車椅子利用者が街中で感じる飲食店のバリアとは?
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バリアフリースタイル代表の白倉です。先日は都内でセミナーなどがあり、気が付いたら、夜の21時で何か食事をしてから帰ろうと思いました。駐車場から会場までの距離が500M 以上離れており、数多くの飲食店がありました。入ろうかどうか迷うところですが、その際に車椅子利用者の視点から、通りがかりの飲食店を見かけたときに断念してしまうケースをご紹介します。
段差はパッと見て入れないと思ってしまうもの
段差の高い入口は、パッと見て入るのを拒んでしまうでしょう。例えば、5cm以上の段差を見かけたら、ちょっと普通より段差があるように感じてしまいます。人によっては無理をして上ろうとすれば、後ろへ転倒する危険もあります。そうなるとリスクを伴うことから、わざわざ入らないというのが心理ではないでしょうか?せめて3㎝以内位ならば、候補にあがるのかもしれません。
実際に「通りがかりの人に頼めばいいのでは?」と思うかもしれませんが、どうしてもその施設に入らねばならない場合であれば、やむを得ずお願いする形をとりますが、そうでなければ、見知らぬ人にわざわざお願いすることはないでしょう。車椅子利用者からよく聞くのは、意外とお願いしても断られる場合があるとのこと。特にサラリーマンなどは「急いでいるから」と言われて断られてしまうケースが多いようです。
ここでの「どうしても」というのは、お腹が空いたからどうしても食べたいというレベルではなく、雑誌やネットで有名になって一度はこのお店で食べてみたいと思って、わざわざ遠くから目的のお店に行った場合や人と待ち合わせをするのに選んだお店であった場合などです。それでもお店の入口にホームセンターなどで販売している「段差解消プレート」があれば、1段だけなら対応できる可能性があります。あまり大きくない段差ならば、プレートがあるだけで車椅子利用者の候補の店舗に挙がるでしょう。
店内を見て狭いとかスペースの問題があると諦めてしまう
ラーメン店や牛丼チェーン店のような固定式の椅子がほとんどのお店においては、パッと見て「難しい」と思って敬遠してしまいがちです。さらに店員さんの人数が少ないこともあり、対応してくれるのだろうか気になってしまいます。以前、大手牛丼チェーンの役員クラスの方とお話をした際、車椅子を利用しているお客さまにもお越しいただきたいと思ってはいるものの、店舗の従業員への教育を考えるとお客さまに合わせた接客応対は難しいとの事でした。
そういった点を踏まえると、段差がある・固定席になっている・店内が狭いという部分は、車椅子ユーザーにとってはバリアになってしまうので「選ばれない」お店になってしまいます。気軽に食べれるファストフード店でありながら、車椅子利用者には気軽でないところが、何とか工夫できないものなのかと考えてしまいます。
ちょっとした工夫であれば経費をかけずになんとかなるもの
多目的トイレなどを設置するには経費面で厳しい場合があるものの、長居をしないお店であれば、固定席を1つ分変えたり、テーブルを変えたり、入口に段差解消プレートを設置したりすることによって、少ない経費で対応することも可能になります。まずは身近な部分からの工夫を始めてみてはいかがでしょうか?あとは車椅子のお客さまに合わせた接客応対ができれば、バリアが解消されていくと思います。
最近は高齢化社会に伴い、車椅子を利用している人を街中でよく見かけます。日本全体で3~5%くらいの割合かもしれませんが、今後はさらに増えていく可能性は高いと思われますので、売上を確実にとっていく中での取りこぼしは、飲食店にとって大きいはずです。今の時代だからこそ、店舗のバリアフリー化によって他店との差別化に努めていくのはいかがでしょうか?きっと車椅子利用者からも喜ばれるお店になっていくにちがいありません。
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