車椅子利用者におけるバリアフリールームの課題は風呂

2019.07.16 (火)

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あなたの会社の『バリア解消』請負人  白倉栄一です。

 

ホテル・旅館のバリアフリーに何が必要であり、何ができるとものすごく利用したくなるのかと言えば、風呂に入れるかどうかではないでしょうか。

 

自宅と違って使い方が違うこともあり、パッと見ただけでは利用できるかどうかためらうことがあるのが風呂です。

 

また障害のレベルによっては、人によって利用できるかどうかが違う部分もあるだけに難しい点でもあります。

 

海外のように湯船がないケースもありますが、さすがに日本では湯船に浸かり、リラックスしたいという気持ちを持っているでしょう。

 

では風呂にどのような課題があるのか考えてみたいと思います。

風呂場の課題は湯船に入りにくいこと

まず風呂場の問題ですが、車椅子から湯船に乗り移ることが難しい点です。

 

車椅子利用者の中でも立位ができる人とそうでない人がいます。

 

立位ができない人は、車椅子から湯船に直接入ることが難しく、一旦湯船に入る前に座るスペース(台)が必要になります。

 

ただ日本にある大半の宿泊施設では、上記のような座るスペースは確保されていません。

 

シャワーチェアーがある施設もありますが、シャワーチェアは固定されていないこともあり、乗り移りの際には不安定になります。

 

場合によっては、シャワーチェアーも設置されていないケースも多々見られます。

 

その場合は、単に部屋が広いだけのバリアフリールームだと思われてしまうでしょう。

乗り移るのが怖いと思ったら挑戦はしない

私の場合は、バリアフリールームの風呂を見て、ちょっと乗り移りが難しいと感じたら、風呂に入るのをやめております。

 

もし万が一乗り移りをした際に、滑ってしまったりすれば、間違いなくケガにつながってしまうでしょう。また手すりの位置にも注意が必要だと思っています。

 

風呂は、けがをするだけでなく、状況によっては車椅子ユーザーが一番気にしている「褥瘡(床ずれ)」の発生する可能性が高いことでも知られています。

 

直接、じかにお尻が触れるために、皮膚には十分影響があります。

 

私も日本1周をした2016年には、旅行先でお尻の皮がペロリと剥けて、血だらけになってしまったアクシデントがありました。

 

なんとか褥瘡は免れましたが、風呂は気を付けなければいけないポイントだと今でも十分気をつけています。

スノコであれば風呂場の改造するより安い費用で対応可能

もし風呂の湯船に入るようにするのであれば、いくつかの方法があります。

 

まず一つはリフトを設置して入れるようにすることが可能です。

 

ただし、天井レールなども取り付けることになるので、大掛かりな改装工事になるでしょう。

 

またコスト的にもかかってしまう可能性があります。

 

二つ目は、見立てはおしゃれではないかもしれませんが、風呂と同じ高さのスノコを設置することです。

 

スノコであれば費用はあまりかからないはずです。

 

あとは皮膚に優しく、吸水できるものを敷いておくだけで、車椅子ユーザーにとって安全性の高く使いやすい風呂場になります。

 

三つ目は、東横インのように乗り移り台をあらかじめ用意しておくことです。

 

こういった乗り移り台を用意している宿泊施設は、今までいろいろなところを泊まってきましたが、ほとんど見たことがありません。

 

東横インは、車椅子利用者の有識者を呼んで、どういったものがふさわしいかを話し合って決めたものだと聞いたことああります。

 

※(ご参考までに)東洋経済オンラインにて「東横インにおけるバリアフリー」について記事を書きました→こちら

 

大事な点は、利用者がどのように使うのかをきちんと把握したうえで設計するといいでしょう。

 

これから車椅子利用者が増えるにつれて、そして間近に迫った東京2020オリパラにも対処できるような宿泊施設が必要と考えられます。

 

しかもまだ多くの宿泊施設で手が付けられていないように、将来への投資と考えて、バリアフリー化をすることは、単にコストだけがかかるわけではないはずです。

 

他の宿泊施設にはない強みを発揮するための絶好な機会と考えていいでしょう。

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