日本の大きな課題は人のお困りごとに気がつく「こころのバリアフリー」
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車椅子ライフデザイナーのまおうです。これまでバリアフリーの活動をしてきて、ハード面の設備の構築も大事なテーマですが、それよりもっと大事なのはソフト面、つまりこころのバリアフリーについてです。
見て見ぬふりをしていませんか?
もともと学校教育において障害者と接する機会が全くなかった一般の方にとっては、街中で障害者と出会っても声をかけることが出来なかったり、見て見ぬふりをしてしまうことが多いものです。これは英語を話すことのできない日本人が外国人を見て、「話しかけられたらどうしよう」と思ってしまうことに似ていると思います。
そういった面から腫れ物に触るような感じさえします。頸椎損傷の方がものを下に落としても、まわりの誰もが見て見ぬふりをして通り過ぎてしまうケースが多いらしいです。困っていることに気が付かないだけなのか、それとも困っていても無視してしまおうと思うのかは分かりませんが、とても残念なことです。
人のお困りごとを知ることが大事
今後の共生社会を考えていく上では、まず重要なテーマなのが「人のお困りごとを知ること」が大事なのではないかと思っています。なぜなら今までの学校教育でこういった問題を受ける機会がないために、なぜ点字ブロックが必要なのか、なぜ身障者用駐車スペースが必要なのか、多目的トイレが必要なのかを全く知らないから起きているように思えます。
点字ブロックの上に自転車をとめることはありませんか?点字ブロックは何のためにあるのかは誰もが想像つくと思いますが、もし自転車があったらどうなるかが想像つかないわけです。しかも視覚障害の方が自分のまわりにはいないからそこに自転車をとめても困らないと思っているにちがいありません。
でも実際に困っている人がいるんです。その困っている人を知ったら、あえてそこに自転車を置くことはしないでしょう。同じく身障者用駐車スペースが店舗入口に近いこともあり、平気でとめる人がいますが、こちらも車椅子利用者が困っている事実を知らないからとめてしまうはずです。
点字ブロック・身障者用駐車スペースを必要としている人がいる事実を知る
また身障者用駐車スペースがなくても車椅子利用者は一般の駐車スペースにとめられると思っています。残念ながら通常の駐車スペースの2.5Mでは車椅子への乗り降りが出来ないから、1Mの乗り降りスペースを設置していることに気づいていません。つまりはこれまで歩んだ教育の中では教えてもらう機会がなかったものです。
嫌がらせであったり、自分勝手な人たちももちろんいますが、大概の方々は人の迷惑になってまでやり続ける人はほとんどいないはずです。それは大多数の側にいると少数の方々の気持ちには気がつかない社会になってしまっているだけだと思います。
少数派の人の気持ちに気がつくような世の中になることがポイント
身近で言えば、世の中はすべて右利きの人が使いやすいように作られています。でも世の中には10%近くの方が左利きです。右利きの人にとっては左利きの気持ちを理解することは全くありません。でも左利きの人は何かしら日常生活の中で不便を感じています。そういったことを教える機会をもっと作らなければならないはずです。今後は当事者側からいろいろと発信していくことで多くの方に知っていただくことが重要なポイントだと思っています。
状況によっては、今までの不便を解消することが大きな価値につながることもあります。左利きのはさみがものすごく売れたように、ビジネス展開につながる新発見が出てくることまであるでしょう。社会が少数派の気持ちを理解することができるからこそ共生社会につながると思っています。
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