車椅子利用者の目線なしにバリアフリーを設計するのはNG行為
Contents
あなたのお店の『バリア解消』請負人 白倉栄一です。
よくあるのが、
一般の健常者の方々と
車椅子利用者のバリアフリーにおける
感覚の違いです。
これがバリアフリーの設計において
大きなズレを生じさせています。
一般の健常者の方々からすると、
「多分このようなバリアフリーだったら
大丈夫だろう?」と感じて
設計してしまうことでしょう。
でも実際に車椅子利用者が
目的地に行ってみると、
残念なことに使えなかった
ということが結構あるものです。
なぜか大きなズレが生じてしまいます。
そのズレを解消していくためには、
どうしたらいいのか考えてみます。
健常者の目線と車椅子利用者の目線とのギャップは大きい
私は24歳までは健常者でしたので、
両方の立場が分かるつもりです。
普通に健常者として過ごしていると、
車椅子利用の疑似体験などを
していない限り
車椅子利用者の目線を
感じるのは難しいかもしれません。
私は両方の立場を経験しているので、
それくらいギャップがあると
感じています。
例を挙げるならば
一般の健常者の方が
「ここにはスロープがあるから
車椅子利用者が走行するには
大丈夫だろう」と判断するとします。
でもスロープがあれば大丈夫と
いう発想だけでは、
残念なことにバリアは解消されていません。
大事なことは、
そのスロープの勾配も
大きなポイントです。
普通に健常者が何気なく
上るようなスロープでも、
車椅子利用者にとっては
かなりの勾配に感じてしまうからです。
さすがに脚の力では楽に上れても、
腕の力ではかなり厳しいこともあります。
こういったことは、
実際に車椅子に乗ったことがなければ、
感じとることは難しいでしょう。
実際には
スロープは「1上がるのに12の長さ」が
必要になるというのが
バリアフリーの基準となっています。
そのため、急勾配のスロープを
造ってしまうことで
車椅子に乗って自力で上ることが
難しいでしょうし、
介助者がいたとしても
負担はかなりかかるでしょう。
車椅子に乗ってみてはじめて分かること
そういった状況の中で提案したいのは、
一度車椅子に試乗してみることです。
実際に体験することで、
イメージしていたものとのギャップを
埋めることができるでしょう。
そこで感じるのは、
スロープの勾配だったり、
路面の状況だったり、
通路の幅だったり、
想像していたものとは違うことを
知ることができます。
ところが世の中には
「なぜこんな勾配?」
と思ってしまうものばかりです。
だから間違った設計だらけになり、
当事者からは使えない
という声が出てしまうのでしょう。
車椅子利用者の声を聞いていますか?
さらに重要なポイントは、
実際に車椅子に乗っている人の声です。
彼らの声を聞かないで、
設計しまうことによって
使いにくい施設になることが
よくあります。
しかも使いにくいからと言って
一度造られてしまったものを、
直すことは、
コスト的にも大きな負担となってしまい、
修復するのはかなり難しくなるでしょう。
せっかくお金をかけて、
車椅子利用者に喜んでいただくことを
考えているのであれば、造り上げる前に
いろいろなチェックを
してみることではないでしょうか?
分からないことがあれば
ぜひお気軽にご相談ください。
関連する投稿
- 希少価値のバリアフリー店舗だからこそ造ることが狙い目になる
- 店舗のバリアフリーを考える上で気がつきにくい大きなバリアとは?
- セミナー会場がバリアフリーになれば学びたい人が多くなるポイント
- 車椅子でのお買い物を想定する際は店内の巡回を通してバリアをなくしていく
- バリアフリー対応のトイレを施工する上で注意しておきたい課題とは?
現在の記事: 車椅子利用者の目線なしにバリアフリーを設計するのはNG行為