障害者雇用における“できない”の思い込みが職場を沈ませる|ポジティブな目線がチームを変える
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
バリアフリー対応はもう「一部の人のため」だけではありません。
超高齢化社会のいま、誰にとっても快適な職場環境が求められています。
このシリーズでは、企業経営者の皆さまに向けて、障害者雇用やバリアフリー導入のヒントや事例を、経営目線でわかりやすくお伝えしています。
バリアフリーは、選ばれる理由になる時代。
ぜひ貴社の経営にお役立てください。
POINT|「できない」思い込みが職場の成長を止める
障害者雇用に取り組む際、最初に取り払うべきバリアは「ネガティブなイメージ」です。
車椅子利用者を採用した際に、「段差がある」「通路が狭い」「業務が難しい」といったネガティブな思考が先行してしまうケースが多く見られます。
しかし、そうした思い込みは、企業の中で障害者が活躍できる場を閉ざしてしまう原因にもなります。
「難しい」と感じたことの中にこそ、逆に成功のチャンスが眠っていることもあります。
その可能性に目を向け、チャンスを与える視点こそが職場を活性化させる第一歩なのです。
REASON|ネガティブな連鎖が職場全体を沈ませていく
ある店舗での出来事をご紹介します。
お盆や正月の繁忙期、ガラポン抽選会場で多くのスタッフが応援に入っていました。
しかし、チームリーダーは「車椅子利用者は難しい」と決めつけ、応援メンバーから外してしまったのです。
まわりの同僚が「彼は過去に経験がありますよ」と伝えても、リーダーは意見を聞き入れません。
ネガティブな思い込みは、せっかくの活躍のチャンスを奪うだけでなく、職場全体の雰囲気も沈ませてしまいます。
さらに、こうした態度は上司と部下の信頼関係にも悪影響を及ぼします。
EXAMPLE|減点法の視点が成長の芽を摘んでしまう
障害者雇用だけでなく、多くの職場で見られるのが「減点法」での評価です。
「あの人はここができない」「この仕事は難しい」と欠点にばかり目を向けてしまうことで、社員の成長意欲が削がれてしまいます。
逆に、ポジティブな視点で「何ができるか」「どこで活躍できるか」に目を向けてみましょう。
褒める文化をつくり、「あなたがいて助かりました」「ありがとうございます」という感謝の言葉を伝えるだけで、職場の雰囲気は大きく変わります。
POINT|「できるかどうか」に焦点を当てた風土づくりを
抽選会場での事例に戻ると、車椅子利用者であっても、場の盛り上げ役として十分な役割を果たすことは可能です。
物理的なバリアを取り除き、本人の意欲を尊重することで、活躍の場は自然と広がります。
「できない」に注目するのではなく、「どうやったらできるか」に目を向けることが、職場全体の成長につながるのです。
障害者雇用でも一般従業員でも、共通して求められるのは信頼関係づくり。
日頃から「何ができるか」「何をしたいか」をしっかりと対話し、チャレンジの場を提供することが、健全な職場文化の醸成につながります。
バリアフリー対応は「お金がかかる」から「お客さまに選ばれる理由」に変わる時代です。
まずはできるところから、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
このシリーズでは、今後も経営に役立つバリアフリーの知恵や事例をご紹介していきます。
ぜひ次回もお楽しみに!
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