その“親切”、過剰になっていませんか?──接客・応対で求められる“こころのバリアフリー”
◆ バリアフリーを“知らない”からこそ、一歩踏み出すきっかけを
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
バリアフリーと聞いて「なんだか専門的そう」「自分にはまだ関係ないかも」と感じる方もいるかもしれません。
でも、これからの超高齢化社会では、“ちょっとした気づき”が、誰かの安心や感動につながります。
今回は「助けたい気持ち」が“逆効果”になるかもしれない場面と、接客・応対での“こころのバリアフリー”のポイントをお届けします。
◆ 「助けたい」が「押しつけ」になっていませんか?
結論(Point):
助ける気持ちは素晴らしい──でも、相手の気持ちを確認せずに行動してしまうと逆効果になることがあります。
理由(Reason):
たとえば、車椅子ユーザーに対して「困っているに違いない」と思い込んで、いきなり後ろから押そうとする方がいます。
本人が「自分で動きます」と伝えても、「いいから押させてください」と譲らない…
それは善意ではなく、“過剰な正義感”になってしまいます。
具体例(Example):
私は24歳で事故により脊髄を損傷し、車椅子生活となりました。
その前までは健常者として生活していたので、両方の立場からの気持ちがよく分かります。
そして会社員時代には人事・総務・教育・お客様対応なども経験してきました。
この「3つの視点」で考えると、接客において大切なのは「上から目線にならないこと」です。
提案(Point再提示):
“助けたい”と思ったら、まずは一声かけて、相手の意思を尊重すること。
それだけで、お互いにとって気持ちの良いコミュニケーションが生まれます。
◆ 「親切心」が空回りしてしまう理由とは
もちろん、誰かを助けようとする気持ちはありがたいものです。
でも「あなたが困っているから私が助けてあげる」という態度で迫られると、
こちらとしては“押しつけられている”ように感じてしまうこともあります。
断っても「遠慮しないでください」と引かない方や、時には「なんで断るの?」と不機嫌になる方も…。
これではせっかくの親切心が、相手の負担になってしまいます。
◆ 無関心もダメ。でも“やりすぎ”もNG。
困っている人に無関心なのも良くありません。
でも「放っておけないから助けなきゃ!」という強い思いが空回りしてしまうのも考えものです。
以前、私のセミナーを受けたある方は、障害者や高齢者を見ると「どうしても私が救わなければ」と動いてしまう癖があるとのことでした。
接客業においてこの“張り切りすぎ”は、お客様に“押し売り”のような印象を与えてしまう恐れもあります。
その“やさしさ”をゼロにする必要はありません。
むしろ相手の様子を観察し、声をかけて反応を見た上でフォローする──そんな“ちょうどいい親切”が喜ばれるのです。
◆ まとめ|“ちょっとした気づき”が、接客の質を変える
あなたのその思いやりの心、少しだけ“コントロール”できたらもっと素敵になります。
接客・応対の本質は、“相手の気持ちを想像する力”です。
バリアフリーは、何も大掛かりな設備だけではありません。
“ちょっとした気づき”や“寄り添う姿勢”が、お客様からの信頼や共感につながります。
今、誰もがバリアフリーに取り組んでいるわけではありません。
だからこそ、“心のバリアフリー”を意識した接客は、他との差別化となり、企業の価値を高めます。
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