車椅子でも参拝可能なバリアフリー霊園「赤坂一ツ木陵苑」
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あなたのお店の『バリア解消』請負人 バリアフリースタイル代表の白倉栄一です。今回はバリアフリーに力を入れている企業を訪問させていただきました。ここは設備だけでなく、従業員の皆さまによる接客応対、つまり心のバリアフリーにも対応できておりました。
葬儀業界の大手である株式会社ニチリョクが運営する堂内陵墓「威徳寺 赤坂一ツ木陵苑」です。最近において、CMなどでもご紹介されている、建物の中にお墓を設置している屋内型霊園です。今後お店のバリアフリー化を考えている小売・飲食店の皆さまにもご参考になる内容だと思いますので、ご紹介させていただきます。
超高齢化社会にマッチした新スタイル
一般の方々にとって都内にお墓を持つことは、年々難しいとされてきている状況の中で、最近では都内の霊園を諦め、千葉や茨城などの郊外にお墓を持つ方々が多くなっています。でもさすがに都心からお墓がかなり離れてしまうと、せっかくご家族のお墓を購入したのにもかかわらず、頻繁にお墓参りに行くことができなくなるでしょう。そういったお悩みを解決してくれるのが、都心に誕生した屋内型の霊園です。
今回ご紹介する「威徳寺 赤坂一ツ木陵苑」は、東京メトロ「赤坂見附駅」から徒歩2分という好立地にあるので、都内にお住まいの方々にとっては、お墓参りしたいときにすぐ行くことができ、さらには超高齢化社会に向けたバリアフリー化を取り入れているお墓の新しいスタイルになっています。
もともとこの新しいスタイルである室内型のお墓がどのようになっているのか、ものすごく気になっておりました。実は私の父が亡くなった10年前に、室内型のお墓にするかどうか家族で迷ったことがありました。
なぜなら私が車椅子利用者であるために、一般的な屋外型のお墓を購入しても、バリアフリーでなければ気軽にお参りできないのではないかという不安がありました。その不安を解消してくれるのは、屋内型のお墓ではないかと家族の中で候補に挙がっていたくらいです。
従来の屋外型霊園は車椅子で利用しにくい場所もある
最終的には、自分の住んでいる地域の周辺に屋内型の霊園がなかったため、屋外型のバリアフリー化された霊園を探し回り、なんとか見つけることができました。しかし一般的に考えると、従来のような屋外型の霊園の場合は、車椅子利用者にとってお墓参りをする際にいくつかの課題があります。
私事ですが、祖父母が眠っている千葉の霊園は、霊園入口からの距離がものすごく長い上に、車の乗り入れは禁止されています。そうなれば駐車場から車椅子で長い距離を走行しなければなりません。しかも勾配があることから、私1人では行くことができません。それでも介助者が勾配のある坂を押すのは、かなり負荷がかかるでしょう。さらに車椅子利用者には欠かせない多目的トイレが設置されていないこともあり、気軽にお墓参りできる状況にはありません。
そういった面を踏まえると、超高齢化に伴い、車椅子利用者が増え続けていくことで、霊園がバリアフリーであることは、すでに必須の条件になっているのかもしれません。愛する旦那さまや奥さまを亡くされても、老齢による車椅子生活になってしまったら、霊園がバリアだらけであれば、お墓参りもできなくなってしまいます。だからこそ屋内型の霊園であれば、車椅子生活になっても行ける環境になるでしょう。まさに超高齢化社会にマッチした新しいスタイルではないでしょうか?
