きっかけが変える意識と行動──車椅子利用者と築く新しい関係
街で人と会話をしていると、「車椅子に乗っている人って、あまり見かけないですよね」と言われることがあります。
しかし実際には、近年の公共交通機関やショッピングモールのバリアフリー化によって、街中で車椅子を利用している方を見かける機会は確実に増えています。
もし店舗や施設を運営しているのであれば、こうした変化に気づくことが非常に重要なポイントです。
そして来店された車椅子利用者に、スムーズかつ温かい対応ができるようになることは、ビジネスを行ううえで欠かせません。なぜなら、それは集客につながるだけでなく、車椅子利用者が行ける場所を増やす「社会貢献」にもなるからです。
つまり、バリアフリー対応によって「ビジネスの成果」と「社会的意義」という二つの価値を同時に得ることができるのです。
車椅子利用者の存在に気づかない現実
私は交通事故で車椅子生活になって25年以上が経ちます。それ以前は健常者で、総合スーパーの農産売場で働いていました。勤務先には身障者用トイレがありましたが、当時の私は全く気づいていませんでした。本当に情けない話です。
当時は今よりも車椅子利用者が少なかったかもしれません。しかし、確実に来店されていた方はいたはずです。それでも私の視界には入っていなかったのです。
今、都内で生活していると、多くの人が車椅子利用者やベビーカー利用者の存在に気づかず、エレベーターでも我先に乗り込もうとする光景をよく目にします。
しかし、ちょっとした「きっかけ」で人の意識は大きく変わり、それまで見えていなかった世界が見えるようになるのです。
きっかけが意識を変える
例えば、私が目的地の入口で15センチほどの段差を前に立ち止まっていると、通りがかった方に後ろから押していただくことがあります。最初は「なぜ声をかけられたの?」と驚いた表情をされますが、事情を説明すると、皆さん快く手を貸してくださいます。
私は感謝の言葉を必ず伝えます。すると相手は本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれます。この瞬間、その方の心には「街中には車椅子利用者がいる」という事実がしっかりと刻まれるのです。
その経験がきっかけとなり、次に困っている人を見かけたとき、「お手伝いしましょうか?」と自然に声をかけられるようになるでしょう。
共生社会への第一歩
大切なのは、誰かに気づき、助けるきっかけを持つことです。 忙しさに追われていると、目の前の困っている人の存在すら見えなくなってしまいます。しかし、この社会は共生社会です。
困っている人を助けることで、自分自身も幸せになる──それが共生の本質です。
もし、あなたの店舗や職場が「こころのバリアフリー」に取り組めば、利用者は増え、「あのお店だからまた行きたい」と思ってもらえるでしょう。それは他にはない強みとなり、信頼と評価を高めるきっかけになります。
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