「お互い様」の力でバリアフリー|設備だけに頼らない柔軟な発想とは?
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
バリアフリー化を進めたいと思っても、コスト面やスペース面でどうしても難しいと感じること、ありませんか?
「設備を一新しないといけない」「対応できないなら諦めるしかない」 そんな思考にとらわれると、かえって“バリア”が大きくなってしまうものです。
でも、もっと柔軟に考えてみてはいかがでしょうか。
実は、設備を完璧に整えなくても、“人の力”で乗り越えられることはたくさんあります。
時にはお客さまのご協力をお願いすることも、立派なバリアフリーの一歩です。
そして、その「協力」に応じてくれる人は、意外と多いのです。
設備に頼らず、マンパワーで対応できる柔軟さ
たとえば、路線バスの乗車時。日本では運転手が車椅子の乗降を補助するのが当たり前ですが、海外では周囲の乗客が自然にサポートする光景がよく見られます。
「お互い様」の精神が根づいているからこそ、誰もが自然に手を差し伸べるのです。
お店でも同じように、設備が足りない時には「協力をお願いする」という手段もあります。
たとえば、車椅子で使えるテーブルが一つだけあって、他のお客さまが利用中だったとします。
そのとき、「事情を伝えて、席を変わっていただけないか」とお願いしてみるのも選択肢のひとつです。
多くの方は理解を示してくださるものですし、もし移動に応じてくださったら、飲み物1杯のサービスなどで感謝を伝えるのも素敵な対応です。
「協力したい」と思っている人は、意外と多い
人は困っている人を見ても、ひとりでは声をかけづらいものです。
でも「みんなで助けよう」となると、協力してくれる人が自然と集まってくるものです。
そこには損得勘定などなく、ただ「困っている人を助けたい」という気持ちだけ。
私自身も、障害のある立場であっても、誰かが困っていれば助けたいと思いますし、それこそが“お互い様”という考え方ではないでしょうか。
だからこそ、バリアフリー化が難しいと感じるときは、人の力に頼るという選択肢も取り入れてみてほしいのです。
すべてを設備で解決しようとするのではなく、柔軟な発想で、“できるところから少しずつ”進めていくことが大切です。
そのマインドこそが、利用者の安心や満足につながっていきます。
従業員の皆さんと一緒に、心のバリアフリーから始めていきましょう。
今回は「マンパワーで乗り越える柔軟なバリアフリー対応」についてお届けしました。
ほんの少しの工夫や声かけが、誰かにとっての“助け”になることがあります。
完璧でなくても、心ある対応は必ず伝わります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
関連する投稿
- 車椅子ユーザーが宿泊施設に求めるのはハード面だけではない現実
- 車椅子利用者へのサポートの仕方で心のバリアフリーが分かる
- 電話によるバリアフリーの問い合わせはまず相手の話をよく聴くこと
- 店内トラブルでお客さま対応をどうするのか考えてみる
- 大雨時に車椅子利用者に対して心のバリアフリーを実践する方法
現在の記事: 「お互い様」の力でバリアフリー|設備だけに頼らない柔軟な発想とは?