エレベーターの“ちょい工夫”で変わる!安心・安全なバリアフリーのつくり方
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
店舗や商業施設のバリアフリー化を考えるうえで、重要な設備のひとつが「エレベーター」です。
たとえば2段以上の階段や段差がある場合、車椅子利用者にとっては大きなバリアになります。
しかしエレベーターが設置されていれば、それだけで「ここなら行けるかもしれない」と希望につながります。
さらに一歩進んで、エレベーターを“より使いやすくする”ために、ぜひ取り入れてほしい2つの工夫をご紹介します。
① 扉の開閉時間は、もう少し「ゆっくり」でいい
車椅子やベビーカーを利用している方がエレベーターに乗ろうとしたとき、扉がすぐに閉まってしまうととても危険です。
タイミングが合わなければ、扉にぶつかってしまうリスクもあります。
そこで、エレベーターの開閉時間を「5〜10秒」ほど長めに設定しておくと、より安全に乗り降りできるようになります。
実際、私が以前勤務していたショッピングセンターでは、3基あるエレベーターのうち、1基を「車椅子優先」として開閉時間を長めに設定していました。
もちろん急いでいる方は“閉ボタン”を押せばすぐに閉まりますので、全体の流れが極端に遅くなることもありません。
コストはかからず、設定だけで対応できる簡単な工夫。ぜひ一度、施設のエレベーターの開閉時間を見直してみてください。
② 鏡を設置するだけで、バックでの降車が安心に
車椅子利用者やベビーカー利用者は、前向きでエレベーターに乗り込むことがほとんどです。
混雑していると中で転回できないため、降りるときには“バックで”出る必要があります。
しかし、後方が見えないと、人の足を踏んでしまったり、壁や荷物にぶつかったりと、事故やトラブルの原因になります。
そんな時に役立つのが、エレベーター内の“鏡”です。
まるで車のバックミラーのように、後方を確認しながら安全にバックできるため、非常に安心感があります。
私が管理していた施設でも鏡を導入しており、多くの利用者に喜ばれました。
特に混雑の多い商業施設では、安心・安全を守るうえで必要不可欠な設備といえるでしょう。
小さな工夫が「また来たい」につながる
エレベーターの新設や全面改修には大きなコストがかかりますが、今回ご紹介した2つの工夫は、費用もほとんどかからず、すぐに実行できるものばかりです。
たった1秒の違い、1枚の鏡。それだけで「使いやすい」「安心して利用できる」と思ってもらえるのです。
それが「また来たい」「ここなら安心」と思っていただける、ファンづくりにもつながっていきます。
ぜひこの機会に、施設のエレベーターを見直してみてください。
ちょっとした気づきと行動が、誰かの“安心”につながるはずです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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