接客応対におけるバリア解消はマニュアルを超えた判断力
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バリアフリースタイル代表の白倉です。20年以上の車椅子生活をしている中で、数多くの飲食店を利用しました。その際、店舗における接客応対の方法は、マニュアル通りのような感じがしますが、状況によっては、マニュアル通りの応対が、お客さまを不快にさせる場合があります。ではどういった点に気をつけたらいいのでしょうか?
マニュアルは仕事の標準化を図るのには欠かせないもの
20年以上小売業で勤めてきた私にとって、マニュアルや手順があることで仕事の効率化だけでなく、仕事の標準化が図れると思っております。私自身も店舗のマニュアルを作成した経験があり、社内において高評価を頂いたこともあります。
マニュアルがあることで従業員が実践しやすく、お客さまへのサービスレベルを維持・向上し続けることができ、「お客さま満足」につながります。そのためマニュアルがない状態では、人によって応対方法が異なってしまい、個人差が顕著に表れてしまうでしょう。
なぜならば人は「あなたの判断で動いてください」と言って動けるものではありません。接客経験の豊富な方でも、自己流過ぎてしまいうまくいかなくなる場合もあります。だからこそ働くメンバー全員が同様な対応が求められます。そのため「Aさんがいるときは対応がいいけれど、Bさんがいるときは対応が悪い」といったようなお店はマイナスになります。
そうなると「お店で対応する方=お店の代表でありお店のイメージ」になるので、たまたまお店に行った日に、Bさんの対応を受けると二度とお店には行かなくなる可能性もあります。Bさんのイメージがお店のイメージになってしまいます。
残念なことですが、こういったケースはよくあることです。私が勤めていた総合スーパーにおいても、Bさんのような対応=総合スーパー全体のイメージに感じて「責任者を出せ!」というクレームを何度も受けることが多かったのを覚えております。
マニュアル頼りではなく相手に応じた対応も重要
もちろんここまで述べた通り、マニュアルが重要なツールになりますが、マニュアルに頼りすぎるのは禁物です。相手に応じた接客応対も考えなければなりません。私がよく利用していた有名なイタリアンレストランでの出来事です。
お水がセルフサービスになっているんですが、ある従業員は車椅子で来店した私に「お水をお持ちいたしましょうか?」と言ってくれます。でも別の従業員は「お水はあちらにありますのでご自由にお持ちください」と言います。
お水を利用したいのでとりにいきますが、車椅子操作とお水を運ぶのはかなり厳しいです。状況によっては口にコップを加えたまま動くこともあります。「お水をお持ちいたしましょうか?」と言ってくれる人がいると本当にありがたく感じます。
それがお客さまに合わせた接客応対になるのではないでしょうか?マニュアルがありながらもマニュアルを超えて判断した結果が、車椅子利用者にとって選ばれるお店にもなると思います。
車椅子利用者を見て過剰反応するのはマイナス
ところが逆なケースもあります。人によっては、車椅子利用者を見たらお手伝いしなければという過剰反応をする方もいらっしゃいますが、これは残念ながら逆効果になり、車椅子利用者から嫌われてしまうケースがあります。
そうした行為をして、車椅子利用者から「結構です」と強く言われ、トラウマになって二度と声をかけられなくなってしまう人をよく見かけます。自分一人で何とかしたいと思っている車椅子利用者も多くいます。そのために相手の気持ちがあることも考えなければなりません。状況によっては、見守ることも必要なポイントです。
「お手伝いすることはございませんか」と声をかけてみては?
その際には、車椅子利用者が自分からお願いする前に「何かお手伝いすることはございませんか」というさりげない言いまわしがポイントになると思っております。なかなか難しいことですが、マニュアルではないささやかな接客応対が望まれるでしょう。
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