「障害者雇用で“できる”を引き出す視点とは?|可能性を広げるリーダーのマインドセット」

2025.06.19 (木)

バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。

 

障害者雇用を考える際、どのような職場環境を用意すればよいのかと、つい難しく考えてしまうことがあります。

 

どうしても「できない」ことに目が向きがちです。

 

もちろん、物理的に難しい業務が存在するのは事実です。

 

しかし、視点を変えて方法を工夫すれば、活躍できる場面は大きく広がります。

 

これは障害者雇用に限らず、リーダーが部下に対して「どう見るか」にも通じます。

 

チャンスを与える視点があるかどうかで、大きな違いが生まれるでしょう。

 

「できない」と思っていた相手でも、チャンスを与えることで大きく成長するケースは多々あります。

 

雇用する側・雇用される側、双方がWIN-WINな関係を築くことが理想です。

 

今回は、そんな視点の転換について、私の実体験を交えてご紹介します。

 

イメージだけで判断するのはネガティブな証拠

 

 

社内での出来事です。

 

私が在籍していた会社では、24歳・29歳・34歳・39歳の節目に、将来のキャリアについて面接を受ける機会がありました。

 

通常は本部の人事担当者が行うのですが、29歳時点では、店のトップであるAさんが担当しました。

 

  • A「君は今後どんな仕事をやりたいのか」
  • 私「将来は総務課長を目指しています」
  • A「そりゃ困るよ。だって私の部下になるわけだろ~」
  • 私「どうしてですか?」
  • A「車椅子の人が、いざ何か事件・事故が起きたときに対応できないだろう」
  • A「この会社では出世は難しいと思う。やりたいことがあるなら、退職して他の会社に行ったほうがいいと思うよ」

 

私は非常にショックを受けました。

 

将来の希望を聞く場で「退職したほうがいい」と言われるとは思っていなかったからです。

 

その後、社内の元上司に相談したところ「Aさん個人の考えであり、会社の方針ではない」と励ましていただき、安心しました。

 

Aさんは「車椅子利用者=緊急時に対応できない」というイメージを強く持っていたのでしょう。

 

しかし私は、その9年後、38歳で人事総務課長に就任しました。

 

上司はAさんではありませんでしたが、実際に3.11の東日本大震災時には、課長代行として対応にあたりました。

 

建物内部では、天井から看板が落下、トイレの故障など多くの修繕対応が必要でした。

 

従業員の安否確認も担当しました。

 

その他、さまざまな事件・事故の際も、指示や判断を求められる場面がありました。

 

主任時代の実務経験や、上司・書籍から学んだ知識が、緊急時の判断力につながったと感じています。

 

つまり、車椅子利用者だから「できない」のではありません。

 

指示・判断できるスキルさえあれば可能性は広がる

 

 

以前、テレビに出演されていた元大臣で車椅子ユーザーの八代英太さんが、こう語っていました。

 

「有事のとき、北海道の被災地を回って指示を出した。車椅子利用者だからできないということはない。バリアがあるならマンパワーで解決すればいい。重要なのは判断力と指示ができることだ」

 

多くの人は「車椅子利用者だからできない」と、見た目で判断しがちです。

 

しかし、それは「車椅子に座っている」という一面にすぎません。

 

判断力やスキルがあれば、活躍できる場面は数多くあります。

 

だからこそ、車椅子利用者にも活躍のステージは広がっているのです。

関連する投稿

▼シェアをお願い致します!▼

現在の記事: 「障害者雇用で“できる”を引き出す視点とは?|可能性を広げるリーダーのマインドセット」

お問い合わせ・ご相談はこちら

フォームからのお問い合わせ

お問い合わせフォーム »


おすすめのバリア解消コラム

コラムテーマ一覧

過去のコラム


⇑ PAGE TOP