車椅子利用におけるバリアフリーの重要度はトイレ
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バリアフリースタイル代表の白倉です。飲食店において「何がバリアフリーなのか?」と言われれば、バリアフリーを名乗るのに明確な基準があるわけではありません。国土交通省ではバリアフリーの基準として、スロープの勾配や通路幅の基準などホームページに掲載していますが、実際にはでもその基準とは全く違う状況で、バリアフリーを名乗っているお店は多く存在します。
単に段差がないだけでバリアフリーとか、階段があってもエレベーターが設置されてあればバリアフリーだとか挙げたらきりがありません。そういった状況は実際にお店に行ったときに、利用者ががっかりするでしょう。そうならないためには、具体的にはどのようなバリアフリーが必要になるのかご説明します。
バリアフリーの選ぶ基準は「トイレの有無」になることが多い
名乗る側のほとんどは、何がバリアフリーであって、何がバリアフリーでないのかが分からないので、自分自身の判断でバリアフリーと決めてしまっています。では利用者にとって必要なバリアフリーとは何か?と言えば、段差・駐車場・通路幅なども大事ではあるものの、一番の重要な基準は「トイレ」になるにちがいありません。
車椅子を利用する高齢者・障害者においては、「バリアフリー = 多目的トイレの設置」を期待していることが多いと思われます。飲食店で友人・家族などと一緒に楽しむ場合には、どうしても1~2時間の時間がかかるでしょう。さらに居酒屋となれば3時間くらい在店していることもあるでしょう。
そういったときにトイレがないのは、致命的となってしまいます。そこでよく一般の人が、「一般のトイレを使えばいいじゃない?」とよく言いますが、果たして一般のトイレを利用することが可能なのでしょうか?残念ながらNOがほとんどです。
なぜなら一般のトイレの入口のドアは60㎝前後になっていますので、65㎝前後ある車椅子がトイレの中に入っていくことは物理的に不可能になります。もし入口は通過できても、便座までの距離がないためにドアを締めることも、車椅子から便器に乗り移ることも難しくなります。したがって車椅子利用者が一般のトイレを使うことはできません。そのため車椅子利用者にとっては、長居をすることができなくなるでしょう。
実際に2~3時間おきにトイレに行かなければならない人の場合を例にあげますが、自宅~飲食店までが30分かかるとすれば、往復分で1時間になります。そうなると飲食店の在店時間は1~2時間になってしまいます。しかも尿もれなどを起こしやすい方にとっては、身近にトイレがないと不安になるでしょう。
なぜショッピングモールには大勢の車椅子利用者がいるのか?
最近はショッピングモールなどで車椅子を利用する人が多くなったと思いませんか? でも他のところではあまり見かけないのではないでしょうか? それってなぜだと思いますか? 車椅子を利用している人はバリアフリーが整っているお店にしか行かないからです。もしこの店は食べたい料理があるからぜひ行ってみたいと思っていても、車椅子利用者が入れないお店であったら敬遠されてしまいます。
でも今後増えてくる車椅子利用者が来店されたらどうでしょうか? 客数が増えていくはずです。しかも1人ではありません。家族・友人・同僚も一緒に来店します。しかも行けるところが少ないので、リピーター化されるのはまちがいないでしょう。もちろんトイレの改装費用はかかりますが、自治体の補助金が出るケースもあるので費用は抑えられるでしょう。そんな今だからこそ他のお店が導入する前に、バリアフリーのお店になるチャンスです。
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