100軒にたった1軒だけでも存在すればバリアフリーの価値が高まる理由
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あなたの会社の『バリア解消』請負人 白倉栄一です。
店舗のバリアフリー対応はコストだけに目がいきがちで、プラスの面についてはあまり語られることのないのが実態です。
でも公共交通機関などのバリアフリー整備が進んだ今だからこそ、その先に向かう場所のバリアフリー化において、いかに価値があるかをお伝えします。
公共交通機関のバリアフリー化は加速している
実際に公共交通機関のバリアフリー度はものすごく高くなっています。
国土交通省のデータによりますと、平成29年度末 鉄軌道駅における障害者対応型トイレ設置状況については、よると3000人以上の乗降客数のある駅では、以下の通りになっております。
JR旅客会社6社 84.4%
大手民鉄15社 87.1%
地下鉄10社局 96.0%
鉄軌道全体 合計 85.2%
データを見る限り、公共交通機関のバリアフリー度は高い状況になっています。
実際に私自身が車椅子利用者として感じることは、公共交通機関を利用すると、駅員さんの接客応対などものすごく感じのいい、しかもミスのない徹底した対応になっています。
車椅子利用者からは、「もっと早く素早く対応してほしい」とか不満の声もありますが、出発駅と到着駅の連絡などを考えれば、時間がかかることはある程度仕方がないことです。
しかもほとんどミスのない対応は、お客さまをいかに大事にするかという態度がきちんと現れているようにも思えるくらいです。
そういった状況においては、明らかに車椅子利用者が出かけるという手段については、年々便利になっているのは間違いありません。
私は車椅子利用者になって23年になりましたが、昔は鉄道の駅にはエレベーターなどが設置されていなかったために、駅員さんが4人がかりで階段の上げ下ろしをしていた時代でした。
そのような光景は、もうほとんど見られないくらいにバリアフリー度がアップしています。
むしろ先進諸国においても、日本がナンバーワンといえるくらいです。
先日、テレビ朝日の「朝まで生テレビ」に出演された㈱ミライロの垣内社長が、都心の交通機関のバリアフリー率として比較すれば、下記のような状況だと述べておりました。
フランス パリ 3%
イギリス ロンドン 18%
アメリカ ニューヨーク 25%
日本 東京 97%
日本 大阪 100%
この数字を見ると、日本は他の先進諸国に比べて、明らかに外出しやすい国になっているのが分かるでしょう。
バリアフリー度が高まっているのになぜ?
大きな課題は、公共交通機関を利用した後のバリアフリースポットの状況です。
駅を降りて、「あの有名なスイーツ店に行きたい」「あの話題のステーキ店に行きたい」という部分において、バリアだらけとなり行くこと自体がとても難しい点です。
その背景としては、公共交通機関などは、2006年に制定されたバリアフリー法において、やらざるを得ない施策としてバリアフリー化に取り組んできましたが、街の飲食店などの商業施設は、大型商業施設以外は、バリアフリー化をやらなければならない条件には入っていません。
そうなると法律違反にならないのであれば、わざわざお金を出してまでバリアフリーへの改修をしないのが一般的な考えでしょう。
だからバリアフリー化に大きな開きがあると言えるでしょう。
もちろん法整備をすることは難しいとしても、コストがかかるだけというイメージが強いために、バリアフリー化には踏み切れないのが実情です。
私も総合スーパーの店舗の経費管理をしていた立場からすると、常に費用対効果を考えて物事に取り組んできましたから、何かにやりたいと思っていても、簡単にはできないのが現状かもしれません。
でも効果の部分が大きくなれば、やってみるチャンスもあります。
トータルのコストは高くても、数年で取り戻せるといった空調設備を取り入れたことがあります。
当時は年間で65万円削減することができて、3年くらいで取り戻した実績もあります。
だからこそ効果の面も考えてみることが意外にも好結果を生みだすこともあるでしょう。
そこでバリアフリーに話を戻しますと、どれだけの店舗がバリアフリー対応(多目的トイレなどが設置されていることを条件)を考えてみますと、極端と言えるほど対応していないのが現状です。
都内で50軒の路面店を探して、車椅子で利用できるトイレはほぼ見つからないでしょう。
100軒探しても多分1軒すら見つけることができないくらいです。
ということは、車椅子利用者が気軽にできるお店はほとんど壊滅状態にあります。
違う側面から考えるとプラスの効果が生まれる
ここでターゲットとして考えると、身体障害者400万人、うち肢体不自由者の割合は54%前後ですので、車椅子がないと生活できない人は200万人程度かもしれません。
でも高齢者まで目を向けてみれば、超高齢化社会で3500万人が高齢者であり、人数の多いと言われている団塊世代はもう70歳前後にまで来ています。
もちろん元気な人がほとんどかもしれませんが、健康寿命である女性74歳・男性72歳を考えれば、車椅子利用者が一気に増加するのは間違いありません。
さらにバリアフリー化を必要とするベビーカー利用者まで考えれば、もっとニーズが上がるでしょう。
もう一度話を戻しますと、100軒探しても1軒も見つからない状況で、唯一1軒でもバリアフリー化された店舗があったならば、そこが目立つ存在になるのは間違いないでしょう。
その情報を発信したならば、「この街にはこのお店がある」と話題になるかもしれません。
そうなれば単なるお金がかかると却下したものが、集客の手法になるにちがいありません。ぜひとも誰もがやっていない今だからこそ、バリアフリー化にする価値があるでしょう。
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