屋内であれば雨が降っても大丈夫
地下鉄の東京メトロ赤坂見附駅から行く場合は、入口前に若干勾配のある坂があります。でもこの坂については、車椅子で利用する際に、電話をかけることですぐに霊園スタッフがサポートしてくださるとのことでした。人に優しい霊園だからこそ安心して行くことができるでしょう。
車で行く場合は、霊園入口に1台分の身障者用の駐車スペースが設けられています。事前に利用したいことを霊園へお伝えすれば、気軽に利用することができます。
しかも建物入口が駐車場のすぐ隣なので、雨が降っていても安心です。従来のような屋外型の霊園では、雨が降ったら利用するのは難しくなるでしょう。なぜなら車椅子は傘をさしながら漕ぐことはできません。介助者がいたとしても、傘をさしながら車椅子を押すのは大変な行為です。その点を考えると、屋内霊園だから安心できるポイントです。
バリアフリーが整っているので安心
1階の入口には、貸出用の車椅子が設置されてあります。ちなみに屋内はすべてフラットになっているため、高齢者で足が不自由な方々や車椅子利用者にとっては安心なフロアづくりになっています。
そして、歴史のある赤坂不動尊の本堂が設置されているため、葬儀・霊園を利用されない方でもお参りすることができます。
エレベーターについては、屋内霊園だけではなく、葬儀も行われることから、総合病院にあるような奥行きのあるエレベーターになっております。
2階には受付・多目的トイレがあります。ご家族の方々は、お墓参り用の専用カードを持っているので、受付に立ち寄らなくても、そのままお墓のある階へ向かうことができます。ご家族以外の方は、専用カードがもっていないため、一度2階にある受付を立ち寄って、専用カードを借りることになります。
多目的トイレはビルの2階にあります。ユニバーサルベッドやオストメイト機能はありませんが、一般的な車椅子利用者が使う分には問題ないでしょう。トイレのスペースもかなり広く造られているので、トイレ内の転回も可能です。
お墓探しをしなくて済むのが便利
5階には葬儀できるホールがあります。今回は利用されているお客さまがいたので、撮影することはできませんでしたが、最大で50席ほど用意することができるそうです。
そしてお葬式が終えてから、お墓を造る場合においても、一般的なお墓のような大掛かりなものではないために、2週間程度あればお墓(プレート)が出来上がるとのことでした。通常ではお葬式を終えてから、四十九日法要までの間にお墓ができあがらないことがよくありますので、その点はとても安心できます。
とにかく葬儀と霊園が一体化しているのは、喪主の経験のある私からすると、お墓探しがなくなるのでものすごく便利だと思いました。
お参りできるブースが多いので混雑時でも安心
次にお墓です。3階の参拝室は一般的なお墓参りができる場所で「海」と表示されていました。左右6ヶ所ずつのブースになっており、お盆や正月などの時期に多少混雑しても、全部で12ヶ所あるので、さほど並ぶことがなく、お参りすることができるようです。
各ブースの入口は80㎝程度が設けられているので、多少幅の大きい車椅子であっても入ることは十分可能です。ちなみに私は60㎝の横幅の車椅子ですが、介助用の車椅子でもせいぜい65㎝くらいの横幅なので問題ないでしょう。
各入口にある機器に専用カードをかざすだけで、自分のお墓がすぐに目の前に現れる仕組みになっていたのは、ものすごく驚きでした。
通常のお墓参りで気になるのが、お線香やお焼香をするまでの距離が遠いことです。ところがこの赤坂一ツ木陸苑では、車椅子に乗っていてもお焼香までの距離がとても近いことです。その理由は足元に空間が設けられているために、車椅子の足元が奥に入れることができるからです。
この点においては、いろんな方々の声を聞いた上で、車椅子利用者でも気軽にお参りができることを考えて設計されたとのことでした。こういったちょっとした気遣いがうれしい配慮です。
そしてお参りが終わったら、右にあるボタンを押せばそのまま自動的に目の前のガラスが閉まります。お花は霊園側が用意されていますし、お焼香が備わっているので、手ぶらでお墓参りをすることができます。これが車椅子利用者にとっては、とても便利な点だと思います。
なぜそう感じるかと言いますと、一般のお墓の場合、お花やお線香などを用意して、車椅子を漕ぎながら持っていくのは、結構大変な操作になります。さらにお墓をきれいにするために、お水の桶を取りに行くことも意外と難しいものです。
6階は高級感がある造りになっていて落ち着けるスペース
さらに6階にある参拝室は「空」と表示されていました。3階の参拝室の「海」よりもアップグレードしたお墓になっていますし、各区画のブースも広くなっていますので、ゆったり感がありました。
こちらもお焼香までの距離が短いので、お参りしやすいようになっていました。3階・6階のどちらにおいても、一般の屋外にある霊園と違って、気軽にお参りできる点がすばらしいと感じました。
設備(ハード)だけでなく心(ソフト)のバリアフリーが行き届いている
今回、「威徳寺 赤坂一ツ木陵苑」に訪れて感じたのは、都心部にお墓参りが気軽にできる好立地だけでなく、今後はバリアフリー化のされた霊園こそが注目されるのではないかと思いました。それがこれからのトレンドなのかもしれません。
今回、案内していただいた松下コンシェルジュの対応は、とてもすばらしかったですし、他の従業員の皆さまも感じのいい方々でしたので、人の温かさが伝わる霊園でした。しかも何か気になる点があれば、いつでもサポートしていただけるとおっしゃっていました。バリアフリーは設備の充実だけでなく、設備の運用面や従業員による心のバリアフリーが伴ってお客さま満足につながっている点がとても気に入りました。
今回のバリアフリー対応の霊園は、超高齢化社会における先駆けであります。こういった他社にはないバリアフリーの取り組みによって、これから増え続けていく車椅子利用者が使いやすい環境になっていくでしょう。ぜひとも時代に合ったバリアフリーを取り入れていかれたら、きっと多くの方々に喜ばれるお店になるにちがいありません。
★㈱ニチリョク(堂内陵墓)ホームページは→http://www.ryobo.com/
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