づきにくく、たった一度車椅子に試乗するだけで変わってくるので大きな効果があると言えるでしょう。

 

但し、車椅子を漕ぐというのが目的ではありません。なぜなら漕ぐという技術は、簡単なようで意外と難しく、慣れない状態で漕ごうとすると車椅子利用者は大変だとという気持ちが助長されてしまうこともあります。そのためもし漕ぐ技術を習得する場合は、車椅子操作の技術を教える専門スタッフのもとでやっていくことをおすすめします。

コストをかけなくてもバリアフリー化が展開できる

あくまでここでの試乗は「車椅子利用者の目線」における課題を少しでも身近にしていくものです。ですから車椅子に座ってみたときに、その施設で発生する内容について1つ1つ検証してみることに意味があります。車椅子利用者にとって不便なことはないか、そして改善すべきことはないかを考えていくことが、お客さまに喜ばれるバリアフリー化になるでしょう。

 

そうすることで銀行でのセミナーのように、手を伸ばして届くかどうか、最適な通路幅が確保されているか、入口の扉は入りやすいか、何か困っているときに誰かに声をかけやすい雰囲気になっているかなどいろいろとチェックすることでアイディアが湧いてくるにちがいありません。

 

こういったときのセミナーを通して改善しなければならないものは、コストをかけて設備を投資するのではなく、設備の運用面として考えるものが多いので、お金をあまりかけなくても使いやすくなるにはどうしたらいいかが出てくるでしょう。ぜひともこの機会に車椅子の試乗をしてみてはいかがでしょうか?

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