通路幅の“たった数センチ”が生産性と職場の雰囲気を左右する|障害者雇用にも活きる職場改善の視点
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
バリアフリー対応はもう「一部の人のため」だけではありません。
超高齢化社会のいま、誰にとっても快適な職場づくりが求められています。
このシリーズでは、企業経営者の皆さまに向けて、バリアフリー導入のヒントや事例を、経営目線でわかりやすくお伝えしています。
バリアフリーは、選ばれる理由になる時代。
ぜひ貴社の経営にお役立てください。
POINT|通路幅の工夫が職場のパフォーマンスを左右する
私が22年間のサラリーマン生活で常に意識していたのは、車椅子が快適に通れるオフィスのスペース確保でした。
健常者の目線では見落としがちな点ですが、このスペースがあることで仕事の効率と職場の雰囲気が大きく変わります。
これは障害者雇用の際にも、活躍できる環境づくりに直結するポイントです。
REASON|狭い通路が生む「ストレス」と「時間ロス」
以下のような職場環境は、改善が求められます。
- 通路幅が確保されておらず、車椅子利用者が「すみません、後ろ通ります」と毎回声をかけなければならない
一見「お互い様」で良い雰囲気に見えますが、実際には次のようなデメリットが発生します。
- 頻度が増すほど、声をかける側もかけられる側もストレスが溜まる
- 頻繁なやり取りが作業能率低下を引き起こす
具体的には:
- 声をかける側 → 忙しい相手に声をかける心理的負担
- 声をかけられる側 → 作業が中断されるストレス
- やり取りのたびに時間のロスが発生
これが積み重なることで職場の雰囲気やチームワークにも悪影響を及ぼすのです。
EXAMPLE|改善の積み重ねが生む生産性向上
私が以前勤めていた会社では、総務部門で売場への電話対応を一括して行っていました。
その際、電話応対のたびに作業が中断され、仕事の効率に影響が出ていました。
そこでコールセンターを導入し、電話対応を集約した結果、作業の中断が減り、業務がスムーズになった経験があります。
通路幅の確保もこれと同じ。わずかな改善でも職場全体の生産性向上に大きな効果をもたらします。
POINT|数値化すれば改善効果が見える
もし通路幅の改善が「実感しにくい」と感じる場合は、数値化してみましょう。
- 1日に何回「すみません」と声をかける場面があるか
- そのたびに何分作業が中断されているか
- 月・年単位で累積の時間ロスはどの程度になるか
- 時給換算すればどれだけのコスト改善につながるか
こうした視点を持つことで、誰もが働きやすい職場環境づくりにつながります。
バリアフリー対応は「お金がかかる」から「お客さまに選ばれる理由」に変わる時代です。
まずはできるところから、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
このシリーズでは、今後も経営に役立つバリアフリーの知恵や事例をご紹介していきます。
ぜひ次回もお楽しみに!
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