障害者雇用のバリア解消は本人の意思を確認できるかどうか
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あなたのお店の『バリア解消』請負人
バリアフリースタイル代表の白倉栄一です。
今回お伝えしたいことは、
障害者雇用におけるバリア解消についてです。
もしあなたの企業において、
障害者を採用している、
もしくは採用を考えている場合、
単に採用すればいいのか、
それとも活躍できる人材にしたいのか、
それによって社内における環境は
大きく変わると思います。
できれば後者のような考えになったほうが
企業としてはプラスではないでしょうか?
大事なことは本人の意思を確認すること
民間企業における障害者雇用は、
法定雇用率が2018年から2.2%へと
上がっている状況です。
そういった中で、残念ながら
退職される方も多いと聞いております。
自分は1つの企業に22年間在籍して、
そこそこ昇進もさせていただきましたが、
全く昇進等がないために
賃金がアップすることのない方々もいます。
そういった状況の中で続けていくのは、
障害者にとっては辛いことです。
障害者側は給料を上げたい、
でも企業側は賃金アップは難しい
といった状況になっています。
私が主任になったときに
自分の部署が変わり、
初めて車椅子ユーザーの部下をもちました。
実際に彼がその部署でやっていた仕事は、
ある業務におけるパソコン入力でした。
しかしそれ以外の仕事は全くしておらず、
チームのメンバーに聞いてみると、
「彼にはその業務以外にはやらせていません。
それ以外の業務については
やったことがないから、
多分できないでしょう。」という返答でした。
チームのメンバーは、
いろいろな業務をこなしているのにも関わらず、
彼だけは1つの業務だけでした。
10年以上その部署にいるにもかかわらず、
一番低い資格で昇格試験を
受けることさえもできなかったのです。
本人に確認したところ、
過去の上司からの指導は一切ないまま、
10年間同じ仕事だけをやり続けていました。
そこで今後どうしたいかを確認したら、
「いろいろな業務をやってみたいし、
昇給もできるのであればぜひしたい」とのこと。
それから彼に対しての
教育プログラムを作りました。
まわりの同僚たちは
「彼は他の業務ができないのに、
なぜ教えなければならないんですか?」
と私に言ってきましたが、
「本人はやる気があるから、
仕事を教えてあげてほしい」と伝えました。
それ以降、本人は仕事を
活き活きとすることになり、
半年に一度の昇格試験を毎回クリアして、
2~3年後には社員への登用試験も
晴れて合格することができました。
その間、何度も個別面談を実施して、
本人の意思を確認しながら進めてきました。
社内が勝手に限界を定めてはいけない
ここで言えることは、
上司やまわりの同僚が
彼の仕事の領域について、
勝手に限界を定めてしまっている点に
問題があります。
もしかしたらもっと前に
本人の意思を確認するための
個別面談をきちんと実施したり、
教育プログラムを作っていれば、
早いうちにいろいろな仕事をしていたり、
昇進していたのかもしれません。
チャンスが与えられなかったために、
10年間止まっていたままでした。
こういったことは他の企業・職場でも
よくあることではないでしょうか?
でもせっかく雇っているのであれば、
活躍できる人材に育てることで
企業にとっても財産になるでしょう。
そのためには本人の意思を確認して、
仕事の領域を広げていき、
活躍できる風土を作っていくことが必要です。
障害者といえど、残存機能を活かすことで、
プロフェッショナルになれる要素は
十二分にあるでしょう。
そういった点を考えていくことで、
単に採用すればいいという考えから
活躍できる人材を創れる企業へと
変わっていくにちがいありません。
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