車椅子で入れるテーブルの高さもバリアフリーのポイント
Contents
あなたのお店の『バリア解消請負人』バリアフリースタイル代表の白倉栄一です。あなたのお店ではどんなテーブルを使われていますか?あまり知られていないことですが、車椅子利用者にとって利用しやすいテーブルとそうではないテーブルがあります。高齢化に伴い車椅子利用者が増えていく中で、どのようなものを設置したらいいのかを考えてみたいと思います。
高さのないテーブルは車椅子で奥まで入れない
使いやすいものは、テーブルの椅子を外してもそのまま車椅子を奥まで入れるスペースがあることです。そしてスペースに入るためには、後ろに座っている人との間も重要なポイントになるでしょう。なるべくテーブル席に着くまでに、そばにいるお客さまに「ちょっと後ろを通りますのでよろしいでしょうか?」と声をかけるようなレイアウトは望ましいものではありません。
もちろんどうしても狭い環境にあって、そばにいるお客さまに動いていただければならないときは、店員さんが誘導してまわりにいるお客さまにご協力を求めるようにしたいものです。車椅子利用のお客さま自身が「ちょっと後ろを通りますので…」と言わざるを得ないのは、残念ながらお客さまに対する配慮に欠けているように思えます。
まずお伝えするのが、車椅子に乗っていると足の高さは床から約10~15㎝ほど、高くなっていますので、床から約65~70㎝くらいの高さのテーブルが目安になるでしょう。約65~70㎝より低ければ車椅子のまま机に足を入れるのが難しくなり、テーブルのかなり手前になってしまいます。そうすると料理と車椅子の位置に大きな幅ができてしまうので、食事をしにくい環境になるでしょう。逆に約65~70㎝より高くした場合は、料理を食べる際に食べにくくなってしまいます。また同様に車椅子利用者以外の方においても、食べにくい高さになってしまいます。
幅がなければ前輪キャスターがテーブルの脚に当たってしまう
次に横幅ですが、一般的にショッピングモールや病院にある車椅子の横幅は約65㎝くらいになります。もちろんもっと幅の短い車椅子に乗っている人もいますが、ポイントは多くの高齢者が利用している車椅子を参考にしたほうがいいでしょう。そのため、65㎝より幅が短い場合は、車椅子の前輪キャスターがテーブルの脚にぶつかってしまい、車椅子を奥までいれることが難しくなります。
奥まで入れることができないと、高さと同様にテーブルのかなり手前で食事をとることになってしまいます。結論として左右のテーブルの脚の間隔は70㎝以上が目安で、床とテーブル間の高さも65~70㎝くらいが目安になります。あとは車椅子の全長ですが最低でも90㎝くらいはあるので、車椅子の後ろのスペースはきちんと確保しておくことをおすすめします。そうすることで後ろにいるお客さまに動いてもらうこともなくなるでしょう。
よく見かけるのは実践することなしに、多分これくらいあればという健常者の机上論のもとに設計されてしまうケースです。そうなると実際に使えないといったトラブルになってしまう可能性もありますし、お客さまに喜んでいただくことが裏目に出てしまうこともあるでしょう。もし自店に車椅子があるときには、一度確かめてみることがいいでしょう。さらに車椅子利用者にモニターとなってもらい、どのくらいが適切なスペースなのかを判断してもらうことをおすすめします。
関連する投稿
- 店舗に身障者用駐車スペースがあっても使いにくいケースとは?
- 車椅子のバリアフリー対応こそが選ばれていく時代
- お店を利用する際、車椅子利用者が段差・通路幅など安全かどうか?
- 車椅子のバリアフリー化が進むと諦めていた人が復活するのでは?
- 店舗のバリアフリーへの意識度が分かってしまうポイントとは?
現在の記事: 車椅子で入れるテーブルの高さもバリアフリーのポイント