車椅子利用者の「見えないリスク」 褥瘡(じょくそう)対策で職場環境をレベルアップ
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
車椅子利用者を雇用している、またはこれから検討している企業の皆さまへ。
ぜひ知っておいてほしい大切な「見えないリスク」があります。
それは「褥瘡(じょくそう)」、いわゆる「床ずれ」です。
車椅子利用者の多くが、常に気をつけていると言っても過言ではない、
身体に深刻なダメージを与えるリスクです。
一般の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、
職場環境づくりにも大きく関係する重要なポイントです。
車椅子ユーザー特有のリスク「褥瘡(じょくそう)」とは?
褥瘡は、同じ場所に長時間圧力がかかり続けることで、
血流が悪くなり、皮膚や内部組織が傷ついてしまう症状です。
寝たきりの高齢者に多いイメージがありますが、長時間座り続ける車椅子ユーザーにも深刻なリスクとなります。
私自身、事故で車椅子生活になった直後、2ヶ月以上寝たきり状態の中で褥瘡が発生し、
手術・入院を経験したことがあります。
発生すると出勤困難・長期療養になることもあり、
企業側も配慮すべき重要課題と言えるでしょう。
職場でもできる!褥瘡予防のためのちょっとした工夫
もちろん、車椅子ユーザーは高機能なクッションを使用し、
自ら圧力を逃がす「プッシュアップ」という動作を繰り返して予防に努めています。
それでも、一度できた褥瘡は再発しやすいという特性があります。
そこで職場側ができる工夫として、次のような配慮があります。
- お尻を休めるための簡易ベッドや休憩スペースの設置
- 周囲の目が気にならないカーテンやパーテーションで区切る
- 定期的な休憩時間の確保
私自身、以前の職場でこうした配慮を受けたことで、
「自分のことを大切に考えてくれている」と実感し、
とても感謝した経験があります。
コストではなく「思いやり」が企業価値を高める
「対応にコストがかかるから…」と、つい後回しにされがちですが、
実は大きなコストをかけなくてもできる工夫はたくさんあります。
大切なのは、当事者との対話・ヒアリング。
「何が困っているのか」
「どんな配慮があれば働きやすいか」
これを確認するだけで、企業の思いやりは必ず伝わります。
その姿勢が、「障害者雇用がうまくいっている企業」「誰もが働きやすい企業」として、
社内外から評価される大きなポイントになるでしょう。
今こそ、「車椅子利用者あるある」を知ることから始めてみませんか?
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