車椅子ユーザーが時代の流れに逆行して使いにくくなるもの
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車椅子ライフデザイナーのまおうです。時代の流れとともに、人の力を借りなくてもビジネスがまわるような時代になってきました。企業で経費コントロールをしていた立場からは、売上の10%以上を占めていた人件費を抑えられることで経営がしやすくなるでしょう。しかし私たち車椅子ユーザーにとっては、無人化することによる課題がいくつか出てきます。今回は、そういったことを考えてみたいと思います。
駐車場の無人化などセルフ型ビジネスが進んできている
人の手を借りないビジネスは、年々増えてきています。例えば、ショッピングセンターの駐車場出口には関所のような係員のブースがあり、購入した時のレシートを見せて、レシート金額を計算しながら駐車料金を徴収をしていた時代がありました。しかし最近では、駐車場出口に駐車料金自動精算機が置いてあり、駐車カードを入れると自動計算されるようになっております。各店舗で購入時に、駐車カードを提示することで割引対応まで記録されています。
さらに上記のような部分においてもコストがかかると懸念することが多くなり、それならば一層、無料化にした方が手間もなくなるだけでなく、お客さまにとっても「あの店は駐車場が無料だから行ってみよう」と思うことによって、お客さまの集客の増加にもつながる場合もあるでしょう。
次にお店にあるレジについてです。食品レジだけでなく衣料のレジ(GUなど)では、セルフレジの導入が当たり前になってきております。もちろんお客さまがピンチな時には、アテンダントさんが常駐していることもあり、操作方法が分からなくても十分対応していただけるようになっております。
食品レジだけでなく衣料レジもセルフになっていく時代
私が所属していた店舗では、食品レジのセルフレジを4台導入しました。導入時の経費はものすごくかかりましたが、食品レジの従業員の時間単価や削減人員数を計算すると、1・2年も経てば従業員がいるときと経費がトントンになり、それ以降はセルフレジ導入によって大幅なコスト削減をもたらすものになりました。
時代によるセルフ化の流れは止まりません。もちろんセルフ化といえども、食品レジのように何かあった場合の対応する人が常駐している場合はともかく、完全な無人化になってしまうことで、車椅子ユーザーや高齢者にとっては「セルフ化=使いやすい」にはなりにくいものになるでしょう。
先日は都内のある駐車場を利用したものの、夜間は事前の自動精算機を1カ所に集約しており、事前の自動精算機でなければクレジットカードが使えないこともあって、わざわざ遠く離れたところまで行かざるを得ませんでした。現地に到着したら段差があり、その自動精算機に上れませんでした。仕方がないので管理会社へ連絡しましたが一向に連絡がつかず、結局クレジットカードでの精算ができないまま帰りました。
今後のセルフ化で無人になると車椅子ユーザーが困るケース
今回はイレギュラーなケースかもしれませんが、最近よく見かける電気自動車の充電機なども、車椅子利用者では使いにくくなっております。使用方法は簡単ではあるものの、身障者用駐車スペースでなかったり、高い位置に充電機があったりして、人の手を借りなければ使用することができないものもあります。今後、電気自動車を乗る社会へなっていった場合、無人化によるセルフ対応は厳しいものと思われます。
以前にご紹介したガソリンスタンドにおいても、出光興産が身障者に向けての手助けをしていただけることになっておりますが、他のセルフスタンドにおいては利用できるか不安です。そのため最近では少なくなってきた有人のガソリンスタンドを探すこともよくあることです。
徐々にいろんな業種のセルフ化が進んでいる一方で、このような課題があることを分かっていただけたでしょうか?今後においては、高齢化社会に伴いセルフ化におけるアシストできる方法も考えた取り組みをぜひとも期待したいものです。障害の有無に関わらず使いやすいユニバーサルデザインのような形が進んでいくことを願っております。
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