ドラマ『パーフェクトワールド』の主人公のように活躍できる人材に来てもらうには?
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あなたのお店の『バリア解消』請負人 白倉栄一です。
現在放送中のドラマ『パーフェクトワールド』では、主人公が一級建築士という難関資格を取得して、プロフェッショナルな仕事をしています。
私の知り合いでも、弁護士になって活躍している人が数人もいて、意外と車椅子ユーザーでもいろいろな仕事に就いている人がいます。
しかし、こんなことを以前聞いたことがあります。
企業に入って、障害者としてやりにくい仕事であったり、昇給などの将来性が見えないことを不安に思っている人が多いようです。
そのため企業に入社しても待遇が悪いのであれば、士業やデザイナーなどを目指したほうが、自分の活躍できる場が創れると考えている人が増えているそうです。
そういった意味で言えば、企業は障害者に対しての活躍できる場を提供できていないのかもしれません。
逆な見方をすれば、障害者にもチャンスがあるような職場環境になっている会社であれば、ぜひ入りたいと感じることでしょう。
そこで私の実例をもとに、どのような点においてバリアが発生していて、やる気をなくしてしまったり、昇給にならないのかなどをお伝えします。
企業に入っても将来性を感じる仕組みが必要
私は22年間総合スーパーにてサラリーマン生活をしてきました。
障害者になる前は、将来は総合スーパーのバイヤーになって、世界のフルーツやお菓子などを日本に輸入したいと考えていました。
話題になった「ティラミス」「ナタデココ」のように、今まで日本にいて誰もが食べたことのないものを輸入する仕事ができたら、多くの人たちに喜んでいただけるという思いがありました。
ところが交通事故に遭い、車椅子生活になったことで、その夢は一気に消えました。
でもおかげさまでほとんどの車椅子生活者が、勤めていた会社に戻ることができない中で、私は運よく戻ることができました。
ところが25歳だった私は、復職できた安堵の気持ちとともに将来に対する不安を感じるようになりました。
「この先、退職するまで担当者のままで終わるのか」
気持ちの中では、給与も上げたい、出世もしたい。
でも障害者になったら諦めなければならないのかという点です。
知人からは、「障害者であっても、在籍していた会社に戻れたのだから、それでいいじゃないか。出世したいとか考えるのはおこがましい」と言われたこともありました。
障害者として生きているだけで、幸せだと思って、夢や希望は捨てろということなのか。
私には、全く理解ができませんでした。
しかも企業においては、まわりの従業員との比較をして評価を決める相対評価の制度になっています。
ハンディキャップのある私にとっては、荷物をもったり、レジに入ったり肉体的に難しい仕事があることで、まわりの人との比較になれば、劣っていると判断されてしまうと常々感じていました。
ではどうすればいいのだろう…
いつか給与を上げたい、出世もしたいという強い気持ちから、自分だからできる仕事を創ること、そして何か目立つくらいの成果を上げなければならないと考えました。
そうでもしないと相対評価の中で上位に食い込むことができませんでした。
でも人にはイメージというものがあるので、車椅子ユーザーというだけでネガティブな見方をされてしまう場合もありました。
実際にある上司の下で働いた数年間は、自分が成果を出しても評価されないことも実感しました。
これが障害者としての宿命なのか…
でも諦めちゃいけない、いつかチャンスはやってくると思い続けました。
その結果、38歳のときに念願だった課長にも昇格することもできましたし、多くの素晴らしい上司の下でいろいろな仕事をさせていただくこともできました。
トータル的には、私にとっての22年間のサラリーマン人生は、会社や上司に対してとても感謝の気持ちでいっぱいです。
活躍できる場を社内で創っていくことも必要
私は優秀な人材ではありませんでしたが、最近は資格取得をされていたり、学生時代に一生懸命頑張っている障害者の就活生もいるでしょう。
でも冒頭に申したように、将来性が見えないような企業であったら、いつまで経っても昇給や出世のチャンスもないまま、担当者で終わってしまうでしょう。
そのような企業であれば、就活している人が入りたい企業にはならないでしょう。
ところが、障害者だから仕方がないとか、働かせてやっているからそれだけで貢献しているとか思っている企業があることもよく聞きます。
そんな状態では、いつまで経っても優秀な人材を創り出すことはできないでしょう。
ましてドラマ『パーフェクトワールド』のような活躍できる主人公を採用することも、育成することもできないでしょう。
でもせっかく採用するのであれば、企業としては活躍できる人材に育てるほうが、成果も上がることは間違いありません。
障害者であっても、肉体的にできない仕事はあっても、できない部分に目をつけるのではなく、できる部分に目をつけていくことで、もっと能力を発揮できる仕事はたくさんあります。
私であっても、荷物を持ったり、レジに入ったりすることはできませんでしたが、店舗における人事・総務・教育・経費管理・クレーム対応などの多岐にわたる仕事をこなしてきました。
できないだろうとイメージすることではなく、できる、もしくはできるようになるというイメージを企業側がもつことで、もっと幅広い仕事をすることは可能になります。
そういった意味では、できる部分にもっと着目してあげるような評価方法になることで、障害者であっても将来性が見えるようになるのではないでしょうか。
そのためにも何ができるのか、どうすればできるようになるのかを障害者本人と人事担当者や職場のリーダーがきちんとコミュニケーションし続けていくような働きやすい環境が必要です。
障害者でも活躍できる場を創ることで、将来性のある優秀な人材を獲得できるようになるでしょう。
ぜひそういった企業が多くなることで、世間の課題になっている障害者雇用が広がっていくことを願っています。
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