「その駐車スペース、実は使えません」──車椅子ユーザーの本当のニーズとは?
ほんの少しの知識と想像力が、バリアフリーの第一歩になります。
このシリーズでは、車椅子ユーザーの「本音」と「現場のリアル」をお届けします。
商業施設などを利用するときに、「車椅子利用なので駐車スペースを確保していただけますか?」とお願いすることが多いのです。
でも残念ながら思いが通じず、困ってしまうことがよくあります。
車椅子利用者が必要としているポイントとのズレによって発生してしまいます。
こういったズレを解消するには、ニーズを把握することと慣れが必要になるでしょう。
今後の車椅子利用者増加のためにも、知っておいた方がいいポイントをお伝えします。
なぜ駐車スペースが広くなっているかご存知ですか?
よくあるのが、一般用の駐車スペースを1台分確保されているだけです。
「入口に近い駐車スペースを1台分用意しておきました」と教えてくれます。
ものすごくありがたいものです。
でも一般用スペースと同じではとめることができないことに、ほとんどの人は気づかない点です。
私が「ここでは乗り降りができないのですが…」とお伝えしても、「なぜですか?」と返答する人もいます。
車椅子利用者の乗降には、乗降スペース(1M)が必要なことを知っておくといいでしょう。
画像のように黄色枠の駐車スペースでも、ゼブラゾーン(斜線部)がなければ使いにくいのが実情です。
隣の車がピッタリ止まってしまうと、乗降ができなくなり、車を出せないこともあります。
カラーコーンを置いたままではなぜダメか?
不安であれば、一般の駐車スペース2台分を用意するだけでも、安心感はぐっと高まります。
一方で、カラーコーンを置いているスペースもありますが、運転者本人が車椅子利用者だと動かせません。
善意の対策でも、実際に使えなければ意味がなくなってしまいます。
そのため、カラーコーンの有無に関わらず、「事前連絡で対応可能」といった意思表示が大切です。
関心の有無によって対応の差が決まる
学校などで習う機会がないので、分からないのも当然です。
ですが、関心の有無によって対応力は大きく変わります。
駐車場ひとつの対応が、商業施設全体の評判に直結することもあります。
日頃から「もし自分が車椅子利用者だったら?」と想像してみてください。
ちょっとした配慮が、大きな安心につながります。
あなたの一歩が、心のバリアフリーを進めていきます。
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