障害者雇用における採用後のステップアップを考える
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あなたのお店の『バリア解消』請負人 白倉栄一です。
中央省庁における障害者雇用率の
水増し問題が発覚したことで、
最近では障害者雇用の採用試験実施が
メディアで盛んに報道されていました。
障害者雇用について可能性が開けたものの、
「採用後の育成はどうするの?」
という点こそ考えなければならない
テーマでもあります。
むしろ大事なのは、
「入社した後」に力を入れる
必要があると思っています。
障害者の就労年数については
障害の状況によって大きく異なるものの、
長続きしない点も大きな課題です。
そういった意味において、
退職事由は以下のケースが目立っています。
職場のコミュニケーションが
うまくいかないという理由がある一方で、
昇給ができないといった理由も
上位にあるからです。
そこで自身の経験をもとに
昇給や育成などにおける
課題について考えてみたいと思います。
一生担当者ではないかと思ってしまう不安
私は入社時は健常者でしたが、
1年半後の交通事故によって、
健常者から障害者になって
仕事に復帰した際、大きな不安がありました。
なぜならハンディキャップがあることで
健常者のときのように
仕事をこなせるとイメージできませんでした。
車椅子ユーザーになった私が
できる仕事とはいったい何なのか?
引き続きサラリーマンとして
続けていくのが困難だと思い、
地方公務員を目指すことも考えました。
でも当時働いていた会社は
私に復帰するチャンスを用意してくれました。
本当にありがたかったです。
そして不安はかなりあったものの
厳しくもあり優しい上司が
私に対して熱心な指導を
してくだっさったおかげで、
担当者の時期を乗り切ることができました。
もし自分にそういった上司がいなかったら
仕事にモチベーションが上がらない
サラリーマン生活を
送っていたのかもしれません。
企業にとって障害者雇用のノウハウが必要不可欠
でも上司によって
大きく左右されてしまうことでは
働く側にとっては不安が募ります。
そのために企業にとって
障害者の働き方を考えたノウハウを
知っておくことが必要不可欠になります。
そこで障害者側から見たときの不安を
解消するための育成プログラムが
必要になるでしょう。
また将来どのように
ステップアップできるかを
ある程度イメージできると
働く上でのモチベーションは
高まるでしょう。
しかも活躍できる人材を
増やしていくのは
企業にとってもプラスになることです。
ただ私のサラリーマン時代には、
ショックな出来事もありました。
なぜなら29歳のときに、
社内において5・10年後に
どうなっていたいかという面談で、
次のことを上司に言われました。
「車椅子利用者が私の直属部下の
課長になったら困るから、
もし将来やりたいことがあるならば、
退職して別の会社を探したほうが
あなたのためだよ」と言われました。
上記が社内の考え方ではないにしろ
上司に就く人によって
大きく価値観や考え方が
異なってしまうことで
働きにくくなることも経験しました。
育成しようとするスタンスが本人のやる気に火をつける
そういった背景があったこともあり、
自ら戦略を考えなければ、
昇給するチャンスはないと考えました。
もちろん戦略を練っても、
社内で通用するかどうかは
分かりませんでしたが、
諦めないで挑戦し続けることで、
状況を変えていくと決意しました。
私はそのような経験をして
その面談から10年後に
課長職に就くことができました。
でもできるのであれば、
企業側が採用者とともに、
育成プログラムを作っていくことで、
本人のモチベーションが
維持・向上していくほうがいいでしょう。
実際に採用しても
どのような仕事ができるかどうかを、
企業側もあまり把握していないのでは
ないでしょうか?
本人ができること・やりたいこと
やったことはないけれど
頑張ればできそうなことなどを
きちんと業務の棚卸をしていくことが
必要になっていきます。
そして状況によってはきっかけがあれば
できるようになることもあると思います。
絶対にNGなのは、
本人の知らないところで、
勝手にできないと判断されてしまうことです。
どうしてもイメージが
先行してしまうことがよくあります。
そうなると育成があまりうまくいかず、
仕事の幅も広がらないでしょう。
仕事の幅が広げていくことで、
評価できる内容も増えていき、
本人のモチベーションが
きっと上がっていきます。
ぜひネガティブにならずに、
ポジティブな障害者雇用が
進んでいくことを願っています。
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