人が頑張れる秘訣は4つの究極の幸せを手に入れること
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あなたのお店の『バリア解消』請負人 白倉栄一です。ついに「平成」が終わり、新しい元号の「令和」に変わりました。この新しい時代とともに店舗のバリアフリーや障害者雇用などの面においても、既成概念を取り外し、新しい考え方で、誰もが暮らしやすいような社会になっていくことを心から願っています。
そこで今回取り上げるのは、障害者雇用についてです。残念ながら先日、日本理化学工業の大山泰弘会長が逝去されました。日本理化学工業は全従業員84人中62人が知的障害者(内26人が重度の障害者)が働いていて、学校で使うチョーク製造を主とした会社です。
私はこの大山会長が以前、テレビ東京の番組『カンブリア宮殿』に出演されていたときの内容がとても忘れられなくて、従業員のためにこんなに優しい人がいるのかと思うくらい感動しました。その中でも、大山会長がテレビ出演のときに話されていた内容で、「人間には4つの究極の幸せがある」とおっしゃっていたことがとても印象的でした。
人間にとっての4つの究極の幸せは、私たちが日ごろ働いていく上で、上司・部下とのコミュニケーションを形成していくのモチベーションにつながっていく最も重要なポイントだと思っています。今回はそれをご紹介したいと思います。
満員電車に乗ってでもその会社で働きたいと思う理由
日本理化学工業では、知的障害者の従業員を多く雇っていますが、そこに至るエピソードがお話されていました。当初(50年前)は、知的障害者は精神薄弱者ということで、仕事は到底できないと思っていたので断っていたそうです。
たまたま2週間の研修ということで、知的障害者を雇ったところ、仕事の能率はともかく、一生懸命取り組んでいる姿を見ると、応援したくなる雰囲気があったようです。2週間が経過したら、職場で働く従業員から「この子たちがかわいそうだから、やめさせないでください!」という強い声があって、それ以来、知的障害者を雇っているそうです。
でも大山会長がどうしても疑問に思っていたことがあり、あるお坊さんに質問したそうです。
「うちには知的障害者がいますが、その方々は施設に行って面倒を見てもらったほうが、ずっと楽で幸せだと思うのに、どうして毎日、満員電車に乗ってでも、うちの会社に働きにくるのが不思議なんです」
そこでお坊さんの回答は、「人間の究極の幸せとは…」を教えてくださったそうです。
- 愛されること
- 褒められること
- 人の役に立つこと
- 人に必要とされること
「仕事で働くということは、まさに褒められたり、人の役に立つこと、そして君が来てくれないと困ると声をかけられることです。幸せのうちの3つは、働いてこそ得られることであり、知的障害者の彼らは、いくら言葉でうまく言えないとしても、人間の幸せというものはきちんと持っている。だから働く幸せを彼らは感じているんです」
それ以来、大山会長は、障害者の雇用に一生懸命頑張らないといけないと思ったと話していました。ポイントは、福祉施設で大事に面倒をみてもらうことが幸せではなく、働いて役に立つ会社こそが人間を幸せにするということ。
積極的な障害者雇用のポイント
大山会長はさらに番組内で次のようなこともおっしゃっていました。
Q:利益優先で考えると非合理的なのでは?それでも雇い続けてこれたのはなぜか?
~知的障害者の理解力に合わせて、作業を段取りすると、多少は生産性が落ちるかもしれないが、世間で言うほど落ちることはない。自分の理解できる仕事であれば、本当に一生懸命集中してやってくれる。だから企業として生産性も、ある程度維持できる。
彼らはもともと人に親切で優しい。その部分を活かしてあげて、仕事に慣れた子は初めて入ってきた子を親切に教えてあげる。そして手本を示してやっている。分からない子もマネしながらやっている。彼らは間違いなく我々と同じようにちゃんと誇りを持っている。~
Q:知的障害者の採用方法・合否の基準は?
~4つの約束が果たせるかどうかを確認して採用を決めている。
- 自分のことは自分できる(食事・排泄と身の回りのことが自分でできること)
- 一生懸命仕事をする
- 簡単でもいいから意思表示がある
- まわりに迷惑をかけない
職場でまわりに迷惑をかけたり、ケンカをすることもある。物を投げて製造ラインを乱すこともある。そうしたら「約束を破ったんだから、すぐ家に帰りなさい」と言います。でも家族の方には「お子さんが約束するから会社の人に頼んでまた働きたい」と本人が言ったら、電話を下さいとしていて、その場合は「翌日に出社させてください」と伝えている。~
Q:障害者と一緒に働くには何が大事なのか?
~「社員教育はどうしていますか?」と質問されたときには、「社員教育は改めて実施していない」と答える。健常者の社員も障害者の面倒をみている。育てているという意識が強くある。障害者の幸せに関わっているんだという意識が伝われば、チームワークができる。~
Q:「弱者支援」が社会を安定させるのでは?
~障害者に手を差しのべると、その人も活き活きし、それが自分にも返ってくる。知的障害者と関わったことで素晴らしい人生を送らせてもらったことを感謝している。彼らの働く姿が本当に自分を励ましてくれる。障害者から喜びを味わわせてもらった人生だと思っている。~
障害者雇用だけでなく職場の改善にもつながる
このように大山会長はお応えになっていました。私も職場の中で、自分が障害者というだけでなく、部下などにも車椅子利用者のほかに、知的障害者、精神障害者の方々と一緒に働きました。
1人1人には個性が違うものの、ネガティブにとらえるのではなく、彼らだからできることに目を向けることをしていました。そうすると中にはズバ抜けた集中力で仕事をこなしていく人もいました。コツコツと頑張る姿はとても刺激を受けた思い出があります。
先ほどの人間の究極な4つの幸せがあることで、人はものすごく成長ができると思っています。そのためには働くことのできるチャンスを与えることがまず第一です。
そこから育成のためのプログラムなどを組みながら、得意分野などを伸ばしてあげることで、働く本人だけでなく、まわりまでが活き活きしていくように実感できると思っています。
これは障害者雇用だけ人は当てはまらないと思っています。一般の健常者であっても同様ではないでしょうか?だから褒める風土がきちんとできていくことで、部下のモチベーションが上がっていきます。
大山会長がお亡くなりになったことは残念ですが、その考えが多くの人の心に感動とノウハウを伝えてくださったと思っています。謹んでご冥福をお祈りいたします。
★日本理化学工業株式会社ホームページ→こちら
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