車椅子でもできる仕事はある!「クレーム対応」で自信と強みを手に入れた話

2025.08.20 (水)

このブログシリーズでは、バリアフリーを「設備」だけで終わらせないためのヒントや気づきを、実体験を交えてご紹介しています。車椅子ユーザーとして感じたリアルな視点から、より良い接遇や環境づくりの参考になれば幸いです。

 

障害者雇用の機会が広がる中で、「どんな仕事を任せられるか」がイメージできず、採用側・本人ともに不安を感じる場面が多いのではないでしょうか。

 

たとえば車椅子ユーザーであれば、荷物運びや混雑時のレジ応援などは難しいかもしれません。

 

しかし、それ以外にも「できる仕事」はたくさんあると私は実感しています。

 

実際に私がサラリーマン時代に経験し、自分の強みになった仕事のひとつが「クレーム対応」でした。

 

最初に任された仕事が、人生の財産になった

 

私は総合スーパーの人事総務課長として、4年間クレーム対応の責任者を務めました。

 

着任してすぐに引き継いだのが、損害賠償が絡む重大クレームでした。

 

水産売場で転倒されたお客さまが腰を痛め、慰謝料と治療費の請求がなされていた案件でした。

 

当時は「なぜ自分が…」という戸惑いがありましたが、何度もお客さまのもとへ謝罪や交渉に伺い、半年以上かけてようやく示談に至りました。

 

大変な経験でしたが、この出来事が私にとって大きな自信となりました。

 

それ以降、通常のクレーム対応ではほとんど動じることがなくなり、「やればできる」実感を得た貴重な仕事になったのです。

 

クレーム対応は、車椅子でも十分に可能な仕事

 

クレーム対応というと「移動が必要では?」と思われるかもしれませんが、店内対応であれば一人でも問題なく行えますし、お客様宅への訪問が必要であれば同行者がいれば十分対応可能です。

 

むしろ、誰もが嫌がる仕事だからこそ、自分の強みにできるという点も大きいと思います。

 

私も決してクレーム対応が好きではありませんが、「誰もがやりたがらない仕事」をこなせる人材は、職場で重宝されます。

 

ハンディキャップがあるからといって不利とは限りません。健常者よりも強みになる場面だってあるのです。

 

学びと経験が「武器」になる

とはいえ、クレーム対応にいきなり自信が持てるわけではありません。私も最初は不安ばかりでした。

 

そこで、市販のノウハウ本をたくさん読み、パターン別に対応方法を学びながら、少しずつスキルを磨いていきました。

 

回数を重ねるうちに、自分なりの型ができ、落ち着いて対応できるようになります。

 

もちろん、ストレスの多い仕事であることは間違いありません。

 

でもその分、乗り越えたときの達成感は大きく、自信にもつながるのです。

 

この経験はその後の仕事にも活き、判断力や対応力の向上に確実につながっていきました。

 

そして気づけば、自分にも「できる仕事」がひとつ、またひとつと増えていたのです。

 

本人だけでなく、職場のリーダーも、「障害があっても活躍できる仕事は何か?」を一緒に考えていくことが、双方にとっての成長につながるのではないでしょうか。

 

バリアフリーは「ハード(設備)」だけでなく、「ソフト(対応力)」も重要です。心を通わせるおもてなしが、誰にとっても安心できるお店づくりにつながります。

 

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