障害者対応に緊張するあなたへ|“こころのバリアフリー”で自然な接客を
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
お店や施設で働く中で、障害のあるお客さまを前にすると、つい緊張したり、どう接してよいか戸惑った経験はありませんか?
「失礼にならないようにしなきゃ」と気をつかいすぎてしまうその気持ち。 でも、それこそが“心のバリア”になってしまうこともあるのです。
今回は、そうした無意識の「気負い」や「バイアス」に気づき、誰に対しても自然なコミュニケーションができるようになるための視点をお届けします。
変に意識してしまうのは「バイアス」かもしれません
元郵政大臣の八代英太さんが、こんなエピソードを話していました。
ステージから落ちて脊髄を損傷し、車椅子ユーザーになった八代さん。以前は石原裕次郎さんなどのモノマネで笑いを取っていたそうですが、車椅子生活になった途端、同じことをしても笑ってもらえなくなったそうです。
「笑ったら悪い」と思われてしまう。 そんな“空気”が、逆に差別を生んでしまっているのかもしれません。
視覚障害のある濱田祐太郎さんがR-1グランプリで優勝した際も、「笑っていいのか分からない」と戸惑う声が多く聞かれました。
障害を「特別なもの」として意識しすぎてしまう。 それが「心のバリア」なのです。
「同じように接する」ことが、共生社会の第一歩
私自身も過去に、接客の現場で不思議な偏見を感じたことがあります。
あるイベントで接客中、若い男性から突然「障害者はそんなに無理して働かないでください」と言われたことがありました。
また別のときには、「責任者を出せ!」と言われて対応に出たところ、「車椅子のあなただったら話す必要はない!」とまで言われた経験も。
こうした言動は、障害者に対する「どこか特別な存在」としての見方が根底にあるからこそ、生まれるのではないでしょうか。
でも実際には、障害のある人も、ない人も、「ふつうに生活している人」。 だからこそ、“ふつうに接する”ことが一番うれしいのです。
「笑顔で接する」だけでもバリアは減る
接客をする方にとって、緊張してかしこまるのではなく、自然体で笑顔で対応することこそが最高のおもてなしです。
障害者だから…と構える必要はありません。 「いらっしゃいませ」「お困りごとはありませんか?」と、ごく自然な対応をするだけで、心の距離はぐっと縮まります。
ちなみに私も講演で「笑い」を交えることがありますが、会場の皆さんが真剣に聴いてくださっていると、なかなか笑ってもらえません(笑)
でも、「笑ってもいいんだ」と思っていただけるだけで、とても嬉しくなります。
接客においても同じことが言えます。 「普通に接する」「笑顔を返す」 それだけで、心のバリアはずいぶんと軽くなるのです。
以上、今回は「障害者対応における“心のバリア”」という視点から、接客のあり方についてお伝えしました。
日々の業務の中で少しだけ意識を変えるだけでも、バリアフリーは進んでいきます。
これからも一緒に、やさしい社会を目指していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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