車椅子利用のお客さまに来店しやすい工夫とは?

2018.02.03 (土)

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車椅子ライフデザイナーのまおうです。車椅子目線というテーマで考えたときに、店舗の入り口に大きな段差があったり、2段以上の段差があった場合は、どうしてもそのお店を利用したいという思いがなければ、パッと見た瞬間に候補から外れるものです。そういった状況下において「うちの店には車椅子を利用しているお客さまがいらっしゃらない」と思っているのであれば、残念ながら難しいのではないでしょうか?

車椅子利用者の数は増えてきている現状に気づくこと

今後は超高齢化社会の到来とともに、車椅子利用者の人口が大幅に増えていきます。一般の人々にとっては意外と気が付かないかもしれませんが、この5年くらいで街中には多くの車椅子利用者の姿を見かけるようになりました。これは公共交通機関などをはじめとして、バリアフリー化が進んだことも一因であると思っております。

 

そのために電車に乗っても同じ車両に、別の車椅子利用者がいることも珍しくはなくなりました。国民の数%の割合で車椅子人口がいる中で、車椅子利用者に入店してもらえないのは仕方がないととらえるのは、実にもったいないことだと提案します。利用したいけれど候補から外れてしまうのは、ある意味において見込み客を手放しているようなものかもしれません。

 

よく勘違いするケースに次のようなことがあります。「いくら段差があっても利用したいと思ったら、近くにいる通りすがりの人に頼んで、お店に入ることができるんじゃないの?」と思うかもしれません。でも実際に、誰でも知らない人に気軽に声をかけるのは、とても抵抗があると思います。しかも自分自身が相手にお願いする行為は、とても勇気がいることでしょう。なぜなら断られるのではないかと思うからです。

 

車椅子ユーザーの友人によると、お願いしたけれど断られるケースがあるとよく言います。特に、急いでいるようなサラリーマンには難しいようです。また日本人は、見て見ぬふりをする傾向があるので、声をかけてほしくないオーラみたいなものを発信している場合もあります。

大事なワードは「気軽に入れる」ということ

そのため段差があるお店に対しては、車椅子のお客さまでも気軽に入れるお店づくりが必要になります。それがなければ、車椅子のお客さまを獲得することはできないと思います。ではどうしたらいいのでしょうか?現時点での状況によって方法は変わってくるでしょう。

 

まずは、バリアフリー化における行政からの補助金をもとに改修工事をすることを検討するといいでしょう。なかなか知られていない情報かもしれませんが、東京都内の市区町村(すべてではない)には、中小企業を対象に最大200万円の改修工事に対して、100万円までの補助金を出してくれる自治体があります。これは絶好の機会だと思います。

 

ところがある区の関係者とお話をしたところ、残念ながらほとんどの事業者は、乗り気ではないとのお話を聞きました。理由は収益に結び付くのかがイメージできないからです。その理由1つを挙げますと、「うちの居酒屋にバリアフリーのトイレを設置しても、病院ぽくなるからうちにお越しになるお客さまのセンスに合わない」。でも別に「バリアフリーのトイレ=病院のようなトイレ」ではなく、おしゃれなトイレにすることは十分可能です。どうしても先入観から入ってしまうのでしょう。

 

補助金があってもお金を出せない場合は、簡易的なスロープを用意するか、マンパワーで対応するしかないと思います。お越しいただいた車椅子利用のお客さまにとにかく知っていただくために、店頭での表示・ブザーの設置・ホームページでの掲載などお気軽にお声がけしてくださいという姿勢を見せることではないでしょうか?

お客さまをお迎えする体制になっているかどうかが大きなポイント

重要なポイントは、お店側がお客さまをお迎えする体制になっているかどうかによって、車椅子利用者のお客さまにとってもお願いしやすくなると考えることです。少しでも相手の立場になって考えてみることで、いろいろと変わってきますし、多くのアイディアが生まれます。これこそが「心のバリアフリー」となります。ぜひとも今一度従業員の皆さまとともに、お困りごとに気が付くような環境になっていただけることを願っています。

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